レジデントノート

米国にて内科修行中。何ができるか模索している過程を記録していく

多発性硬化症

体温上昇、確認できる感染、他に偽再発の誘因がなく、新たな神経症状あるいはその悪化が24時間以上続くことを再発の定義とする 再発が確認された時の標準治療は高用量コルチコステロイドであり、典型的にはメチルプレドニゾロン 1日1g静注を3〜5日を経口薬の…

COVID19(米国施設ガイドライン)

2021年5月20日作成 推奨・エビデンス NIH:National Institute of Health(国立衛生研究所) 推奨 A:強く推奨 B:中等度推奨 C:オプショナルで推奨 エビデンス I:one or more randomized trials without major limitations IIa:other randomized trials …

肺高血圧

肺血管床は通常抵抗が低く、全身循環のおよそ15〜20%の圧で全心拍出量を収容できる容量がある。肺高血圧では上昇した肺動脈圧が拍出量を維持しようとする薄い壁でできた右室に負荷をかける。効果的な治療なしでは、進行する右室機能不全が症状の悪化をもた…

不眠

restless legs syndromeがある場合はフェリチンを測定する。低値あるいは正常低値の場合は鉄剤治療の適応となるかもしれない(1) FDAに承認されている不眠治療薬の中で他に比べより推奨される特定の薬剤はない American Academy of Sleep Medicine(AASM)…

急性膵炎

急性膵炎は膵臓の急性炎症で単発あるいは再発のイベントとしておこる 急性膵炎は軽度の炎症による軽い間質性の膵炎から広範囲の膵壊死によって多臓器不全を起こすものにまでわたる疾患である 診断は3つの特徴のうち少なくとも2つ以上認めることに基づいて…

せん妄

せん妄は突発性の混乱、時間による動揺、注意力低下、意識レベルの異常を特徴とする急性の脳機能障害である(1-3) せん妄(delirium)、脳症(encephalopathy)、急性錯乱状態(acute confusional state) に対する用語が近年改訂され、専門家がそれぞれ特…

C型肝炎ウイルス

全経口投与可能、短期間投与、耐容性良好、広く入手可能、効果の高い急性および慢性C型肝炎ウイルス感染に対する抗ウイルス薬の急速な発達によってウイルスの根絶が達成可能なゴールとなっている。2016年にWHOは2030年までにHepatitis C virus (HCV)の影響を…

慢性閉塞性肺疾患

慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease (COPD))はよく見られる予防および治療が可能な疾患で、持続的な呼吸症状と肺活量測定によって確認される進行的な気道閉塞を特徴とし、有害な粒子やガスに対する肺の異常な炎症反応と関連する(1-5)…

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症は甲状腺が末梢組織の需要に見合うだけの十分な甲状腺ホルモンを産生できない状態である 原発性甲状腺機能低下症は甲状腺自体の疾患による甲状腺不全を指し、全ての甲状腺機能低下症の99%以上を占める(1) 原発性甲状腺機能低下症は基準範…

全身性エリテマトーデス

Systemic Lupus Erythematosus (SLEあるいはループス)は免疫システムが体中の正常な細胞と組織を攻撃することによって起こる病態である。SLEの免疫反応はBリンパ球とTリンパ球の過剰な免疫応答と自己抗原に対する免疫寛容の欠如によって特徴づけられる。抗体…

好酸球性食道炎

好酸球性食道炎は比較的新たな疾患で最初に認識されたのは1990年代である 食物アレルギーによってもたらされ、食道の慢性炎症、線維化、狭窄をきたす(1) 悪性疾患に進展する可能性はないと考えられているが、食物が詰まるなどの急性のイベントが起こり、患…

甲状腺機能亢進症

甲状腺中毒症(thyrotoxicosis)は血清および組織におけるサイロキシン(T4)、トリヨードサイロニン(T3)あるいはその両方が過剰になることで起こる病態である 甲状腺機能亢進症(hyperthyroidism)は甲状腺の活動過剰によって起こる甲状腺中毒症のことを…

線維筋痛症

線維筋痛症はよく見られる疾患で主症状は慢性的で広範囲にわたる疼痛である(1) 有病率は用いる診断基準によって4倍も異なりえる(2) 線維筋痛症は人口のおよそ2〜4%が罹患している(2) 線維筋痛症は費用がかかり、生産性の喪失や機能障害による社会へ…

診療外の風景

ICUの受付のおばちゃんが「あんたは痩せているからもっと食べろ」と言っていろんな物をくれる

閉塞性睡眠時無呼吸症候群

閉塞性睡眠時無呼吸 (obstructive sleep apnea (OSA) ) はオキシヘモグロビンの酸素飽和度低下と睡眠断片化をもたらす睡眠中の繰り返す上気道閉塞を特徴とする OSA syndromeはOSAとその結果起こる症状(典型的には日中の眠気など)を合わせたものと定義され…

