レジデントノート

米国にて内科修行中。何ができるか模索している過程を記録していく

蜂窩織炎・皮膚軟部組織感染症

 

皮膚軟部組織感染症の頻度は近年落ち着いたものの依然高く、尿路感染症の2倍、肺炎の10倍である(1)

 

 

 

 

皮膚軟部組織感染症 

蜂窩織炎 (cellulitis) 

丹毒 (erysipelas) 

毛嚢炎 (folliculitis) 

せつ (furuncle) 

よう (carbuncle) 

皮下膿瘍 (cutaneous abscess) 

化膿性筋炎 (pyomyositis) 

膿痂疹 (impetigo) 

膿瘡 (ecthyma) 

ガス壊疽 (gas gangrene) 

壊死性筋膜炎 (necrotizing fasciitis) 

 

 

 

リスクファクター

皮膚バリアの破綻

・外傷性(裂創、手術、熱傷、擦過傷、挫滅創、開放骨折、注射薬剤使用、人・動物咬傷、虫刺し症)

・非外傷性(潰瘍、足白癬、皮膚炎、足趾間摩擦疹)

・ドレナージ障害

・腋窩・骨盤リンパ郭清

・伏在静脈採取

・リンパ浮腫

・肥満

・慢性静脈不全

 

末梢性動脈疾患

 

感染に寄与する状態

・糖尿病

・肝硬変

・好中球減少

・HIV

・移植および免疫抑制剤

 

ホームレス

 

蜂窩織炎の既往(蜂窩織炎の既往は次の感染のリスクを非常に高くする(2, 3))

 

 

 

 

 

初回感染の時点で寄与する因子を同定・治療することで感染の再発を減らすことに努めるべきである

 

 

 

リンパ浮腫のaggressive managementによって感染再発を減らせるかもしれない(4)

 

 

 

糖尿病患者は定期的な足の診察、糖尿病性神経症のスクリーニング、皮膚硬結の除去、足装具の使用によって、潰瘍、それに続く感染のリスクを減らすことが可能である(5)

 

 

救急外来のおける合併症を伴わない創傷に対する抗菌薬外用(triple antibiotic ointment, neomycin, mupirocin)は感染率を下げることが報告されている(6)

 

 

  

 

予防的抗菌薬投与が蜂窩織炎を繰り返す患者の発症リスクを減らす可能性があり、寄与する因子の治療にも関わらず年に3〜4回感染を発症する患者では投与を考慮してよいかもしれない(7)。regimenとして経口ペニシリン、ペニシリン筋注、エリスロマイシンが調査されている

(少なくとも1回以上の蜂窩織炎再発の既往を持つ274人を調べたPATCH I randomized trialではペニシリン250mg1日2回投与したグループにおいて12ヶ月間における発症がプラセボグループに比べおよそ50%減少したことが認められた。ただし一旦ペニシリンを中止すると予防効果は漸次減少した(8))

 

 

 

動物咬傷の初期治療は大量の水での洗浄およびpovidone-iodineによる消毒、異物および組織構造損傷の確認、そして生存できない組織の除去である。基本的には動物咬傷の初期治療では傷を閉じることが推奨されないが、顔の傷の場合は大量の水での洗浄および予防的抗菌薬投与によって傷を閉じてよいかもしれない

 

 

 

犬咬傷を評価した2014年のrandomized trialでは初期治療において傷を閉じた場合、閉じなかった場合と比較して感染率が同等であり、かつ美容的外観の改善が認められたため、合併症を伴わない犬咬傷においては初期治療で傷を閉じてもよいかもしれない(9) 

 

 

IDSA (Infectious Diseases Society of America)はhigh-risk factorsをもつ患者(免疫不全、無脾症、肝不全、浮腫)あるいはhigh-risk 咬傷(手や顔の中等度から重度の咬傷、骨膜あるいは関節包を貫通する傷)に対して早期の予防的抗菌薬投与を推奨している(7)

 

 

 

人・猫咬傷は感染のリスクが高く、特に猫咬傷では猫の歯が深部に達するので骨髄炎が合併する可能性がある(10)

 

 

 

予防的抗菌薬投与は皮膚を貫通する全てのclosed-fist injury、猫咬傷に投与されるべきである

 

 

