レジデントノート

米国にて内科修行中。何ができるか模索している過程を記録していく

心不全

 

心不全の罹患率は年齢と共に増え、lifetime riskは20〜45%にのぼる

 

 

時代とともに診断後の生存率は改善しているが、依然死亡率は高いままである。およそ50%の人が診断5年後には死亡している

 

 

心室不全はEFの低下した心不全(HFREF/systolic dysfunction)とEFの保たれた心不全(HFPEF/diastolic dysfunction)に分けられる。実際は病態の過程で両者が連続性に起こり、また同時に存在することも多い

 

 

HFREFとHFPEFを分ける事は治療方法を決定する上で重要である

 

 

StudiesではEFのカットオフを35-45%として両者を区別される事が一般的であるが、American College of Cardiology Foundation (ACCF) のガイドラインではEF40%以下をHFREF、50%以上をHFPEFと定義している。41〜49%はborderline HFPEFとされている

 

 

ACCFとAmerican Heart Association (AHA)は心不全リスクのある、あるいは既に心不全を認める患者のoutcomesを改善するための治療選択を助けるためにstaging systemを作成している

 

ACC/AHA Stages of Heart Failure

A: 器質的心疾患や症状はないが心不全のリスクが高い

B: 症状を伴わない器質的心疾患を認める

C: 過去に、あるいは現在症状を伴う器質的心疾患を認める

D: 特異的治療を要する難治性心不全を認める

 

 

 

New York Heart Association (NYHA) classificationは主観的評価に基づいているが、死亡率の予測に有効であることが認められている(1)

 

 

 

 

予防

 

心不全の治療は急性増悪治療からリスクファクターへの対応によって慢性および予防できうる症候への治療に重点がシフトしてきている

 

 

心不全の主なリスクファクターは高血圧、冠動脈疾患、糖尿病、肥満、および喫煙である(2)

 

 

修正できないリスクファクターには人種、性別、家族歴などがある

 

 

修正できうるリスクファクターを減らすことによって心不全の発症率を大きく減らすことができる(3)

 

 

冠動脈疾患は心不全の最も一般的な原因である

 

 

長期間未治療の高血圧はHFREFとHFPEFの両方の発症に関連し、冠動脈疾患の独立したリスクファクターでもある

 

 

高血圧の強化的な治療は左室肥大の新たな発症を減らし、また左室肥大の改善を促す(4, 5)

 

 

meta-analysisでは血圧が10mmHg下がると、心不全の発症を28%減らし、全ての原因による死亡率を13%減らすことが確認されている(6) 

 

 

糖尿病は心不全のリスクを倍以上にし(7, 8)、また高血圧、冠動脈疾患、肥満などの他のリスクファクターと同時に存在することが多い

 

 

糖尿病は微小血管病変によって心筋を器質的および機能的に変化させdiabetic cardiomyopathyを形成する。血糖コントロール不良は心不全発症の大きなリスクとなる(9)

 

 

アルコールは直接心筋障害を起こすtoxinであり、心不全の原因となる。アルコール摂取を中止することによって左室機能不全を改善させることができる(10)

 

 

甲状腺機能亢進症は心房細動や頻脈を起こし、心不全の発症や悪化をもたらす。甲状腺機能の正常化が心室機能を改善する(11, 12)。他の原因によって持続する頻脈も心室機能不全を引き起こすが、rate controlや頻脈の消失によって機能が可逆的に改善する(13)

 

 

obesity-related cardiomyopathyは心筋の脂肪沈着、血圧上昇および循環血液量増加による心負荷、および他のメカニズムによって起きると考えられている

 

 

炎症に起因するものではSLEやHIVなどの全身性疾患による心筋炎(14)、稀なものでは重度心不全をきたすgiant cell myocarditis、スルフォンアミドやペニシリンなどの様々な抗原に対するアレルギー反応で起こるhypersensitivity myocarditisなどがある

 

 

他の全身性疾患で心不全をきたすものにはfibrillar proteinの沈着によるアミロイドーシス(15)、非乾酪性肉芽種に関連するサルコイドーシスなどがある。ヘモクロマトーシスなどの鉄代謝異常や頻回の輸血などによって過剰な鉄が心筋に沈着してHFREFやHFPEFを起こし得る

