レジデントノート

米国にて内科修行中。何ができるか模索している過程を記録していく

2018-01-01から1年間の記事一覧

在宅高齢者の転倒予防

転倒は70歳以降10歳毎にその発生率が2倍に増えていく 転倒は意図しない傷害による死亡の3番目に高い原因である(1) 転倒は高齢者の非致死的および致死的傷害の最も多い原因である(2, 3) 傷害に至らない転倒であっても、機能低下、精神的ストレス、自立…

非アルコール性脂肪肝疾患

Nonalcoholic fatty liver disease(NAFLD)は肥満の増加に伴って非常にその数が増え、現在では米国および世界で最も多い慢性肝疾患となっている(1) 病理学的にNAFLDは80%以上の患者にみられるnonalcoholic fatty liver(NAFL)(あるいはisolated hepatic…

Clostridioides difficile Infection

1978年までにClostridioides difficile(以前のClostridium difficile)が抗菌薬に関連しておこる下痢のもっとも多い原因として確立された(1) 2011年の米国におけるC difficileの発生数はおよそ453000、それに関連する死亡数は29300であった(2) C diffic…

Parkinson病

Parkinson病はアルツハイマー病に次いで二番目に多い神経変性疾患である(1)。長らく運動系の障害と考えられてきたが、感覚、感情、認知、自律神経系にも影響する非運動系の症状も有する 年齢とともに罹患率が増え、65歳以上の1%、80歳以上の3%で疾患が認め…

医師として成長し続ける方法

研修医などの若手が己の研鑽に熱心なのはそれほど珍しいことではないが、それをその後も長く維持し続けることはなかなか大変だと思う 大きな声では言えないが、一度免許を取って研修さえ終了してしまえば、究極それ以上自分をアップデートしなくても働き方さ…

帯状疱疹

水痘を発症するvaricella zoster virusに感染したことのある全ての人が帯状疱疹を発症する可能性がある 米国の人口のおよそ95%がvaricella zoster virusに潜伏感染している。三人に一人が帯状疱疹を発症し、年齢とともにその頻度が増える 脊髄後根神経節ある…

当たり前のことを当たり前にやれ

昔上司によく言われた言葉だ 最近その大切さが多少分かるようになった気がする

心不全

心不全の罹患率は年齢と共に増え、lifetime riskは20〜45%にのぼる 時代とともに診断後の生存率は改善しているが、依然死亡率は高いままである。およそ50%の人が診断5年後には死亡している 心室不全はEFの低下した心不全(HFREF/systolic dysfunction)とEF…

大腸憩室炎

大腸憩室炎の多くは50歳以上の患者で見られるが、若い人にも増えてきている 大腸憩室を持つ大部分の人は無症状であり、1〜4%の人で憩室炎を発症する(1) そのうちおよそ20%の患者が10年以内に一回あるいはそれ以上の再発を繰り返す(2) 大腸憩室炎は合…

治療のゴールに関する会話のガイド

重篤な患者は治療ゴールと予後に関する話し合いを家族を交えて行うことをためらう場合がある。しかし多くの場合、医師とはその話し合いをしたいと考えている(1) 多くの医師と家族は治療のゴールに関する話を始めることを患者の希望を取り去ることだと間違…

緩和ケア

緩和ケアは慢性で治癒が困難である重篤な疾患に罹患した患者のQOLを改善し症状を和らげることを目的としている。ただそれは必ずしも治療オプションがなく、予後が限られていることを意味しているわけではない(1)。緩和ケアは重篤な疾患によってもたらされ…

蜂窩織炎・皮膚軟部組織感染症

皮膚軟部組織感染症の頻度は近年落ち着いたものの依然高く、尿路感染症の2倍、肺炎の10倍である(1) 皮膚軟部組織感染症 蜂窩織炎 (cellulitis) 丹毒 (erysipelas) 毛嚢炎 (folliculitis) せつ (furuncle) よう (carbuncle) 皮下膿瘍 (cutaneous abscess…

脂質異常症

脂質異常症は動脈硬化性心血管疾患(atherosclerotic cardiovascular disease (CVD))の主要なリスクファクターである 生活習慣の改善はtotal cholesterol, HDL, LDL, triglycerideに良き影響を及ぼすためAHA (American Heart Association)はすべての成人に…