抗菌薬は好気性菌および嫌気性菌両方に対する効果を有し、動物咬傷におけるPasteurella、人咬傷におけるEikenellaをカバーする必要がある。そのレジメンとしてamoxicillin-clavulanateが推奨される。ペニシリンアレルギーの場合はclindamycinとlevofloxacinあるいはmoxifloxacin併用が代替レジメンとなる

 

 

 

tetanus vaccinationもup-to-dateされていない場合は考慮される必要がある。狂犬病の暴露後予防の必要性も評価されるべきである

 

 

 

Staphylococcus aureusのcolonizationはそれに引続く感染のリスクを高める(11)。routineでのMSSA (methicillin-sensitive S aureus)あるいはMRSAのdecolonizationは推奨されないが、intensive decolonizationは皮膚軟部組織感染症の再発率を減らす。IDSAのガイドラインではS.aureusによる再発性の皮膚軟部組織感染症に対する5日間のdecolonization regimenを検討することを推奨している 。そのregimenはmupirocinの1日2回経鼻投与、1日1回chlorhexidineによる洗浄、および1日1回personal itemsのdecolonizationである(7)

 

 

 

 

蜂窩織炎は深部真皮および皮下脂肪組織を含む皮膚感染症である。注意深い病歴聴取と身体診察に基づいて診断される。病歴には発症を促す状態および特定の病原体(注1)に関連するリスクファクターを評価する必要がある

 

 

 

 

蜂窩織炎の誤診はよくみられ、抗菌薬の過剰投与、不必要な入院、薬物副作用、および医療費の増大につながっている(12)

 

 

 

 

蜂窩織炎の発症は典型的には急性で、ほとんどの場合片側に認められる

 

 

 

 

鑑別疾患

 

感染性

 

遊走性紅斑(erythema migrans)

境界明瞭、無痛性、蜂窩織炎・丹毒に比べ緩徐に広がる

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化膿性関節炎・滑液包炎(septic arthritis/bursitis)

発赤が関節あるいは滑液包にかかり、強い圧痛、発熱を認める。化膿性関節炎では関節可動によって非常に強い疼痛を認める

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< septic arthritis > 

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< septic bursitis >

 

初期ヘルペス(early herpes zoster)

dermatomalに発赤、強い疼痛が水泡に先んじて生じる

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Streptococcal / staphylococcal toxic shock

発熱、ショック、多臓器不全がびまん性の発赤を伴って認め、細菌性皮膚軟部組織感染症に類似する

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非感染性

 

静脈鬱滞性皮膚炎(venous stasis dermatitis)

多くの場合両側性で、表層に落屑、滲出液、痂皮 、pitting edemaを認め、慢性静脈不全の他の特徴を有する

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深部静脈血栓症(deep venous thrombosis)

深部の痛み、浮腫を認め、多くの場合下腿に認める。強い発赤を認めることは少ない

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接触性皮膚炎(contact dermatitis)

掻痒感を伴い、原因物質への暴露があり、暴露域に一致する境界が明瞭である

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脂肪皮膚硬化(lipodermatosclerosis)

線維化脂肪織炎、疼痛を伴い、境界不明瞭、足関節内側から始まり、数週かけて発達、急性期は赤紫色を呈する 

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リンパ浮腫(lymphedema)

nonpitting edema・発赤を認め、熱感を欠く。角化増殖、結節、色素沈着などの皮膚の二次性変化を伴う

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壊疽性膿皮症(pyoderma gangrenosum)

境界明瞭で疼痛を伴う潰瘍。全身性疾患に伴う

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皮膚軟部組織感染症内での鑑別も重要である。非膿瘍性の皮膚軟部組織感染には膿瘍を伴わない蜂窩織炎、丹毒がある。これらは適正抗菌薬が異なるため毛嚢炎、せつ、よう、皮下膿瘍などの膿瘍性皮膚軟部組織感染症と鑑別する必要がある。非膿瘍性皮膚軟部組織感染症は多くの場合streptococciに起因し、膿瘍性皮膚軟部組織感染症はたいていS.aureusに起因する

 

 

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蜂窩織炎 (cellulitis)

真皮・皮下脂肪を含む皮膚感染症

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丹毒 (erysipelas)

リンパを含むより表層の皮膚感染症。圧痛を伴う境界明瞭な紅斑性プラークが特徴

http://www.clevelandclinicmeded.com/medicalpubs/diseasemanagement/dermatology/common-skin-infections/images/common-skin-fig5_large.jpg

 

毛嚢炎 (folliculitis)