 

 

遺伝性の心筋症にはhypertrophic cardiomyopathyなどがある。またDuchenne muscular dystrophyやBecker muscular dystrophyなどの遺伝性筋dystrophyなどでも心筋障害が起こる場合がある

 

 

 

 

 

診断

 

心不全を疑う初回評価において病歴聴取および身体診察は重要不可欠である。症状を伴わない左室機能低下患者に心不全治療を開始することで症状の発症を遅らせ、生命予後を改善する非常に強いエビデンスが確認されている事から、症状を伴わない患者の心不全の初期のサインを見つけることは非常に重要である(16)

 

 

新規発症の全ての心不全患者にechocardiographyを行う必要がある

 

 

初回血液検査では血算および肝酵素、TSH、脂質を含む一般生化学検査を評価する必要がある。またヘモクロマトーシス、HIV、リウマチ性疾患、アミロイドーシス、褐色細胞腫などを疑う場合は適宜検査を追加する

 

 

B-type natriuretic peptide (BNP)やN-terminal pro-BNP (NT-proBNP) は心室容量および内圧の上昇に伴って上がり、急性の呼吸困難が心不全によるものかどうかの鑑別に有用である。また診断されていない心不全のハイリスクグループのスクリーニングにも使用される(17, 18, 19, 20)

 

 

BNP・NT-proBNPは女性、高齢者、腎不全、急性冠症候群、急性呼吸器疾患などでは高くなり、肥満では低くなる傾向にあるので結果の解釈にはそれらを考慮する必要がある(21, 22)

 

 

BNP・NT-proBNPはリスク評価および予後予測に使用されるが(23)、studiesではエビデンスが混在しており心不全の治療決定のために使う事は推奨されていない(24, 25)

multicenter GUIDE-IT studyでは、心不全のハイリスク患者1100人(30日以内のBNP上昇および心不全による入院歴を有する)をNT-proBNPをガイドに行う治療グループと通常の治療グループに分けて試験が行われたが、両者間でprimary outcom(心不全によって入院するまでの時間、心血管死)に有意差が認められなかったため、試験は早期に中断された(24)

 

 

ACCF/AHAガイドラインは新規発症の全ての心不全患者に心電図検査を行うことを推奨している

 

 

冠動脈疾患の既往があるが狭心症症状を認めない患者で新規に心不全を発症した場合は心筋虚血を評価する目的に画像検査によるストレステストを行うことは道理的である。これによって生存している心筋の範囲を同定でき、血管再建術を行うかの判断に有用となる

 

 

心筋虚血が疑われる場合は冠動脈造影やCT angiographyが適応となる

 

 

重篤な入院患者でvolume statusや心拍出機能が不明な場合は血行動態を評価する目的に右室カテーテルが使用される

 

 

確定診断が治療に影響を及ぼす場合には特定のタイプの心筋症では心筋生検が行われる

 

 

ワイヤレスで情報を送る埋め込み型肺動脈圧モニターも有用である

CHAMPION trialでは外来患者で日々肺動脈圧を評価し治療を修正することによって有意に心不全による入院率を下げることが認められた(26)。またHFREF患者のサブセットグループでは死亡率が減少する傾向にあった(27)

 

 

 

 

 

治療

 

β-Blokers

NYHA classにかかわらず全ての心機能低下患者の第一選択薬となる。多くのlarge randomized controlled studiesで心不全患者に対しcarvedilol、bisoprolol、long-acting metoprolol succinateが入院、突然死、全死亡率を有意に下げることが確認されている。死亡率の低下は23%〜65%とされている(28, 29, 30, 31)。他のβ-blokersの重要なエビデンスがないため、臨床試験で使われているこれらのβ-blockersが好まれて使われている

 

 

ACE inhibitors

禁忌でなく患者が耐容できるかぎり全ての収縮機能が低下した心不全患者に投与されるべきである。死亡率、入院、心不全悪化、心筋梗塞を減らすことが多くのlarge randomized controlled trialsで確認されており、死亡率減少は30%までにのぼる(32, 33, 34)

