レジデントノート

米国にて内科修行中。何ができるか模索している過程を記録していく

インフルエンザ

 

インフルエンザワクチンは6歳以上の全ての人に毎年、理想的には10月末までに接種することが推奨されている(1)

 

ナーシングホームでのアウトブレイクの際は全ての入居者が抗ウイルス予防薬を少なくとも2週間、アウトブレイクより1週間長く継続する必要がある(2)

 

経口エンドヌクレアーゼ阻害薬のバロキサビルが抗ウイルス治療薬および予防薬として承認され、暴露後すみやかに開始された場合の高い予防効果が確認されている(3)

 

地域でインフルエンザが流行している際にはインフルエンザを疑う患者の臨床診断のために、あるいは抗ウイルス薬を処方するためにインフルエンザ検査を行う必要はない(2)。検査は結果が臨床マネージメントを変えうる場合に考慮されるべきである

 

成人においてCOVID-19はインフルエンザよりも重症度、入院期間、入院死亡率が大きいと報告されている(4)

 

外来においてインフルエンザが疑われる、あるいは確認された患者で入院を要しないが合併症あるいは重症化リスクがある場合には抗ウイルス薬治療が、たとえ発症から2日以上経過していても、推奨される(2)

 

インフルエンザが疑われる、あるいは合併症を伴わないインフルエンザと診断され、それ以外は健康で発症2日以内の患者に抗ウイルス薬治療を行うかは臨床判断に委ねられる

 

インフルエンザ入院患者への抗ウイルス薬治療に関するRCTが欠如するものの、CDCはインフルエンザ疑いの全ての入院患者に対し抗ウイルス薬治療を検査結果を待たずに少しでも早く開始することを推奨している(5)

 

入院患者での観察研究では抗ウイルス薬治療を発症の近くに、あるいは入院時(たとえ発症から48時間以上経過していても)に開始した場合には、治療しなかった場合あるいはより遅く開始した場合に比べより利益が大きかったと報告されている(6, 7)

 

 

 

 

1. Grohskopf LA ,  Alyanak E ,  Ferdinands JM , et al. Prevention and control of seasonal influenza with vaccines: recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices, United States, 2021–22 influenza season. MMWR Recomm Rep. 2021;70:1-28.

 

2. Uyeki TM ,  Bernstein HH ,  Bradley JS , et al. Clinical practice guidelines by the Infectious Diseases Society of America: 2018 update on diagnosis, treatment, chemoprophylaxis, and institutional outbreak management of seasonal influenza. Clin Infect Dis. 2019;68:e1-e47.

 

3. Ikematsu H ,  Hayden FG ,  Kawaguchi K , et al. Baloxavir marboxil for prophylaxis against influenza in household contacts. N Engl J Med. 2020;383:309-20.

 

4. Talbot HK ,  Martin ET ,  Gaglani M , et al; HAIVEN Study Investigators. Coronavirus disease 2019 (COVID-19) versus influenza in hospitalized adult patients in the United States: differences in demographic and severity indicators. Clin Infect Dis. 2021.

 

5. Centers for Disease Control and Prevention. Influenza Antiviral Medications: Summary for Clinicians. Accessed at www.cdc.gov/flu/professionals/antivirals/summary-clinicians.htm on 15 August 2021.

 

6. Katzen J ,  Kohn R ,  Houk JL , et al. Early oseltamivir after hospital admission is associated with shortened hospitalization: a 5-year analysis of oseltamivir timing and clinical outcomes. Clin Infect Dis. 2019;69:52-8.

 

7. Venkatesan S ,  Myles PR ,  Bolton KJ , et al; PRIDE Consortium Investigators. Neuraminidase inhibitors and hospital length of stay: a meta-analysis of individual participant data to determine treatment effectiveness among patients hospitalized with nonfatal 2009 pandemic influenza A(H1N1) virus infection. J Infect Dis. 2020;221:356-66.