上皮内に膿を認める毛嚢表層の感染症

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せつ (furuncle)

小さな皮下膿瘍を認める毛嚢感染症

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よう (carbuncle)

せつが集合したもの

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皮下膿瘍 (cutaneous abscess)

真皮および深部皮膚組織内の膿瘍

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化膿性筋炎 (pyomyositis)

全身症状を呈し、筋群に局在するcramping painを伴う骨格筋化膿性感染症。表面的な変化をきたさない場合もある

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膿痂疹 (impetigo)

膿疱や水泡が痂皮やbullaeに進展する皮膚表層の感染症。たいていstaphylococciあるいはstreptococciに起因する

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膿瘡 (ecthyma)

より深部の膿痂疹。水泡や膿疱で始まりパンチアウトされたような潰瘍に進展する。多くの場合group A streptococciに起因する

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ガス壊疽 (gas gangrene)

筋組織を含む壊死性感染症。クロストリジウム筋壊死として知られる

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壊死性筋膜炎 (necrotizing fasciitis)

筋膜表面に沿って広がる皮下組織の侵攻的な感染症

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ガス壊疽や壊死性筋膜炎などの壊死性皮膚軟部組織感染症はlife / limb-threateningであり、急速に進行し、緊急の外科的処置を要するため、それらの可能性を示唆する症候を探すことは重要である

 

 

 

壊死性皮膚軟部組織感染症を初期の段階で診断することは困難である。よって全身性の症状を呈する、あるいは糖尿病、肥満、免疫不全、血液悪性疾患、静注薬剤使用、異物の存在などを伴う患者では特に強い疑いを持って評価する必要がある(13)

 

 

 

 

壊死性筋膜炎の典型的な症状は身体所見に比例しない強い疼痛、水泡、bullae、皮膚のdiscoloration、感覚鈍麻、捻発音等である。しかしこれらは感染後期の症候でsensitivityを欠く。よって適切な臨床状況ではこれらの所見を認めないという事を外科的評価をしないことの理由にしてはならない

 

 

 

壊死性筋膜炎を示唆する所見

・身体所見に比例しない疼痛

・浮腫、硬結、皮膚変化の範囲を超える疼痛

・青紫色の水泡あるいはbullae

・皮膚の感覚麻痺

・捻発音

・皮膚壊死あるいは斑状出血

・急速な進行

・初期抗菌薬へ反応しない

・全身性の症状

・多臓器不全

・壊死性軟部組織切開しても出血を認めない

 

 

 

 

 検査

 

complete blood count and differential

白血球上昇は非特異的だが感染を示唆、左方移動を伴う著しい上昇は深部の、あるいは重篤な感染である可能性を表す。血小板減少もより重症な感染である事を示唆、hemoconcentrationとleukomoid reaction (WBC >50,000)はclostridium sordellii感染の場合に見られることがあり、溶血はclostridium perfringens感染に関連することがある

 

 

乳酸

乳酸値上昇は組織の循環不全(sepsis)を表し、また組織の壊死の可能性も示唆する(14)

 

 

CPK

上昇は筋壊死の場合にみられ、壊死性筋膜炎の可能性を示唆するかもしれない。vibrio vulnificus感染の場合に上昇することが多い

 

 

CRP

非特異的だが、壊死性軟部組織感染症のリスク評価に役立つかもしれない(15)

 

 

グラム染色・培養

膿瘍性感染症の場合、またdebridementを行う際にはすべきである

 

 

 

菌血症は合併症を伴わない蜂窩織炎および軟部組織感染症ではまれである(16)。よって血液培養採取はroutineでは推奨されない。ただ免疫不全(化学療法中、好中球減少、重度の細胞性免疫不全、脾摘後)、特定の暴露(動物咬傷、水に関連する創傷)、リンパ浮腫の既往、壊死性感染を疑う、sepsisなどの場合は血液培養が推奨される

 

 

傷表層のスワブ・培養はcolonizeしている病原体を現し、原因菌を同定する可能性は高くない。非膿瘍性の蜂窩織炎や丹毒におけるneedle aspirationやpunch biopsyによる培養の意義は低い。合併症を伴わない膿瘍ではroutineで培養を行う必要はないが、再発感染、治療失敗、非典型的な兆候、重篤な状態などでは培養を行う必要がある。感染組織がdebrideされる場合は培養に提出する必要がある

 

 

