レジデントノート

米国にて内科修行中。何ができるか模索している過程を記録していく

大腸憩室炎

 

大腸憩室炎の多くは50歳以上の患者で見られるが、若い人にも増えてきている

 

 

大腸憩室を持つ大部分の人は無症状であり、1〜4%の人で憩室炎を発症する(1)

 

 

そのうちおよそ20%の患者が10年以内に一回あるいはそれ以上の再発を繰り返す(2)

  

 

大腸憩室炎は合併症の有無によって分類される。合併症を伴わない大腸憩室炎は大腸壁肥厚および大腸周囲の炎症性変化にとどまる。合併症には膿瘍形成、腹膜炎、腸閉塞、瘻孔形成がある。およそ12%の大腸憩室炎に合併症が認められる(2)

 

 

 

Risk Factor 

 

大腸憩室および大腸憩室炎の重要なリスクファクターは加齢である。肥満および喫煙も大腸憩室のリスクになる(3)

 

 

低繊維食や便秘がリスクファクターとされてきたが、近年に二つのcross-sectional studiesでは低繊維食および便秘は他のリスクファクターの影響を調整した場合にはリスクを上昇させない事が示された(3, 4)

 

 

しかし食事および生活習慣は大腸憩室炎に寄与する重要なファクターである。低繊維食、red meat(牛肉、羊肉)、肥満、低身体活動、喫煙はリスクの上昇に関連するとされている(5, 6, 7, 8, 9, 10)。あるstudyでは1日23g以上の繊維摂取、1日51g以下のred meat摂取制限、週2時間以上の強度の身体活動、BMI 25kg/m2以下への減量、および禁煙は大腸憩室炎の発症を50%予防しうると報告している(7)。

 

 

read meat、精製された穀物、高脂肪食などの西洋型の食事は大腸憩室炎のリスクを上げる一方、果物、野菜、全粒穀物はリスクを下げる(8)

 

 

アルコール摂取、特に乱用はリスクを高めるかもしれないが、エビデンスは混在している(11)

 

 

男性で行われたlarge prospective studyに基づき、ナッツ、トウモロコシ、seedsはもはやリスクを上げると考えられていない(12)

 

 

NSAIDsの定期的な服薬(週2回以上)はリスクを70%高める可能性がある。アスピリン以外のNSAIDsはアスピリンに比較し、より大きくリスクを、特に合併症を伴う憩室炎に対して高める(9)

 

 

コルチコステロイドやオピオイドもリスクを上昇させる可能性がある(13)

 

 

ビタミンDの低下も憩室炎を促す可能性がある(14)

 

 

Symptoms

 

大腸憩室炎では急性あるいは亜急性の腹痛、典型的には左下腹部痛を認める。疼痛は持続的で動作によって悪化する傾向がある

 

 

疼痛が左側優位であるのは憩室炎がS状結腸や下行結腸に起こることが多いからである。反対にアジア人では右側優位となる

 

 

他の症状は下痢、便秘、嘔吐を伴わない嘔気、発熱などである(15)

 

 

下血は典型的な症状ではなく、他の腹痛の原因を精査する必要がある

 

 

糞尿、気尿、膿尿を認める場合は結腸膀胱瘻を、膣からガスや便が認められる場合は直腸膣瘻の可能性を示唆する

 

 

腸閉塞は大腸の炎症や膿瘍などによって急性の憩室炎でも認められるが、罹患後あるいは再発後の瘢痕化や狭窄形成によって起こる事がより多く見られる(16)

 

 

Laboratory Test

 

憩室炎では白血球およびCRPの上昇が認められる事が多い。あるstudyではCRP上昇を伴う白血球上昇は、他の腹痛の原因と比較して、大腸憩室炎の可能性を4倍高くすると報告している(17) 。またCRP値の高さは重症度に関連し、膿瘍などの合併症を伴う患者の同定に役立つ可能性がある(18)。しかし白血球およびCRP値が正常であるからといって除外診断することはできない

 

 

multivariable analysisによって大腸憩室炎に関連するファクターは以下のものが示された

年齢50歳以上、左下腹部の疼痛、動作による疼痛の悪化、38.5度以上の発熱、憩室炎の既往、CRP 50mg/L以上(17)

 

 

Imaging Test 

 