 

 

 

 

アナルズオブインターナルメディシン

インザクリニック

2021年11月

 

 

 

 

クラミジア・淋菌

 

pelvic inflammatory disease(PID:骨盤内炎症性疾患)は臨床症状が多様で明瞭でない場合が多く診断が難しい。古典的診察所見であるcervical motion tendernessは現在の臨床では認められることが多くない

 

 

 

 

クラミジア

ドキシサイクリン100mg1日2回内服7日間

(以前のCDCガイドラインではアジスロマイシン1g 内服1回が第一選択であった。ドキシサイクリンと効果は同等であるが、ドキシサイクリンの方が症状を呈する泌尿生殖器感染症および直腸感染症において有効性が高い結果が示された(1-4))

 

代替

アジスロマイシン1g 内服1回

レボフロキサシン500mg1日1回内服7日間

 

 

 

淋菌

セフトリアキソン500mg筋注1回

 

セファロスポリンアレルギーの場合

ゲンタマイシン240mg筋注1回+アジスロマシン2g 内服1回

 

 

 

 

PID入院基準(5)

・外科的緊急(虫垂炎等)が除外できない

・妊婦

・経口薬に反応しない、あるいは経口服薬できない

・重症(嘔気、嘔吐、高熱、血行動態不安定)

・卵管卵巣膿瘍

・播種性淋菌感染症(関節炎、心内膜炎、髄膜炎)

 

 

 

 

 

 

1.  Kong FY ,  Tabrizi SN ,  Law M , et al. Azithromycin versus doxycycline for the treatment of genital chlamydia infection: a meta-analysis of randomized controlled trials. Clin Infect Dis. 2014;59:193-205. 


2. Dombrowski JC ,  Wierzbicki MR ,  Newman LM , et al. Doxycycline versus azithromycin for the treatment of rectal chlamydia in men who have sex with men: a randomized controlled trial. Clin Infect Dis. 2021. 


3. Lau A ,  Kong FYS ,  Fairley CK , et al. Azithromycin or doxycycline for asymptomatic rectal Chlamydia trachomatis. N Engl J Med. 2021;384:2418-27. 


4. Dukers-Muijrers NHTM ,  Wolffs PFG ,  De Vries H , et al. Treatment effectiveness of azithromycin and doxycycline in uncomplicated rectal and vaginal Chlamydia trachomatis infections in women: a multicenter observational study (FemCure). Clin Infect Dis. 2019;69:1946-54.


5.  Jones J ,  Weiss K ,  Mermin J , et al. Proportion of incident human immunodeficiency virus cases among men who have sex with men attributable to gonorrhea and chlamydia: a modeling analysis. Sex Transm Dis. 2019;46:357-63.

 

 

アナルズオブインターナルメディシン

インザクリニック

2021年10月

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

診療の風景2

 

入院患者の高齢女性が不穏だから見にきてくれとコールがかかった

見当識を確認しようと尋ねたら名前と場所は答えられ、日にちは言えなかったが年と月は合っていた

大統領は誰かと問うと「asshole」との答えが返ってきた

これを見当識障害とするかの判断には検者の政治的信条というバイアスがかかる気がする

 

 

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肝酵素異常を認める患者のケア

 

アミノトランスフェラーゼ上昇時

 

臨床評価と身体診察

肝毒性薬剤の中止

アルコール摂取中止

ウイルス性肝炎と脂肪肝のリスク評価

 

検査

CBC, AST/ALT, TB, albumin, PT/INR

iron panel/フェリチン, トランスフェリン飽和度

HBsAg, HBcAb, HBsAb, HCVAb

超音波検査 

 

 

肝障害の重症度評価

軽度(正常上限の2〜5倍)

リスクファクターと徴候より追加検査を検討(HbA1c, lipid panel等)

 

中等度(正常上限の5〜15倍)

ANA, ASMA, immunoglobulins, ceruloplasmin, A1AT level/phenotype

 

重度(正常上限の15倍以上)