 

 

Angiogensin-receptor blockers

ACE inhibitorsが投与できない患者に使用される。死亡率減少(30%-45%)などACE inhibitorsと同等の効果がlarge randomized controlled trialsで認められている(35, 36, 37, 38)。ACE inhibitorsとARBsを併用することで左室容量を減少させ、入院を減らす可能性があることを示すstudiesが存在するが、死亡率への影響ははっきりしないため、routineでは推奨されていない

 

 

Angiotensin receptor-neprilysin inhibitors

適量のACE inhibitorsあるいはARBsに耐容している軽度から重度の心不全患者(NYHA class II-IV)において、ACE inhibitorsあるいはARBsをangiotensin receptor-neprilysin inhibitor(ARNI)で代用することによって心血管死あるいは心不全による入院をさらに20%減少させるとされている。副作用には血圧低下や腎機能低下がある。angioedemaのリスクがあるため、angioedemaの歴がある場合、またはACE inhibitorsとの併用あるいは最後のACE inhibitor投与から36時間以内には使用できない

PARADIGM-HF trialにおいてEF40%以下でNYHA class II〜IVの心不全患者8442人をenalapril(ACE inhibitor)を投与するグループと sacubitril(ANRI)とvalsartan(ARB)を併用投与するグループに分けて行われた試験ではsacubitril-valsartanグループの方が死亡率および心不全による入院率が有意に低い結果となった(21.8% vs 26.5%;hazard ratio 0.80 [CI 0.73-0.87]; P < 0.001)(39)

 

 

 

Hydralazine and nitrates

ACE inhibitorsあるいはARBsに耐容できない患者ではhydralazineとisosorbide dinitrateの併用投与が代替薬となる。この併用治療は死亡率の減少がACE inhibitorsには及ばないもののプラセボよりは有効であることが認められた(40)。アフリカ系アメリカ人の重度の心不全患者(NYHA class III-IV)ではhydralazineとisosorbide dinitrateの併用投与を通常治療(ACE inhibitor or ARB and β-blocker)に追加することによって死亡率を43%下げ、心不全による入院を33%減少させ、またQOLを向上させるとされている(41)

 

  

Aldosterone antagonists

ACE inhibitorsとβ-blockersの投与にもかかわらず、軽度から重度の症状(NYHA class II-IV)を認める場合は低量のaldosterone antagonistを追加することで死亡率を減少させるとされている。spironolactoneが最もよくstudiesに使用されているが、時おり男性に疼痛を伴う女性化乳房の副作用を認める

RALESはNYHA class III-IVの心不全患者1663人で適切治療にspironolactoneを追加するグループと追加しないグループに分けて行われた試験であるが、spironolactoneを追加したグループにおいて有意に死亡率が低かったため(284 vs 386 deaths; P < 0.001)試験は早期に中断された(42)

 

eplerenoneはより選択的なaldosterone antagonistで女性化乳房の副作用が比較的少ない。心筋梗塞後でEF40%以下の患者において全ての原因による死亡率を減少させることが確認されている(43)

EMPHASIS-HF trialはNYHA class IIの心不全患者2737人で行われたdouble-blind trialであるが、適切治療にeplerenone(up to 50mg/d)とプラセボを追加投与して比較した結果、死亡率および心不全による入院率がeplerenoneグループにおいて有意に低かったため試験は早期に中断された(18.3% vs 25.9%; HR 0.63 [CI 0.54-0.74]; P < 0.001)(44)

 

 

Ivabradine

Ivabradineは洞房結節のdepolarizing If currentを選択的に抑制して心拍数を下げる新薬である。最大耐容量のβ-blockerを含む適切治療を受けており、洞調律でかつ安静時心拍数が70/min以上の軽度から中等度の心不全患者(NYHA class II-III)においてIvabradineを追加投与することで心不全による入院率を下げることが確認されている。慢性心房細動あるいは洞調律性の徐脈患者では適応にならない。副作用は症候性徐脈や視覚障害がある