X-ray 

ガスの存在を確認できるかもしれないが、壊死性軟部組織感染症の同定には非常にsensitivityが低い 

 

 

超音波検査

drainすべき液体・膿瘍貯留の同定に有用である

 

 

MRI

化膿性筋炎および骨髄炎を疑う際に行うが、壊死性軟部組織感染症にはspecificityが低い

 

 

CT with contrast

壊死性軟部組織感染症の診断がはっきりしない場合は有用であるかもしれない(17)

 

 

 

壊死性筋膜炎診断のgold standardは直接外科的に筋膜を評価することであり、画像検査のためにそれが遅れてはならない。検査にかかる時間の関係で壊死性筋膜炎の同定としてのMRIの有用性はよく調べられていない。enhanced CTは有用である可能性があるが、診断前確率が高い場合は直接外科的評価を行うべきで、診断がはっきりせず、比較的重篤でない患者の場合には行ってよいかもしれない。ただ除外診断として信頼すべきでない

 

 

 

蜂窩織炎と評価されたがショックを伴う場合など臨床的に壊死性軟部組織感染症を疑う場合は、診断や外科的処置の遅れが致命的となりうるため、速やかに外科による評価が必要になる

 

 

 

 

 

蜂窩織炎の場合、患肢挙上がドレナージを促し改善を早めるかもしれない。皮膚の亀裂、浸軟(ふやけ)、白癬など感染の起因となる状態を治療することが推奨される

 

 

 

糖尿病性足感染症やガス壊疽などに対するhyperbaric oxygenの付随的治療が調べられてきたが、効果が確認されておらず、外科的debridementなどの遅れをきたす可能性があるため推奨されてない

 

 

 

 

局所的な水泡性あるいは非水泡性の膿痂疹には抗菌薬外用(mupirocin or retapamulin 1日2回5日間)あるいは経口剤が推奨されるが、患部が無数の時や膿瘡の場合は経口抗菌薬が推奨される(18)

 

 

 

合併症を伴わない蜂窩織炎や全身症状を認めない他の皮膚軟部組織感染症では経口抗菌薬が好まれる。発熱や他の臓器不全、深部感染(化膿性筋炎、壊死性筋膜炎、壊疽)の臨床所見などを認める中等度から重度の感染では注射抗菌薬が必要になる。顔面の丹毒では最初は注射抗菌薬から開始すべきである

 

 

 

蜂窩織炎の多くはβ-hemolytic streptococciによるものと考えられている(19)。したがって非膿瘍性の蜂窩織炎ではこれらの細菌をカバーする抗菌薬を選択する必要がある。選択可能なものはpenicillin, amoxicillin, dicloxacillin, cephalexin、ペニシリンアレルギーがある場合はclindamycinが選択可能である

 

 

 

合併症を伴わない蜂窩織炎をきたしたそれ以外健康な外来患者ではMRSAのカバーは必要ない。MRSAのリスクがある場合は検討されるべきである(注2)

膿瘍や膿性滲出液を認めない蜂窩織炎の外来治療においてcephalexin と cephalexin plus trimethoprim-sulfamethoxazole (TMP-SMX) を比較した多施設randomized, double-blind trialではTMP-SMXを加えても治療率の改善を認めなかった(83.5% with TMP-SMX and 85.5% without TMP-SMX)。このtrialではもともと感染のリスクとなる皮膚の状態を持つ患者、静注薬剤使用中で発熱を認める患者、免疫不全患者は含まれていない(20)

 

 

streptococcus pyogensのsulfa抗菌薬に対するsensitivityがin vitroでは低いため従来TMP-SMX単剤治療は非膿性蜂窩織炎の治療には不十分と考えられてきたが、最近の臨床dataでは単剤治療でも合併症を伴わない皮膚軟部組織感染症において効果があることが示された

(合併症を伴わない皮膚軟部組織感染症(蜂窩織炎、膿瘍、あるいは両方)の患者524人の外来治療を調べた多施設trialにおいてclindamycin と TMP-SMXを比較した結果、治癒率は同等であった(80.3% for clindamycin vs 77.7% for TMP-SMX)(21))

 

 

培養dataがない膿痂疹の治療においてはstreptococciとstaphylococci両方をターゲットとすべきである

 

 

膿性感染症(蜂窩織炎を伴う、あるいは伴わない膿瘍、せつ、よう(多くはstaphylococciに起因))ではMRSAに有効な抗菌薬を使用すべきである

 