HAV IgM/HAV IgG, ANA, ASMA, immunoglobulins, Ceruloplasmin, A1AT level/phenotype, HSV, EBV, CMV PCR, serum/urine toxicology,  アセトアミノフェンレベル、ドップラー超音波

 

 

ANA: antinuclear antibodies

ASMA: anti-smooth-muscle antibodies

A1AT: α1-antitrypsin

 

 

 

 

ビリルビン値上昇時

 

直接ビリルビンの上昇でない時

血液スメア、reticulocyte count、ハプトグロビン、LDH

 

直接ビリルビンの上昇時

超音波検査

他の原因を評価(セプシス、TPN投与、肝硬変、胆管閉塞)

 

胆管拡張なし

ANA, AMA, ASMA, immunoglobulins

胆管拡張あり

MRCP/EUS/ERCP

 

 

AMA: antimitochondrial antibodies

 

 

 

 

 

 

 

アナルズオブインターナルメディシン

インザクリニック

2021年9月

 

 

 

200床以下の病院でのCOVID入院診療

 

病床が足りず医療が逼迫する理由の一つに病床数200床未満の民間病院のおよそ8割が患者を受け入れていない事があるという。おそらく人とモノが分散している事に起因すると考えられるため、乱暴な話それらをまとめて大きめの公立の病院に変えてしまえば状況が改善しそうな気もするが、現実的な案ではないだろう。対策としてはそれらの病院が患者を受け入れられない理由を調べ、今出来そうな事、次回の波までに出来そうな事、あるいは次回のパンデミックまでに準備出来そうな事を挙げ可能な支援を行う。そのくらいの事は百も承知で検討されているだろうが、患者受け入れに応じない場合は病院名を公表する、そんな事が聞こえてくると方向性に疑問が生じてしまう

 

自分は現在アメリカの州境にある、200床未満の病院で勤務している。産婦人科、精神科ベッドをのぞいて一般病棟2棟およびICUの計50床で内科および外科系患者の入院診療を行なっている。パンデミックの当初からCOVID患者を受け入れており、病棟がCOVID患者とそれ以外に分けられている。ピーク時にはICUおよび1病棟のほぼ全てがCOVID患者で占められた時期もあった。公的な病院でそもそも患者を受け入れないという選択肢がなく条件も異なるが、何がCOVID入院診療を可能にする事に役立っているかを考えてみた

 

 

COVID診療において有用なものの一つに財政補助があるだろう。詳細は知らないが当院も行政から援助を受けているはずだ。そんな支援にもかかわらずパンデミックの最中病院が経営破綻したというニュースを日米両国で耳にした。COVID診療に手を出したがために財政破綻したなどという事があると、ますます周りの腰が引けてしまうため、願わくばそんな事態が起こらないよう政府は全力で受け入れ機関を守っていただきたい、と全体の財政事情も分かっていない自分は安易に思ってしまう

 

 

残念ながら財政支援以外で有効と思われる事はどれも今すぐ変えられそうにないものばかりであったが以下それを一つ一つ挙げていく

 

 

 

 

 

 

呼吸療法士

「人工呼吸器を扱える看護師がいない」。患者を受け入れられない理由の一つとしてそんな声が聞こえてきた。当院はICUを備え専属のナースがいる。そしてこんな事を言ったら怒られそうだが、呼吸器の知識に長け、容易に扱えるナースといって思う浮かぶ顔はあまりいない。専門家から言わせれば自分も五十歩百歩だろうが、それでも支障なくみんな勤務を行なっているように見える。その理由に呼吸療法士の存在がある。呼吸療法士が日勤および夜勤帯ともに常在し、呼吸器に関するトラブルシューティングを速やかに行ってくれるからだ。呼吸器患者の看護、体位変換、吸引などに関する助言も行なっているはずである。呼吸器患者の酸素飽和度が下がった場合なんか医師より先にコールされるくらいだ。「設定をこのように変更しましたがよろしいでしょうか」などと事後報告される場合も多い。呼吸状態が悪化した患者にBIPAPを開始する際も設定くらいは問われるがあとは全て行ってくれる。動脈血液ガス採取も施行し、挙げ句の果てには抜管まで行ってくれるのである。州ごとに多少法律が違うのでちゃんと把握していないが、本来は医師の監督下のもと、であるはずだが実臨床では呼吸療法士が行ったことを医師が後から承認するという事が多々ある現状であろうと想像する。医師にとって、特に集中治療医がいない病院などでは、これほどCOVID診療の助けとなる存在はない気がする。日本では呼吸理学療法士は理学療法士や看護師などがさらに知識を深めて得られる資格だと理解しているが、とても同じだけの裁量が許されているとは想像できない。今からさらに呼吸器が発達しその扱いに高度な知識を要し、かつ集中治療医が必ずしも全ての医療機関に配属されづらい事を考えると可能業務が拡大された呼吸療法士の存在は非常に大きな役割を果たすだろうと考えられる