SHIFTはEF35%以下、洞調律で心拍数70/min以上、最大耐容量のβ-blockerを含む適切治療を受けていて症状を有する心不全患者6558人で行われた試験で、ivabradine(titrated to a maximum dose of 7.5mg twice daily)グループの方がプラセボグループと比較してcomposite end point(心血管死と心不全による入院)が良かったことが認められた(24% vs 29%; HR 0.82 [CI 0.75-0.90]; P < 0.0001)(45)

 

 

Diuretics 

利尿薬は短期的に症状に対する利益を持つ唯一の治療薬である。最近のobservational studyではacute decompensated heart failureで救急外来受診した患者に対し早期に(救外到着60分以内)ループ利尿薬静注が投与された場合、入院死亡率が低いことが示された(46)。ほかのrandomized trialではacute decompensated heart failureで入院した患者に利尿薬静注を、低量(外来経口投与量と同等)あるいは高量(外来投与量の2.5倍)を、12時間ごとにbolus投与したグループと持続静注投与されたグループの比較において、主観的な症状および腎機能に両者間で有意差が認められなかった(47)。しかし、心不全における利尿薬の長期的な安全性や死亡率への影響を評価したprospective clinical trialsは存在しない

 

ループ利尿薬は病態の進行を抑制しないためHFREFの治療に単独で使用すべきでない。furosemideに比較しtorsemideとbumetanideは吸収速度が速く、bioavailabilityが高い。経口furosemideに反応が悪い患者では、経口torsemideあるいはbumetanideに変更することで利尿を得られる場合がある。metolazoneのようなサイアザイド利尿薬が利尿効果を高めるために追加される場合もある

 

 

Digoxin

digoxinはHFREF患者の症状を緩和し、入院率を下げる。しかし生命予後を改善しないため症状を有する心不全患者(NYHA class II-IV)にのみ限定されるべきである(48)。低カリウム血症および低マグネシウム血症はdigoxin toxicityのリスクを高めるため、電解質の定期的な評価が必要になる。large randomized controlled trialのpost hoc analysisで高い血清digoxin濃度(>1.2 ng/ml)が死亡率上昇と関連することが示されたため、治療域は0.5-0.8ng/mlが推奨されている(49)

 

 

 

HFPEFの治療

HFPEF患者の治療ゴールは悪化原因をコントロールすることである。高血圧はβ-blockers、ACE inhibitors、ARBsなどで治療されるべきである。冠動脈疾患患者で狭心症症状あるいは心筋虚血のサインがあればcoronary revascularizationが適応となる。心房細動ではガイドラインに基づいて治療されるべきである。ひとつのlarge randomized controlled trialではEFの保たれた患者(40%以上)においてcardesartanが入院率を減らすが心血管死は減少させないことが示された(50)。EFが保たれた患者(45%以上)で行われたlarge randomized trial(TOPCAT)ではspironolactoneがプラセボに比べ心血管死、心停止、心不全による入院を含むcomposite outcomeで有意差を認めなかった。BNPの上昇しているsubsetグループでは有効性が示されたが意義は不明である(51)

 

 

Inotropic agents

標準治療の経口薬に反応せず、臓器不全や心原性ショックのサインを認める重度のdecompensated heart failureの患者にdobutamineやmilrinoneなどのinotropic agentsを持続静注投与することによって心拍出量を上げ、後負荷を下げることができる。coronary revascularizationのような決定的治療につなぐために短期で心原性ショックの患者に持続静注投与が行われる。あるいは中長期間、機械的循環補助や心臓移植へのbridge therapyとして使用される場合もある。さらにはそういった治療の対象にならないend-stage heart failureの患者に症状緩和目的で長期間投与されることもある。inotropic agentsは生存率を上げず不整脈のリスクを高めるので、臨床的適応がない場合の長期投与は有害となりえる

 

 

