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レジデントノート

米国にて内科修行中。何ができるか模索している過程を記録していく

渡米を決意したきっかけ

 

アメリカで働くことに挑戦しようと思う切っ掛けになった出会いがある


ある一人の医師との出会いだ


自分が研修医に成り立ての頃、その人が年度の途中で新たな研修医としてやってきた

研修医とは言っても年齢は自分より遥か上で確か医学部の卒業年度が当時の院長と同じだったと聞いた気がする


あまり詳しく書いてはいけないのだろうが、その人は医学部を卒業してから医師としては働かず、これも本当かどうか定かでないが、アメリカでミュージシャンとして長い間活動していたそうだ


着任前からその前情報を聞いていたので、極めて異例な経歴に一体どんな人なのかと非常に関心が高まっていた


そしてその出会いは全く期待を裏切らないものだった


その人が着任初日の自己紹介で医局員全員の前で、持参したウクレレを弾きながらとても陽気な挨拶をされたのである


僕はその屈託のなさに度肝を抜かれてしまった


医者というものは多少畏まって職人の如く自己の研鑽にひたすら励み続けるもの


そんな堅いイメージを持っていた駆け出しの頃の純粋な僕の頭の中で、その価値観がガタガタと音を立てて崩れていく感じがした


その人の表現の自由さ、そして生き方の自由さに、ただただ圧倒されてしまったのだ



「人生なんでもありやん」



ふとそう思えたのである


それまでどちらかと言うと比較的真面目だった僕の考え方が大きくシフトしてしまった瞬間だった


そしてこの変化は後々まで多大な影響を与え続けている




米国の国家試験勉強のために病院をやめる事を決めた時

他の人たちが真面目に働いている中、日中一人ファミレスに通って試験勉強をしていた時

予備校の授業のため夜行バスで上京し、日中は漫画喫茶で仮眠を取っていた時



ふと「俺はこんな事をしていて良いのだろうか」と不安になる事もあったが

その方に比べたら逸脱の仕方が全然甘っちょろいなぁと考えられて気を沈めることができた


そして今でも勇気をもらい続けている本当に有難い出会いだったと感じている

少しして僕は移動になったのでその方がその後どうされたかは分からない

人と違う事をされ、もしかしたらその後苦労された事もあったかもしれないが、また会う機会があればお礼を言いたい





人生なんでもあり



道を逸れる事は多少の恐怖も伴うし、もしかしたら真面目に生きている方から「けしからん」なんてお叱りを受ける事もあるかもしれない

その時はただ「価値観の相違をお許しください」と謝るしかない


ただ、そんな恐怖や人からの批判もそれを免れるために自分の気持ちを偽って生きていく事に比べたら全然甘っちょろいなぁと感じてしまう


この感覚は歳を追うごとに強くなっていてもう始末に追えないのである

 

 

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