 

MRSAに有効な経口抗菌薬にはTMP-SMX, doxycycline, clindamycin, linezolidがある

(MRSAのclindamycinに対するsensitivityは地域によって異なるためlocal resistance rateが高い場合は第一選択薬として使用すべきではない)

 

 

 

皮膚軟部組織感染症治療に対し新たな経口抗菌薬が承認されている。2014年に承認されたtedizolidはlinezolidのように広くグラム陽性菌に対し効果を有し、経口および静注薬が利用可能で、血液毒性および薬剤相互作用が比較的少ないようである(22)。新たなbroad-spectrum fluoroquinoloneとして皮膚軟部組織感染症治療に承認されたdelafloxacinはMRSAに対し効果的であるようである(23)

 

 

 

経口抗菌薬

 

streptococci

 amoxicillin 500mg 1日3回(pasteurellaに有効、penicillinよりbioavailabilityがよい)

 penicillin VK 500mg 1日4回(せまいspectrum) 

 

streptococci and MSSA

 amoxicillin-clavulanate 875/125mg 1日2回(嫌気性菌をカバー)

 dicloxacillin 500mg 1日4回(投与回数が多い)

 cephalexin 500mg 1日4回(投与回数が多い)

 

MRSA

 clindamycin 300mg 1日2回(C.difficile感染に最も強く関連)

 doxycycline 100mg 1日2回(photosensitivityをきたす、臨床dataが少ない)

 TMP-SMX 1 double-strength 1日2回(高カリウム血症をきたす)

 linezolid 600mg 1日2回(SSRIとの併用でserotonin syndromeのリスク、長期使用で骨髄障害)

 tedizolid 200mg 1日2回(高価、linezolidに比べ血小板減少や薬剤相互作用が少ない)

 delafloxacin 450mg 1日2回(臨床dataが限られている)

 

 

 

 

 

 

中等度の非膿性蜂窩織炎治療はβ-hemolytic streptococcをターゲットとし、膿性感染、あるいはMRSAのリスクがある場合(静注薬剤使用、最近のカーテーテル留置、貫通性の外傷、MRSA保菌)はMRSAをカバーするvancomycinあるいはその他の抗菌薬を使用すべきである。重症で急速に進行する感染、直腸周囲の感染、重度の免疫不全などではグラム陰性菌をカバーするbroad-spectrumな抗菌薬を追加すべきである

 

 

新たなsemisynthetic lipoglycopeptideであるdalbavancinとoritavancinはMRSAを含むグラム陽性菌に対し広い効果を有し、半減期が非常に長い。よって静注剤治療を要するが入院を拒否する患者や経口薬摂取が信頼できない患者などの治療として考慮される(24, 25, 26)

 

 

 

 

注射抗菌薬

 

streptococci

 penicillin G 2-4 million units IV 4-6時間毎(group A streptococciの第一選択)

 ceftriaxone 1-2g IV 24時間毎(グラム陰性菌に対しよい効果(pseudomonasやESBLはカバーしない))

streptococci and MSSA

 cefazolin 1g IV 8時間毎(グラム陰性菌をある程度カバー)

 nafcillin 1-2g IV 4時間毎(cefazolinより副作用が多い(皮疹、薬剤熱、血球減少))

MRSA (and streptococci/MSSA)

 vancomycin 15mg/kg IV 12時間毎(トラフのモニターが必要、red man syndromeや腎毒性)

 daptomycin 4mg IV 24時間毎(菌血症の際は高用量を必要とする、CPKのモニターが必要)

 linezolid 600mg IV 12時間毎(SSRIとの併用でserotonin syndromeのリスク、長期使用で骨髄障害)

 clindamycin 600-900mg IV 8時間毎(C.difficileと最も強く関連、S.aureusの抵抗性が増えている)

 ceftaroline 600mg IV 12時間毎(ceftriaxoneと同等のグラム陰性菌カバー)

 dalbavancin 1500mg IV 30分かけて1回投与(臨床dataが限られている)

 oritavancin 1200mg IV 3時間かけて1回投与(PT/PTTが延長?、臨床dataが限られている)

 

 

 

 

 

 

 

