レジデントノート

米国にて内科修行中。何ができるか模索している過程を記録していく

HIV

スクリーニングテスト:第4世代HIV-1/2 Ag/Ab test(12) combined HIV Ag/Ab testは臨床上で最も正確な試験(感度>99.7%, 特異度>99.3%)で急性感染の80%以上を同定でき、それ以外は核酸増幅検査が必要となる(13, 14) "eclipse period"(13) RNA PCR…

市中肺炎

肺炎球菌ワクチンは肺炎球菌感染リスクのある全ての人に推奨される。リスクのない人は65歳の時点で接種すべきである 示唆する病歴と身体所見がある場合は胸部レントゲンで浸潤影が認められない時でも肺炎の可能性がある。その場合はCTスキャンが有用であるか…

1型糖尿病

発症は思春期や成人年齢の早い時期にピークを認めるが、どの年齢でも発症しうる Cペプチド検査は1型糖尿病の診断確定の助けとなるかもしれず、1型糖尿病では値が低い(1) さらなるマーカーにはGAD、islet cell、インスリン、タンパク質チロシンホスファタ…

消化管出血

原因 炎症 cameron erosion 食道炎・食道潰瘍 炎症性腸疾患 消化性潰瘍 腫瘍 原発性消化管癌 消化管への転移癌 血管異常 血管拡張症 動脈腸管瘻 デュラフォイ病変 胃前庭部毛細血管拡張症 痔瘻 放射線直腸症・胃症・腸症 静脈瘤 薬剤性 アスピリン NSAIDs 抗…

Opioid Use Disorder

離脱 症状はクロニジンで不安を、NSAIDsで筋痛を、ジサイクロミンで腹部仙痛と下痢を和らげることができる メサドン Full agonist at mu-opioid receptor 離脱を治療 渇望を減らす オピオイドのwash outを待たずに開始できる 重大な副作用:鎮静、呼吸抑制、…

禁煙

40歳以前に禁煙すれば死亡率が90%下がる(1) 禁煙10年後には肺癌のリスクが50%下がる(2) 虚血性心疾患による死亡リスクは禁煙後2〜3年で3分の2になり、10年後には非喫煙者と同等になる(3, 4) 喫煙の期間にかかわらず禁煙は全ての年代の人に有益な結果…

インフルエンザ

インフルエンザワクチンは6歳以上の全ての人に毎年、理想的には10月末までに接種することが推奨されている(1) ナーシングホームでのアウトブレイクの際は全ての入居者が抗ウイルス予防薬を少なくとも2週間、アウトブレイクより1週間長く継続する必要が…

クラミジア・淋菌

pelvic inflammatory disease(PID:骨盤内炎症性疾患)は臨床症状が多様で明瞭でない場合が多く診断が難しい。古典的診察所見であるcervical motion tendernessは現在の臨床では認められることが多くない クラミジア ドキシサイクリン100mg1日2回内服7日…

診療の風景2

入院患者の高齢女性が不穏だから見にきてくれとコールがかかった 見当識を確認しようと尋ねたら名前と場所は答えられ、日にちは言えなかったが年と月は合っていた 大統領は誰かと問うと「asshole」との答えが返ってきた これを見当識障害とするかの判断には…

肝酵素異常を認める患者のケア

アミノトランスフェラーゼ上昇時 臨床評価と身体診察 肝毒性薬剤の中止 アルコール摂取中止 ウイルス性肝炎と脂肪肝のリスク評価 検査 CBC, AST/ALT, TB, albumin, PT/INR iron panel/フェリチン, トランスフェリン飽和度 HBsAg, HBcAb, HBsAb, HCVAb 超音波…

200床以下の病院でのCOVID入院診療

病床が足りず医療が逼迫する理由の一つに病床数200床未満の民間病院のおよそ8割が患者を受け入れていない事があるという。おそらく人とモノが分散している事に起因すると考えられるため、乱暴な話それらをまとめて大きめの公立の病院に変えてしまえば状況が…

腰痛

脊椎変性に関連するよくみられる状態 椎間板変性症 ヘルニアを伴う椎間板変性症(L5およびS1レベルが最も好発) 脊椎管狭窄症(50歳以下では稀) 腰痛をきたす脊椎疾患 強直性脊椎炎および体軸性脊椎関節炎(朝のこわばり、運動で軽快、通常40歳以下で発症)…

多発性硬化症

体温上昇、確認できる感染、他に偽再発の誘因がなく、新たな神経症状あるいはその悪化が24時間以上続くことを再発の定義とする 再発が確認された時の標準治療は高用量コルチコステロイドであり、典型的にはメチルプレドニゾロン 1日1g静注を3〜5日を経口薬の…

COVID19(米国施設ガイドライン)

2021年5月20日作成 推奨・エビデンス NIH:National Institute of Health(国立衛生研究所) 推奨 A:強く推奨 B:中等度推奨 C:オプショナルで推奨 エビデンス I:one or more randomized trials without major limitations IIa:other randomized trials …