大腸憩室炎を臨床症状だけで診断することは難しい。さらに膿瘍などの合併症は画像診断を行わなければ確定できない。合併症の有無を判別することは抗菌薬投与、膿瘍ドレナージ、手術が必要かを判断する際に必須となる。にもかかわらず、画像診断以外の臨床所見だけで診断される場合がしばしばある。特にもともと憩室炎の既往があり、画像検査が利用できない状況などの場合である(19)

 

 

重度の腹痛、血行動態あるいは呼吸状態の悪化、腹部所見でびまん性の圧痛およびguarding、あるいはrigidityを認める、白血球やCRPの高度上昇、などの重症所見を認める場合は画像検査を行わなければならない。また薬物治療に反応しない憩室炎は合併症の可能性を評価するためにも画像検査が必要となる

 

 

 

造影剤の静注および管腔内投与によるCT撮影が画像診断として選択される。systematic review and meta-analysisでは腹部CTはsensitivity 95%およびspecificity 96%と報告されている(20)

 

 

腹部超音波検査も使用される。そのsensitivityおよびspecificityはおよそ90%とされている(20)。しかし、その精度はCTに比べより術者に依存し、また肥満患者ではより制限される(19)

 

 

 

 

大腸憩室炎が初回のエピソードの場合は全ての患者で回復後に大腸癌の鑑別を行うために大腸内視鏡を行う必要がある(21)

 

 

 

Treatment

 

大腸憩室炎の治療は重症度および合併症の有無によって決まる

 

大腸憩室炎の重症度およびマネージメントを分類するいくつかのclassification systemがつくられている

 

 

Hinchey classificationはCT所見に基づく重症度およびマネージメントを決定するシステムである(22)

 

 

 

Stage of Modified Hinchey Classification

 

Stage 0(合併症なし)

臨床的に軽度の大腸憩室炎、またはCT上大腸壁肥厚を伴う憩室

 

・Clear liquid diet(2−3日)、low-fiber dietにadvance(疼痛が改善するまで)

・抗菌薬(case-by-cace)

・アセトアミノフェンと鎮痙剤による疼痛管理

 

 

Stage Ia(合併症なし)

大腸周囲脂肪織の炎症性変化(phlegmon)を伴う大腸壁肥厚

 

・Clear liquid diet(2−3日)、low-fiber dietにadvance(疼痛が改善するまで)

・抗菌薬(case-by-cace)

・アセトアミノフェンと鎮痙剤による疼痛管理

 

 

Stage Ib(合併症あり)

炎症部位近位の大腸周囲あるいは腸間膜膿瘍

 

・ドレナージを必要とする膿瘍の場合は入院治療

・経口摂取可能な場合はliquid diet摂取にて外来治療、症状の改善を認めればlow-fiber dietへadvance

・重症度により経口あるいは静注抗菌薬投与

・膿瘍が3cm以下の場合は抗菌薬のみにて改善しうる、また場合によって抗菌薬投与なしにて改善しうる

・3cm以上の膿瘍あるいは治療抵抗性の症状・膿瘍の場合は経皮的ドレナージによる治療

・大きな膿瘍では待機的手術による切除

・アセトアミノフェンと鎮痙剤による疼痛管理

  

 

Stage II(合併症あり)

炎症部位より遠位の腹腔内膿瘍、骨盤内あるいは後腹膜膿瘍

 

・入院治療

・安定、改善するまで絶食

・感染部位がコントロールできるまで静注抗菌薬投与

・経皮的ドレナージによる治療

・外科コンサルト

・待機的手術による切除

・アセトアミノフェンと鎮痙剤による疼痛管理

 

 

Stage III(合併症あり)

汎発性化膿性腹膜炎

 

・入院治療

・絶食

・静注抗菌薬投与

・緊急外科コンサルトおよび手術による切除(限られた患者では腹腔鏡洗浄による治療)

・アセトアミノフェンと鎮痙剤による疼痛管理

 

 

Stage IV(合併症あり)

糞便性腹膜炎

 

・入院治療

・絶食

・静注抗菌薬投与

・緊急外科コンサルトおよび手術による切除(腹腔鏡洗浄による治療は不適切)

・アセトアミノフェンと鎮痙剤による疼痛管理

 

 

 

 

 

Antibiotics

 

過去には全ての患者に抗菌薬治療が行われてきた

 

二つのrandomized trialsといくつかのobservational studiesでは合併症を伴わない大腸憩室炎(Hinchey stage 0, Ia, and Ib with abscess < 5cm)を抗菌薬投与なしに安全に治療できることが示された(23, 24)。これらのstudiesでは回復までの期間、合併症および再発に関して抗菌薬を投与されたグループとされなかったグループにおいて有意差が認められなかった