2014年のIDSAガイドラインでは膿瘍に対し切開排膿してかつ抗菌薬を追加すべきは全身性の症状を有する、免疫不全、複数の膿瘍、高齢、切開排膿のみに反応しない等の患者のみとされている(7)。しかし最近の二つの臨床試験では膿瘍(5cm以下も含む)に対し切開排膿に抗菌薬を追加した方が治癒率が高いことが示された(27, 28)。したがって膿瘍が小さな場合は切開排膿のみで十分かもしれないが、また、利益・不利益を患者ごとに評価する必要はあるものの、合併症を伴わない皮下膿瘍をもつすべての患者において抗菌薬追加投与が考慮されるべきである

 

 

糖尿病患者における感染性潰瘍に関連していない合併症を伴わない蜂窩織炎や皮下膿瘍ではそれらの起因菌は非糖尿病患者と同様であり、グラム陽性好気性菌が主流を占める(29)。したがってそのような場合、抗菌薬は非糖尿病患者と同じである。軽度の糖尿病性足感染症(全身性の症状を伴わず皮膚および皮下組織に限局する2cm以下の潰瘍)ではstreptococcusとMSSA(リスクがある場合はMRSA)をカバーする抗菌薬が推奨される。中等度から重度の場合はMRSA、嫌気性菌、グラム陰性桿菌をカバーするbroad-spectrumな抗菌薬が必要になる

 

 

 

膿性の皮膚軟部組織感染症ではMRSAをカバーする抗菌薬が推奨される(30)

 

 

 

蜂窩織炎および皮膚軟部組織感染症の入院適応

・全身性の症状

・臓器不全を伴う

・壊死性感染の可能性がある

・limb-threatening

・外科的治療を要する(単純な洗浄・ドレナージは含まない)

・経口薬治療が信頼できない

 

 (重度の免疫不全、経口薬による外来治療失敗等も入院治療が考慮される)

 

 

 

壊死性筋膜炎は速やかな抗菌薬治療開始と外科的debridementを要するmedical emergencyである。抗菌薬はMRSA、グラム陰性桿菌、嫌気性菌をカバーする必要がある。またgroup A streptococcalに起因する壊死性筋膜炎は臨床的に判別できないのでトキシン産生を抑えるclindamycinも追加する必要がある。追加的治療としてimmunoglobulin静注も調査されてきたが、死亡率、入院期間、身体機能等に有効性を認めた臨床試験がないため、推奨されない(31, 32)

 

 

 

蜂窩織炎の抗菌薬投与期間は5日間(33)、改善が認められない場合は延長することが推奨されている。皮下膿瘍では追加的抗菌薬投与7日間が妥当である。好中球減少の患者では皮膚軟部組織感染症に対し7〜14日間。壊死性軟部組織感染症の最適投与期間は決定されていないが、debridementを必要とせず、臨床的に安定するまで継続すべきである

 

 

 

 

 

(注1)

糖尿病:S aureus, Group B streptococci, anaerobes, gram-negative bacilli

肝硬変:Campylobacter fetus, coliforms, Vibrio vulnificus, Capnocytophaga canimorsus

好中球減少:Pseudomonas aeruginosa

人咬傷:Eikenella corrodens, viridans group streptococci

猫咬傷:Pasteurella multicida

犬咬傷:Pasteurella multocida, Capnocytophaga canimorsus

鼠咬傷:streptobacillus moniliformis

hot tub exposure:pseudomonas aeruginosa, atypical mycobacteria

淡水内での裂創:Aeromonas hydrophila

汽水内(淡水と海水の混在)での裂創:Vibrio species

fish tank exposure:Mycobacterium marinum

fish handling:Erysipelothrix rhusiopathiae

貫通性の足の創傷:Pseudomonas aeruginosa

静注薬剤使用:MRSA, group A streptococci

壊死性筋膜炎

 Type 1 (polymicrobial, mixed anaerobse and aerobes):Streptococci, Clostridium species, Bacteroides species, Enterobacteriaceae, Staphylococci, Enterococci

 Type 2 (monomicrobial):Group A streptococci (most common), community-associated MRSA, Clostridium species (infrequent), Vibrio species

 

 

(注2)

MRSA感染の既往

違法薬剤の経鼻的あるいは静注使用

最近の収監

接触的なスポーツ

バー、音楽イベント、クラブへの頻繁な出没

HIV感染

最近の抗菌薬使用

最近の入院

血液透析

MRSA感染の人と密な接触

 

 

 

 

 

 

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IN THE CLINIC

Annals of Internal Medicine

6 February 2018