 

 

 

 

Phlebotomist(フレボトミスト)

採血を専門とする医療従事者がいる。高校卒業資格があり、4ヶ月から1年間のトレーニングを受ければなれる業種である。米国におよそ12万人いるそうだ。基本的には院内のほとんどの採血を行ってくれる。COVID診療に直接影響するわけではないが看護師の負担は減らしてくれる。点滴交換、経管栄養の準備、シフトの引き継ぎ準備などで忙しい朝方に多くの人の採血を行うことは大変である。得手不得手もあるだろうし採血が非常に困難な患者もいて、時に複数回失敗してしまう場合だってあり、担当を続ける患者との関係性に多少の影響を及ぼす可能性もあるかもしれない。技術の高い専門家が引き受けてくれれば、その物理的・心的負担の軽減は、ただでさえ負荷のかかるパンデミックの最中には特に大きいと考えられる。看護業務の効率化、場合によっては少しでも疲弊を減らしバーンアウトを防げる可能性があるのであれば、その人件費はペイされるのかもしれない

 

 

 

eICU

当院では数年前から常勤の集中治療医が1人勤務している。勤務時間は平日の日勤帯で、それ以外、つまり夜勤帯と土日の大半はeICUによるICU患者管理が行われている。eICUというのは集中治療医が専門医のいない病院のICU治療を遠隔で支援するシステムである。遠隔センター、当院の契約しているeICUは近隣の大学病院に所在するが、そこに待機する集中治療医がカルテ情報、患者モニター、呼吸器情報などにアクセスし、場合によっては病室に設置されたカメラを通して患者を観察し診療を支援する。基本的には電話で遠隔センターにいる専門ナースあるいは医師に相談して指示を仰ぐのだが、患者の急変時などは病室内にある緊急ボタンを押せば即座に集中治療医とテレビ電話がつながるシステムとなっている。夜勤帯のICUのほぼ全てのコールは夜勤医でなくeICUに繋がれ、夜勤医が呼ばれるのは急変時などの特別な場合のみである。アメリカにおけるeICUの導入は2000年頃からで、ICU患者の死亡率低下、ICU入院期間短縮、それによる医療費削減などがスタディでも報告されており、現在では全米のICU病床の15%がeICUによってカバーされている。1人の集中治療医と数人の専門ナースがチームを組んで同時に複数の病院のICU患者およそ100150人の診療を行なっている。COVID患者でICUが埋められている状況において24時間いつでも集中治療医に電話コンサルトできる環境は非常に心強く感じる

 

 

 

 