 

 

現在いくつかのガイドラインでは抗菌薬は合併症を伴わない大腸憩室炎患者に対しルーチンでなく選択的に投与することが推奨されている(21)

 

 

免疫不全がなく、状態が安定していてCTにて合併症が認められない事が確認され、フォローアップが期待できる患者においては抗菌薬投与なしに治療を行う事が可能とされている。その際clear liquid dietを摂取し、アセトアミノフェンによる疼痛治療を行う。2〜3日しても改善を認めない場合は抗菌薬投与を開始する

 

 

安定していて免疫不全のない合併症を伴わない憩室炎患者では経口抗菌薬が考慮される

いくつかのprospective randomized and open-label trialsでは、これらの患者に対する静注抗菌薬投与は経口抗菌薬に比べ利益が認められなかった(25)。また4日間投与は7日間投与と同等の効果であった(26)

 

 

 

状態が安定している小さな膿瘍を伴う憩室炎患者も外来にて治療を行うことが可能である。その際、経口抗菌薬はより長い投与期間が必要となる

 

 

腸管穿孔、大きな膿瘍、sepsis、腸閉塞、経口摂取不能、あるいは他の重篤な疾患を合併する憩室炎患者では入院における静注抗菌薬投与が必要となる

 

 

 

憩室炎治療に関する特定の抗菌薬を比較したtrialsは限られている。一般的にはグラム陰性菌と嫌気性菌をカバーするbroad-spectrumの抗菌薬が使用される

 

 

外来でよく投与されるのはfluoroquinoloneあるいはtrimethoprim-sulfamethoxazoleとmetronidazoleの併用である。単剤ではmoxifloxacinあるいはamoxicillin-clavulanateが使用される。入院患者で静注によるfluoroquinoloneとmetronidazoleの併用、単剤ではticarcillin-clavulanic acid、ertapenem、moxifloxacinが推奨される

 

 

 

重篤な患者、特に免疫不全患者ではmeropenem、imipenem-cilastatin、piperacillin-tazobactam、doripenemなどが必要になる場合がある(27, 28)

 

 

 

 

抗菌薬治療

 

合併症を伴わない軽度の憩室炎外来治療(27, 28, 29)

 

単剤治療

Amoxicillin-clavulanic acid 875mg/125mg  1錠12時間毎 あるいは 1000mg/62.5mg  2錠12時間毎

Moxifloxacin 400mg 1錠24時間毎

 

併用治療

Trimethoprim-sulfamethoxazole DS 160mg/800mg 1錠12時間毎 あるいは

Ciprofloxacin 750mg (or 500mg) 1錠12時間毎 あるいは

Levofloxacin 750mg 1錠24時間毎

Metronidazole 500mg 1錠6時間毎 併用

 

投与期間

4〜7日間(if source controlled / abscess drained)

 

 

合併症を伴う軽度〜中等度の憩室炎入院治療(28, 30)

 

単剤治療

Ertapenem 1g 静注 24時間毎

Moxifloxacin 400mg 静注 24時間毎

Ticarcillin-clavulanic acid 200-300mg/kg/日 分割した量を4-6時間毎静注

 

併用治療

Cefazolin 1-2g 静注 8時間毎 あるいは

Cefuroxime 1.5g 静注 8時間毎 あるいは

Ceftriaxone 1-2g 静注 12-24時間毎 あるいは

Cefotaxime 1-2g 静注 6-8時間毎 あるいは

Ciprofloxacin 400mg 静注 12時間毎 あるいは

Levofloxacin 750mg 静注 24時間毎

Metronidazole 500mg 静注 8-12時間毎 あるいは 1500mg  静注 24時間毎 併用

 

投与期間

4〜7日間(if source controlled / abscess drained)

 

  

合併症を伴う重度憩室炎・腹膜炎入院治療(28, 30)

 

単剤治療

Imipenem-cilastatin 500mg 静注 6時間毎 あるいは 1g 静注 8時間毎

Meropenem 1g 静注 8時間毎

Doripenem 500mg 静注 8時間毎

Piperacillin-tazobactam 3.375g 静注 6時間毎

 

併用治療

Cefepime 2g 静注 8時間毎 あるいは

Ceftrazidime 2g 静注 8時間毎 あるいは

Ciprofloxacin 400mg 静注 12時間毎 あるいは

Levofloxacin 750mg 静注 24時間毎

Metronidazole 500mg 静注 8-12時間毎 あるいは 1500mg  静注 24時間毎 併用

 