抗凝固療法

他に抗凝固療法の適応を認めない慢性のHFREFの患者にroutineでの抗凝固療法は臨床的に利益を認めないため推奨されていない(52)。EF 35%以下、洞調律で他に抗凝固療法の適応を認めない患者ではwarfarinとaspirinを比較投与した結果、脳梗塞、頭蓋内出血、全ての原因による死亡のcomposite outcomeにおいて両者間で有意差が認められなかった。下がった脳梗塞のリスクが主要出血リスクの上昇で相殺される形となった(53)。新規経口抗凝固薬は安全性において優位であり有効性も期待されるが、臨床試験で利益が証明されていないため現在のガイドラインでは推奨されていない

 

 

Exercise program

運動と生活習慣改善が指導下に行われるcardiac rehabilitation programは身体機能およびQOLを向上させるが、死亡率は下げない(54)

 

 

Intracardiac device

implantable cardioverter-defibrillator(ICD)は生命予後が1年以上期待でき、少なくとも心筋梗塞から40日以降で、標準的な心不全の薬物治療を受けている患者が適応となる。現在のガイドラインでは突然死のprimary preventionでICD植え込みが適応となるのはEF 35%以下、軽度から中等度の症状(NYHA class II-III)を認めるischemicあるいはnonischemic cardiomyopathyの患者である。さらに無症状(NYHA class I)でEF 30%以下のischemic cardiomyopathyの患者にも適応となる(55, 56)

 

心不全の進行とともに心室同期不全が起こり、心電図のQRS延長、心室収縮不全、僧帽弁機能不全、心室リモデリングなどが認められる。cardiac resynchronization therapy(CRTまたはbiventricular pacing)はこれらの変化を改善させることができる。この治療は無症状の患者(NYHA class I)、左脚ブロックがないQRS 150msc以下の患者、生命予後が1年未満の患者では適応とならない。適応となるのはEF 35%以下、洞調律で左脚ブロックがあり、QRS 150msc以上で、軽度から重度の症状(NYHA class II-IV)を認める標準的薬物治療を受けている患者である

 

 

生活習慣

脂質異常症、肥満、糖尿病などの心血管リスクを有する患者では推奨される食事摂取を行う必要がある。禁煙、アルコール摂取の節制も重要である。体重モニター、ナトリウム・水分制限も、特に症状があり進行した心不全患者における長期的な管理においては大切であるかもしれない。日々の体重測定によって利尿薬の調整を行うことで心不全悪化の予防に役立つかもしれない。患者が毎日体重測定を行い事前に決めていた値を超えた場合に医師に連絡して指導を受ける(通常1日で2-Ib(0.9kg)あるいは3日で5-Ib(2.2kg)以上の増加)。看護師、栄養士、home health staff、理学療法士などのサポートを受けることによって心不全悪化を防ぐ助けとなる。進行した心不全、特に低ナトリウム血症の患者では水分摂取制限(1.5ー2L/日)とナトリウム制限が利尿薬の効果を高め、うっ血を減らすために理にかなっている。しかし、これらの推奨はexpert opinionであり、small, uncontrolled and observational studiesから得られたdataに基づくものである。このエビデンスは混在しており、ナトリウム制限は有害ですらあると示唆するstudiesもある(57)。現在のAHAのガイドラインでは高血圧または左室肥大の患者にナトリウム摂取を1500mg/日までに制限することを推奨しており、この制限は比較的進行していない心不全患者(AHA stage A or B)に対しては理にかなっているかもしれない。進行した心不全患者(AHA stage C or D)ではナトリウム制限をgeneral population以下(< 2000ー3000mg/日)に推奨を行う十分なエビデンスがない

 

 

緩和ケア

心不全の進行とともに頻繁の増悪や改善後の予期せぬ増悪などが起こる。緩和ケアは心不全のそれぞれのステージでそれぞれ異なるタイプのケアを提供する。基本的な緩和ケアは症状マネージメントであり、advanced palliative careでは難治性の症状、精神社会的問題、終末期マネージメントなどを扱う。また扱われなければならないものには、鬱、社会的サポート、予後あるいは治療効果に対する患者の非現実的な期待、客観的な病態と患者の主観的な経験との相違、治療に対する患者の不安、新たな社会的あるいは職業的役割への適応、などがある。ガイドラインでは緩和ケアを心不全治療のroutine careとして組み込むことを推奨している(58)

 

 

 

 

 

 

 

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2018年6月5日