病棟医

受け入れが難しい原因として「呼吸器内科がいないから」ということも聞く。当院にも常勤の呼吸器内科医が1人いるがCOVID患者を受け持つことはない。COVIDも含め内科患者は全てホスピタリスト、いわゆる病棟専門医が主治医となり、呼吸器内科などの専門家はコンサルタントとなるからだ。ホスピタリストが入院業務全般を引き受けることによって、専門家はその知識・経験を必要とされる難しい患者診療により多く発揮・共有されることが可能となる。当院のCOVID診療において主にコンサルタントとなるのは呼吸器内科ではなく感染症内科である。特定の治療薬を使うか否かの判断、あるいはその承認、検査や感染隔離などで相談を受ける。常勤医が1人いてパンデミックの中活躍している。専門家の助言が得られればより説得力をもって診療が可能となる。ただその感染症内科医がいなければCOVID診療もままならないかと言えば必ずしもそうとは言えない気がする。多少アウトカムは下がる可能性もあるが、アクセスできる最新情報は皆同じであるし、COVIDだけで言えば診療経験年数も変わらないからだ。ジェネラリスト万能と言いたい訳ではもちろんないが、非常事態なのだから誰かが患者を診ざるを得ず、ホスピタリストがいれば「専門外で見られません」という理屈が通らないためCOVID患者の担当を決める際に困らないで済むだろうと感じる

 

 

 

Nurse practitioner 

人手不足という要因も大きいだろうが、これはなにもパンデミックで始まったことではない。アメリカでも医師が有り余っている訳ではなく、特に都市部以外で医師不足が存在するのは同じである。その解決に大きな役割を果たしているのがナースプラクティショナーの存在だ。看護師が学位を取得し試験に合格してなる資格である。州ごとに規制が異なるが、外科手術など以外では医師とほぼ同等の診療、診断、検査、処方等が行える。当院でもナースプラクティショナーが、担当患者数は多少減らされるものの医師と同じようにホスピタリストとして入院患者を受け持ち診療を行なっている。日勤は医師2人とナースプラクティショナー1人、時にその逆の比率でシフトが組まれ2病棟をカバーしている。ナースプラクティショナーなしではとても病棟業務を回せない状況となっている。その存在なくしてCOVID入院診療を継続できないのは言うまでもない

 

 

 

 

緩和ケア

当院には常勤の緩和ケアナースプラクティショナーが1人いる。予後が悪そうだと判断されれば速やかにコンサルト依頼が出される事が多い。進行した認知症、進行性悪性疾患、慢性呼吸不全、心不全にて入院を繰り返す高齢者など。依頼を受けたナースプラクティショナーが本人および主要家族での話し合いをコーディネートしてくれる。予想される経過、予後、アドバンスドケアプラン、退院後に受けられるサービス、ホスピスへの連携、苦痛・苦悩への対処法などを長い時間かけてきめ細やかに話してくれる。その対応で患者・家族の考えが変わりアドバンスドケアプランが大きく変更されることも多々ある。そしてそのコンサルトはCOVID患者においても同様に行われている。呼吸状態が改善せず人工呼吸療法が長引く、臓器不全が進行する、昇圧剤にて血圧が保てない、などの場合で相談されることも多い。家族との話し合いを繰り返した末に治療撤退を決め気管チューブが抜かれた患者も多数いる。もちろん最後まで諦めずに治療を継続する場合もある。正解というものはないだろうが、少なくとも転機にかかわらず本人の苦痛を少しでも和らげる、家族と対話を続けてその苦悩に寄り添う、という意味で緩和ケアナースプラクティショナーの果たす役割は非常に大きいと感じる

 

 

 

 

個室

当院は全室個室である。COVIDを受け入れるのに優位に働くのは当然のことだろう

 

 

 

 

ヒーロー・ヒロインイズム

良くも悪くもそういう風潮があると感じる。院内で「我々は敵と戦う勇者である」みたいな感じのポスターを見かけることがある。院外ではそれを称え街の人が拍手を送ってくれたり、場合によっては医療従事者を優遇してくれるお店まである。その影響もあるかもしれないがマスメディアの報道も、ナーシングホームで大規模のクラスターが発生したというニュースを一度見たことはあるが、院内クラスターが起こりそれを糾弾する雰囲気の報道は目にしたことがない。COVIDに関わる医療従事者あるいはその家族が保育園の入所やその類のことで不遇な目に遭ったという事も、実際には起こっているかもしれないが、少なくとも耳にしたことはない。人々の士気を下げる事はしないという意味では、少し安易な、と言ったら叱られそうだが、そういうヒーロー・ヒロインイズムも緊急事態下では有意に働くのだろうと感じる