投与期間

4〜7日間(if source controlled / abscess drained)

 

 

 

 

 

Diet 

 

大腸憩室炎の急性期における食事治療に関するエビデンスは少ない。伝統的にはclear liquid dietから開始し、徐々にlow-fiber dietに変更し、症状が改善するまで継続することが行われている

 

一つのsmall, uncontrolled prospective studyでは合併症を伴わない憩室炎患者に対し制限を行わずに食事を与えた場合、耐用性は良好であった。しかし8%の患者において重篤なイベントが認められた(30)

 

よって軽度の憩室炎患者にはclear liquid dietを開始し、症状が改善し始めたら、徐々にlow-fiber dietに変更し、回復するまで継続することが妥当である。回復した後はred meatの少ないhigh-fiber dietが推奨される。重篤な入院患者の場合は安定するまで絶食することが推奨される

 

 

Pain Management 

 

憩室炎の疼痛管理に関するエビデンスも乏しく、多くのガイドラインでは扱っていない

 

NSAIDsは憩室炎合併症への関連が認められ急性期は避けるべきである(9)。同様にオピオイドも穿孔性憩室炎のリスクが上がる可能性がある(13)。しかし実際には多くの場合これらの鎮痛剤は急性期に投与されている

 

アセトアミノフェンとdicyclomineのような鎮痙剤が軽度から中等度の憩室炎の疼痛およびcrampingコントロールの第一選択である

 

 

Surgical Management 

 

合併症を伴わない患者、および重篤な症状、不安定な他の疾患、免疫不全などを伴わず経口摂取が可能で、社会的サポートが利用できるStage Ib(小さな憩室周囲の膿瘍)の患者では外来治療が考慮される(19)

合併症を伴わないHinchey stage Iaの大腸憩室炎患者132人で行われたrandomized trialでは入院治療と外来治療の比較において、再入院、緊急手術・経皮的ドレナージの数に有意差が認められなかった(29)。その際、抗菌薬と疼痛剤を1回投与しても疼痛あるいは発熱が持続した患者はtrialから除外されている

 

 

 

 

大きな膿瘍、腹膜炎、あるいは保存的治療に反応しない強い症状が認められる場合などは外科コンサルトが必要となる。 また腸閉塞や瘻孔形成の際も外科の介入を要する。重度の憩室炎あるいは再発を繰り返す場合も外科による評価が有益である

 

大きな膿瘍(3-4cm以上)で経皮的ドレナージを考慮する場合はinterventional radiologistにコンサルトすべきである

 

頻回に憩室炎を再発する患者の慢性的な症状が憩室炎の再発であるかが明らかでない場合など消化器内科コンサルトが考慮される。また診断が明らかでなく、炎症性腸疾患や大腸癌などの可能性がある場合も消化器内科による評価が必要となる。そして、最近大腸内視鏡検査を受けていない場合では、全ての患者において罹患4〜8週間後に内視鏡検査を行う事が推奨される

 

 

 

 

外科的治療の適応は合併症を伴う憩室炎である(穿孔、膿瘍、狭窄、瘻孔)。これらの適応に対する外科的治療は発展してきてより非侵襲的になってきている

 

 

小さな膿瘍(3〜4cm以下)、phlegmons、腸管外の少量のfree airは通常抗菌薬のみにて治療可能である(Hinchey stage 0 and I)(31)

 

より大きな膿瘍は経皮的ドレナージによって、特に抗菌薬投与のみでは不十分な場合は、治療が行われる。膿瘍の場所によっては腹腔鏡的ドレナージが必要になる

 

憩室炎が瘻孔や狭窄による慢性閉塞を合併する場合は症状を緩和するために、通常外科的切除が必要となる

 

sepsis、汎発性腹膜炎(Hinchey stage III and IV)、保存的治療でも安定しない場合は緊急外科的治療が必要になる(20)

 

 

外科的治療を必要とする患者に対するアプローチは依然はっきり定まっていない

伝統的にはend colostomyとHartman pouch(肛門直腸断端の閉鎖)によるS錠結腸切除術が行われてきたが、この方法では合併症の発症率およびpermanent stomaになる率が高い。代替治療としてprimary anastomosisとdiverting loop ileostomyによるS状結腸切除術が提案されている。この方法では合併症の率が低く、stomaもreverseできる率が高いとされているが(32, 33)、studiesは規模が小さく、後ろ向き試験である