肺高血圧

肺血管床は通常抵抗が低く、全身循環のおよそ15〜20%の圧で全心拍出量を収容できる容量がある。肺高血圧では上昇した肺動脈圧が拍出量を維持しようとする薄い壁でできた右室に負荷をかける。効果的な治療なしでは、進行する右室機能不全が症状の悪化をもた…

不眠

restless legs syndromeがある場合はフェリチンを測定する。低値あるいは正常低値の場合は鉄剤治療の適応となるかもしれない(1) FDAに承認されている不眠治療薬の中で他に比べより推奨される特定の薬剤はない American Academy of Sleep Medicine(AASM)…

急性膵炎

急性膵炎は膵臓の急性炎症で単発あるいは再発のイベントとしておこる 急性膵炎は軽度の炎症による軽い間質性の膵炎から広範囲の膵壊死によって多臓器不全を起こすものにまでわたる疾患である 診断は3つの特徴のうち少なくとも2つ以上認めることに基づいて…

せん妄

せん妄は突発性の混乱、時間による動揺、注意力低下、意識レベルの異常を特徴とする急性の脳機能障害である(1-3) せん妄(delirium)、脳症(encephalopathy)、急性錯乱状態(acute confusional state) に対する用語が近年改訂され、専門家がそれぞれ特…

C型肝炎ウイルス

全経口投与可能、短期間投与、耐容性良好、広く入手可能、効果の高い急性および慢性C型肝炎ウイルス感染に対する抗ウイルス薬の急速な発達によってウイルスの根絶が達成可能なゴールとなっている。2016年にWHOは2030年までにHepatitis C virus (HCV)の影響を…

慢性閉塞性肺疾患

慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease (COPD))はよく見られる予防および治療が可能な疾患で、持続的な呼吸症状と肺活量測定によって確認される進行的な気道閉塞を特徴とし、有害な粒子やガスに対する肺の異常な炎症反応と関連する(1-5)…

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症は甲状腺が末梢組織の需要に見合うだけの十分な甲状腺ホルモンを産生できない状態である 原発性甲状腺機能低下症は甲状腺自体の疾患による甲状腺不全を指し、全ての甲状腺機能低下症の99%以上を占める(1) 原発性甲状腺機能低下症は基準範…

全身性エリテマトーデス

Systemic Lupus Erythematosus (SLEあるいはループス)は免疫システムが体中の正常な細胞と組織を攻撃することによって起こる病態である。SLEの免疫反応はBリンパ球とTリンパ球の過剰な免疫応答と自己抗原に対する免疫寛容の欠如によって特徴づけられる。抗体…

好酸球性食道炎

好酸球性食道炎は比較的新たな疾患で最初に認識されたのは1990年代である 食物アレルギーによってもたらされ、食道の慢性炎症、線維化、狭窄をきたす(1) 悪性疾患に進展する可能性はないと考えられているが、食物が詰まるなどの急性のイベントが起こり、患…

甲状腺機能亢進症

甲状腺中毒症(thyrotoxicosis)は血清および組織におけるサイロキシン(T4)、トリヨードサイロニン(T3)あるいはその両方が過剰になることで起こる病態である 甲状腺機能亢進症(hyperthyroidism)は甲状腺の活動過剰によって起こる甲状腺中毒症のことを…

線維筋痛症

線維筋痛症はよく見られる疾患で主症状は慢性的で広範囲にわたる疼痛である(1) 有病率は用いる診断基準によって4倍も異なりえる(2) 線維筋痛症は人口のおよそ2〜4%が罹患している(2) 線維筋痛症は費用がかかり、生産性の喪失や機能障害による社会へ…

診療外の風景

ICUの受付のおばちゃんが「あんたは痩せているからもっと食べろ」と言っていろんな物をくれる

閉塞性睡眠時無呼吸症候群

閉塞性睡眠時無呼吸 (obstructive sleep apnea (OSA) ) はオキシヘモグロビンの酸素飽和度低下と睡眠断片化をもたらす睡眠中の繰り返す上気道閉塞を特徴とする OSA syndromeはOSAとその結果起こる症状(典型的には日中の眠気など)を合わせたものと定義され…

診療の風景

救急外来で転移が広がっている乳癌の女性を問診していたら、タバコも吸わない、お酒も飲まない、ドラッグもしない、とのことであった 「セックスも1人の男性とのみよ。こんな事ならもっと好き放題しとくべきだったわ」 と笑いながら言っていたので 「ほんと…

2型糖尿病

糖尿病は内科医が最もよくみる疾患の一つである。米国ではおよそ3030万人(9.4%)が罹患していると推定され、そのうち2310万人のみが診断されている(1) 現在のトレンドだと2050年にはおよそ2倍になると予想されている(2) 米国において糖尿病は失明、肢切断…

喘息

喘息は最も多くみられる呼吸器疾患で、気道炎症と気道過敏性を伴う可逆的な気道閉塞を特徴とする 世界中で3億人以上が罹患し、米国には2600万人存在する(1) 喘息による健康および経済的な負担は非常に大きく、米国では毎年1100万件の外来受診および100万…