 

 

 

 

COVID入院診療に役立っていることを挙げてみてたどりつく結論は規制緩和と分業によって個人の負担を軽減し専門知識を共有することであった

 

遠隔医療やナースプラクティショナーの導入に難色を示す動きもあるという。人と資源が限られ効率よく活用しなければならない状況においては単に時間の問題である気もし、自分で自分の首を絞めているようにも思えてしまう。何でも追随すればよい、という事ではないが、周りのアイデアを参考にしながら自分にあった最適解を探し、ともに難局を乗り越えていくことが大切になるのだろうと感じる

 

 

 

 

 

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腰痛

 

脊椎変性に関連するよくみられる状態

椎間板変性症

ヘルニアを伴う椎間板変性症(L5およびS1レベルが最も好発)

脊椎管狭窄症(50歳以下では稀)

 

腰痛をきたす脊椎疾患

強直性脊椎炎および体軸性脊椎関節炎(朝のこわばり、運動で軽快、通常40歳以下で発症)

骨髄炎、脊髄膿瘍、脊髄硬膜外膿瘍(発熱、局所圧痛)

脊椎あるいは周辺組織の悪性疾患(転移性腫瘍(前立腺、乳腺、肺))

馬尾症候群(膀胱あるいは腸管機能不全(尿閉が最もよく見られる))

圧迫骨折を伴うあるいは伴わない代謝性骨疾患(骨粗鬆症)

 

腰痛として認識されうる非特異的疾患

腹腔内臓器疾患(消化性潰瘍、膵炎、尿路結石、腎盂腎炎、前立腺炎、骨盤内感染症、腫瘍、大動脈解離、他)

帯状疱疹

心理社会的苦悩

 

 

 

 

画像検査

 

即座の画像検査

放射線検査および血沈

・悪性疾患のリスクファクター(悪性疾患既往を伴う新たな腰痛、悪性疾患の複数のリスクファクター、悪性疾患を強く疑う臨床兆候)

MRI

・脊椎感染のリスクファクター(静注薬剤使用あるいは最近の感染歴および発熱を伴う新たな腰痛)

・馬尾症候群のリスクファクター(新たな尿閉、腸管機能不全、肛門周囲の感覚消失)

・重度の神経障害(進行する運動障害あるいは複数の神経レベルでの運動障害)

 

治療トライアル後に画像検査を検討

放射線検査のみ、あるいは血沈検査併用

・悪性疾患の弱いリスクファクター(説明のつかない体重減少、50歳以上)

・強直性脊椎炎のリスクファクター(朝のこわばり、運動で改善、早朝に腰痛にて覚醒、20代あるいは30代)

・脊椎圧迫骨折のリスクファクター(骨粗鬆症の既往、コルチコステロイドの使用、外傷、高齢(65歳以上の女性、75歳以上の男性))

MRI

・神経根症の兆候を認め手術あるいは硬膜外ステロイド注射の候補となる患者(L4, L5, S1の神経支配に一致する下肢疼痛を伴う腰痛、straight leg raiseあるいはcrossed straight leg raise試験陽性)

・脊椎管狭窄症のリスクファクター(下肢への放散痛、高齢、偽性跛行)

 

画像検査なし

即座の画像検査を要する基準を満たさず1ヶ月の治療トライアルによって腰痛が軽減あるいは消失

以前に脊椎画像検査を行なってから臨床的変化を認めない

 

 

 

 

治療

急性腰痛はよくある疾患で、50〜75%が4週間以内に、90%以上が6週間以内に自然軽快し、たとえヘルニアを伴っていたとしてもほとんどの人は手術を必要としないことを患者に伝える必要がある

 

慢性腰痛は治療が困難で時間とともに再発が起こりえる。患者は治療ゴールがたとえ完全な消失を達成できないとしても機能を維持することであることを理解する必要がある

 