 

重篤な状態の、あるいは他の重症疾患を複数持つ、汎発性腹膜炎を合併した患者ではHartoman pouchによる結腸切除術が選択される(20)

 

化膿性腹膜炎(Hinchey stage III(非糞便性腹膜炎))をコントロールしprimary anastomosisによる待機的手術を行う手段として腹腔鏡洗浄が提案されている。この手技は膿瘍の吸引、腹腔洗浄、およびドレーン留置からなる

この治療に関するエビデンスは混在している

3つの小さなrandomized studiesを含む7つのstudiesのmeta-analysisでは、結腸切除術を行ったグループに対して腹腔鏡洗浄を行ったグループの方が術後腹腔内膿瘍、腹膜炎、緊急再手術の率が高いことが示された(34)。しかしこれらのstudiesはenrollmentが連続的でないこと、外科的手術が標準的でないことなどの批判を受けている

これらのrandomized trials以前に出されたガイドラインでは結腸切除に対する代替治療として切除を伴わない外科的治療は適切でないとされている

 

 

糞便性腹膜炎(Hinchey stage IV)の場合は一貫して結腸切除が推奨されている(20)

 

 

 

合併症を伴わない再発性の大腸憩室炎に対し待機的外科手術が考慮される。過去においては憩室炎を2回発症した後に推奨されていた。しかし、蓄積されてきたdataでは憩室炎の自然な経過上、悪化進展しないことが示されている。多くの合併症(瘻孔や閉塞以外)は初回あるいは2回目の憩室炎の際に起こり、再発の際に緊急手術が必要になることは稀である(35)。さらには待機的手術後の合併症が多く(10〜15%)、また手術によって再発をなくすことはできない(8年間で5〜8%)(36)。手術後のQOLに関するdataも混在している。したがって合併症を伴わない再発性憩室炎に関する待機的手術の推奨はcase-by-caseで、重症度、再発の回数、QOLへの影響、免疫抑制剤投与の有無、外科手術のリスクおよび患者の好み等を考慮した上で判断される(20)

 

 

American Society of Colon and Rectal Surgeonsのガイドラインでは大腸憩室炎の待機的結腸切除を行う場合、可能なら腹腔鏡的アプローチが推奨されている(20)。手術後の再発リスクを減らすために、全S状結腸切除および憩室炎が起こった全ての区域を切除することがより好ましい(20)

 

 

Prognosis

 

大腸憩室炎初回発症後10年の再発率はおよそ20%、2回目発症後10年の再発率は55%、3回目発症後3年の再発率は40%である

 

 

 

Prevention 

 

外科的治療がより非侵襲的になってきている事、腸管慢性炎症や腸内細菌叢失調などが病態に関わっているとの新たな理論が出てくる中で大腸憩室炎の薬物的再発予防が注目されている

mesalamine(炎症性腸疾患に使用される抗炎症薬)、rifaximin(吸収されにくいbroad-spectrum抗菌薬)、probioticsの三つの薬剤が研究されている

 

その中ではmesalamineが最もよく研究されているが、6つのrandomized trialsとmeta-analysisではプラセボに比べ再発予防に効果が認められない事が明らかになった(36)

 

rifaximinとprobiotecsはそれぞれ一つの小さなtrialで調べられている。したがってこれらの薬剤の再発予防に関する効果は不明である

 

よってAmerican Gastroenterological Associationのガイドラインではこれら三つの薬剤を大腸憩室炎再発予防に投与することを推奨していない(22)

 

 

 

食事および生活習慣が大腸憩室炎の発症に関連する。食事および生活習慣への介入が憩室炎の再発リスクを減らす可能性がある(36)。 憩室炎既往のある患者ではhigh-fiber dietあるいはfiber supplementの摂取、red meat摂取の減量、aspirin以外のNSAIDsを避ける、禁煙、適正体重の維持、定期的な運動、等が推奨される

 

オピオイドやコルチコステロイドも憩室炎の発症に関連するため、既往のある患者では避けるべきである(37)

 

 

いくつかのstudiesではビタミンDの値が低い、あるいは紫外線暴露の低い地域に住んでいる人は大腸憩室炎のリスクが高まることが示されている(16)。よって再発性憩室炎患者においてはビタミンD値のモニターや補足投与が考慮される 

 

 

 

 

 

 

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IN THE CLINIC

1 May 2018 Volume 168 Number 9