診療の風景

救急外来で転移が広がっている乳癌の女性を問診していたら、タバコも吸わない、お酒も飲まない、ドラッグもしない、とのことであった 「セックスも1人の男性とのみよ。こんな事ならもっと好き放題しとくべきだったわ」 と笑いながら言っていたので 「ほんと…

2型糖尿病

糖尿病は内科医が最もよくみる疾患の一つである。米国ではおよそ3030万人(9.4%)が罹患していると推定され、そのうち2310万人のみが診断されている(1) 現在のトレンドだと2050年にはおよそ2倍になると予想されている(2) 米国において糖尿病は失明、肢切断…

喘息

喘息は最も多くみられる呼吸器疾患で、気道炎症と気道過敏性を伴う可逆的な気道閉塞を特徴とする 世界中で3億人以上が罹患し、米国には2600万人存在する(1) 喘息による健康および経済的な負担は非常に大きく、米国では毎年1100万件の外来受診および100万…

認知症

認知症は二つあるいはそれ以上の認知機能の低下と定義され、覚醒や注意ではなく機能の障害を呈する 認知能力の低下は、出生時から存在し子供の時に症状が確認されその後終生みられる intellectual disability(知的障害)(以前はmental retardation (精神遅…

虚血性心疾患

Stable Ischemic Heart Disease Stable ischemic heart disease(虚血性心疾患)は多くの国で死亡原因の第一位であり、多大な医療費を要し、米国では年間およそ数千億ドルにものぼる(1) 酸素需要と血液供給の不均衡によって起こる虚血性心疾患は通常medium…

明日からできる医師の働き方改革

日米両国で臨床に携わって感じていることを端的に言うと アメリカで働くのは楽である これは限られた経験に基づく個人的な見解ではあるが、経験者に確認すれば多少の同意を得られるのではないかと思っている もちろん働き始めた時は吐きそうになるくらい緊張…

Preventing Firearm-Related Death and Injury

米国において銃器に関連した死および傷害はpublic healthに関わる重大な問題である。データが利用できる最近10年、2008年から2017年の間で米国における銃器に関連した死亡者数は342439人であり、第二次世界大戦中の銃創による米国人死亡者数をも上回る。また…

高血圧

近年高血圧治療に関するいくつかの新しいガイドラインが発表された(1, 2, 3)。新しいガイドラインでは最近の臨床試験やアップデートされたエビデンスに基づき、かなりの変更が含まれている(1, 2, 3)。いくつかの問題に関するガイドライン間での相違は大…

友がみなわれよりえらく見ゆる日よ

更新の確認で送られてきた軍病院の卒業名簿に書かれている各学年の卒業後の進路を何気なく眺めていたら、まさにそんな気分になった 滑り込みでなんとか場末の病院(なんて言ったら怒られそうだけど)に拾ってもらえた身にはなんだかとても眩しいものに見えた…

不安障害

不安はストレス下では適切な反応であるが、生活機能に障害をきたしたりコントロールできない状態は病理学的なものと捉えられる generalized anxiety disorder(GAD:全般性不安障害)はプライマリケアで見られる最も多い不安障害で、米国成人のおよそ4〜7%…

避妊

米国における全ての妊娠の45%は意図しない、あるいは予定の時期からはずれたものと報告されている 意図しない妊娠は生殖に関わる健康格差の指標でもある。なぜならこれらは有色の女性や国の定めた貧困レベル以下の人たちにより多くみられ、偏りのある社会経…

SMAP理論

新専門医制度に変わると自分はどこに入れてもらえるのだろうか、などと考えるこの頃だが、少し前までであれば「一般内科医」と言えばよかったのかもしれない。循環器や消化器などのサブスペシャリティを持たず内科一般の疾患に対応するとされる医師だ 今まで…

関節リウマチ

関節リウマチは慢性全身性疾患で米国成人の0.5〜1%、およそ150万人が罹患している(1) 女性により多くみられ、全ての年齢で起こるが50〜60歳が発症のピークである 症状は左右対称性の疼痛、腫脹が手指、手首、足、膝などに多関節炎としてみられるが、他の関…

在宅高齢者の転倒予防

転倒は70歳以降10歳毎にその発生率が2倍に増えていく 転倒は意図しない傷害による死亡の3番目に高い原因である(1) 転倒は高齢者の非致死的および致死的傷害の最も多い原因である(2, 3) 傷害に至らない転倒であっても、機能低下、精神的ストレス、自立…

非アルコール性脂肪肝疾患

Nonalcoholic fatty liver disease(NAFLD)は肥満の増加に伴って非常にその数が増え、現在では米国および世界で最も多い慢性肝疾患となっている(1) 病理学的にNAFLDは80%以上の患者にみられるnonalcoholic fatty liver(NAFL)(あるいはisolated hepatic…