ある程度の効果があるかもしれない介入にはspinal manipulation、マッサージ、鍼灸などが含まれる

 

グルコサミンおよびコンドロイチンの効果は不明である

 

双極性磁気、フェルデンクライスメソッド、リフレクソロジーはおそらく効果がないと考えられる

 

温熱、牽引、経皮的神経電気刺激、電気的筋肉刺激、超音波、低レベルレーザー治療、干渉波治療、短波ジアテルミー、腰椎サポートなどが腰痛治療に使われてきた。RCTでは効果がほとんど確認されていないが、一般的に安全であると考えられている。患者の期待とプラセボ効果が治療的価値に一定の役割を果たしているかもしれないが、証明されていない治療の考えられる効果はそのコストと照らし合わせて考える必要がある

 

 

 

治療薬

薬剤の効果は一般的に強くない。薬剤治療を開始する場合は考えられる副作用、コスト、他の治療に比較した負担を考慮して決定する必要がある

 

First-line Treatment

NSAIDs(イブプロフェン、ナプロキセン)

 

Second-line Treatment

筋弛緩(シクロベンザプリン、チザニジン)

抗うつ剤(デュロキセチン)

 

限られた患者への補助的治療

オピオイド

トラマドル

 

効果が認められないため推奨されない

アセトアミノフェン

抗てんかん薬(ガバペンチン、プレガバリン)

 

 

 

 

 

インザクリニック

アナルズオブインターナルメディシン

2021年8月10日 

 

 

 

 

 

 

多発性硬化症

 

体温上昇、確認できる感染、他に偽再発の誘因がなく、新たな神経症状あるいはその悪化が24時間以上続くことを再発の定義とする

 

再発が確認された時の標準治療は高用量コルチコステロイドであり、典型的にはメチルプレドニゾロン 1日1g静注を3〜5日を経口薬の漸減なしに行う

 

最近の試験では経口メチルプレドニゾロン1日1g 5日間と経口プレドニゾン1日1250mg 5日間は同等の効果であったとされている(1, 2)

 

ステロイドに反応しない再発は血漿交換(3)、副腎皮質刺激ホルモンゲル筋注あるいは皮下注5日間(4)、シクロフォスファミドパルス静注(5)がレスキュー治療として利用可能である

 

多くの再発では入院治療を必要としない。経口ステロイド治療は入院による経過観察を必要としない

 

運動機能を完全に失う、感染リスクを高める膀胱あるいは排便コントロールの障害を伴う重度の再発の場合には入院による利益があるかもしれない

 

ステロイド投与による糖尿病患者の血糖値モニタリングなど、特別なモニタリングを必要とする場合もまた入院の利益があるかもしれない

 

 

 

 

 

1. Ramo-Tello C ,  Grau-López L ,  Tintoré M , et al. A randomized clinical trial of oral versus intravenous methylprednisolone for relapse of MS. Mult Scler. 2014;20:717-25.

2. Morrow SA ,  Stoian CA ,  Dmitrovic J , et al. The bioavailability of IV methylprednisolone and oral prednisone in multiple sclerosis. Neurology.  2004;63:1079-80.

3. Trebst C ,  Reising A ,  Kielstein JT , et al. Plasma exchange therapy in steroid-unresponsive relapses in patients with multiple sclerosis. Blood Purif. 2009;28:108-15.

4. Simsarian JP ,  Saunders C ,  Smith DM . Five-day regimen of intramuscular or subcutaneous self-administered adrenocorticotropic hormone gel for acute exacerbations of multiple sclerosis: a prospective, randomized, open-label pilot trial. Drug Des Devel Ther. 2011;5:381-9.

5. Gómez-Figueroa E ,  Gutierrez-Lanz E ,  Alvarado-Bolaños A , et al. Cyclophosphamide treatment in active multiple sclerosis. Neurol Sci. 2021.

 

 

 

アナルズオブインターナルメディシン

インザクリニック 

2021年6月