レジデントノート

米国にて内科修行中。何ができるか模索している過程を記録していく

脂質異常症

 

脂質異常症は動脈硬化性心血管疾患(atherosclerotic cardiovascular disease (CVD))の主要なリスクファクターである

 

 

生活習慣の改善はtotal cholesterol, HDL, LDL, triglycerideに良き影響を及ぼすためAHA (American Heart Association)はすべての成人に健康的な食事、定期的な運動、および禁煙を推奨している(1)。しかしUSPSTF (U.S. Preventive Services Task Force)は食事や身体活動などの生活習慣の改善だけでは十分には脂質の値を減らさず、多くの高脂質症患者は治療ゴールを達成するために薬物治療を必要とすることを指摘している(2)

 

 

 

何歳から脂質異常症のスクリーニングを始めたらよいかははっきりしていない

 

USPSTFは35歳以上の全ての男性および45歳以上のすべての女性(動脈硬化性冠動脈心臓病(atherosclerotic coronary heart diease (CHD))のリスクがある場合はそれぞれ20~35歳、20~45歳)において脂質異常症のスクリーニングを行う事を推奨している(1)

(CHDのリスクがあると見なされるのは以下の場合である:冠動脈リスクファクター(注1)がある、早発性CHDの家族歴、遺伝性を示唆する脂質異常、高脂質症を示唆する身体所見(3))

 

National Cholesterol Education Program Adult Treatment Panel III(NCEP-ATPIII)はCHDのリスクの有無にかかわらず20歳以上のすべての成人にスクリーニングを行うことを推奨している(4)

(このスクリーニングの推奨は健康習慣を促す事、社会の認識を増やす事、および高リスクの患者を発見する事といった目的に基づいている(5)。しかし、早期に一律にスクリーニングを行うこととリスクファクターに基づいて若年者にスクリーニングを行うこととの比較における有用性および費用対効果は不明である)

 

 

65歳以上の成人にスクリーニングを行う事の有用性はmoderate-quality evidenceに基づいて認められている。65歳以上の成人は基本的にCHDの高いリスクを有し、脂質異常症への介入を行う事で利益を得られる可能性が高まる(6)

 

  

 

年齢にかかわらずCHDおよびCHD risk-equivalent(注2)の患者では脂質の値を測定すべきである

 

 

米国のほとんどの機関は成人における脂質異常症のスクリーニングを少なくとも5年に1回行うことを推奨している

(ACC/AHAは20~78歳において4-6年毎、CVDのリスクがある場合はより頻繁に空腹時脂質値のスクリーニングを行う事を推奨。NCEP-ATP IIIは20歳以上に5年毎空腹時脂質値の測定を推奨。USPSTFは35歳以上に5年毎、脂質値が正常の場合はより低頻度で、脂質値が高い場合はより頻繁に測定することを推奨(USPSTFは空腹時および非空腹時両方を脂質値として認めている))

 

 

181人の一般内科外来患者における空腹時 vs 非空腹時における脂質値測定を比較した試験において両者間で total cholesterolおよびHDLの値において臨床的に重要な違いは認められなかった(6)。また20~95歳の成人33391人に行った空腹時および非空腹時における脂質値を比較したcross-sectional population studyにおいては通常食摂取による脂質値の変化はわずかであることが確認され、非空腹時の脂質値も心血管イベントの予測に有用であると報告している(7)

 

NCEP-ATP IIIは最初のスクリーニングにtriglycerideの測定とLDL値算定を含むことを推奨している。USPSTFは脂質値の評価にtriglyceride測定を含む事を推奨していない(3)(LDLおよびtriglycerideの測定は治療のガイダンスには有用であるが、リスク予測には利益をもたらさないと報告されている(3))

 

  

 

2013年にAmerican College of Cardiology (ACC)とAHAはLDLおよびHDLの値を治療のゴールとして目指す治療にはエビデンスが認められないと結論づけている(1)

新しいガイドラインはCVDを有する患者に禁忌でない限り、高用量スタチンを投与し、LDLの値を少なくとも50%減らすことを推奨している

 

 

 

脂質異常症を診断した時には心血管リスクを予測する必要がある。リスク評価が一次予防のために治療を開始するかどうかのガイダンスになる

 

 

リスクの評価には脂質値のみを考慮、あるいはリスクファクターを数えるのみで行うよりも、特定の式を使ってリスクを算定することでより正確な評価が可能である。現在米国にはいくつかのアルゴリズムがある

・Framingham Risk Score

・ACC/AHA Arteriosclerotic Cardiovascular Disease Risk Estimator

・Reynolds Risk Score 

 

 

心血管リスクの算定にACC/AHAのelectronic toolが利用可能である

www.cvriskcalculator.com/

 

 

cardiovascular risk scoreによってCVDを予測することは、特に米国以外のpopulationにおいては、妥当性がないと考えている専門家もいる(8)。現在のrisk calculatorsはリスクを過剰に評価してしまう可能性があるため、それを使い薬物治療によって利益を得られる患者を特定すること、およびその治療のガイダンスとすることにはpredictive valueを欠いている(9)。これらの使用がスタチンの過剰処方および投与量増加につながり、他剤との併用で副作用を導きうると考えている医師も多くいる

 

 

リスクの算定によっても治療を行うかどうかが不明瞭な場合は、家族歴、high-sensitivity CRP、冠動脈石灰化スコア、ankle-brachial indexなどをも考慮する

 

 

初回CVDのリスク予測に以下の事項も追加した方がよい、あるいは追加しない方がよいという推奨はない:アポリポプロテインB、慢性腎臓病、アルブミン尿、cardiorespiratory fitness

 

 

 

一旦治療を開始すればその後終生続く可能性があるため、患者のリスク評価は重要であり、その意思決定は治療開始前に患者と治療者で共有されることが望ましい

 

 

 

脂質異常症には様々な脂質の異常が含まれるが、一般的にはtotal cholesterol 240mg/dL以上、LDL 160mg/dL以上、triglyceride 200mg/dL以上、HDL 40mg/dL以下の組み合わせで定義される

 

 

機関毎による推奨や測定タイミングなどの違いはあるものの、baselineとしてtotal cholesterol, LDL, HDL, triglycerideを測定することが一般的である。CVD既往の患者、あるいは非常に高いリスクを有する場合はリポプロテイン、アポリポプロテインB、アポリポプロテインA1を追加測定することも検討される

 

 

血液サンプルは空腹時(12時間)に採取することが望ましいが、total cholesterolとHDLは非空腹時においてもほとんど違いがない(10)。triglycerideが400mg/dLを超える場合は空腹時に採取を行う必要があるが、多くの場合、非空腹時脂質値もリスク評価として使用することが受け入れられる

 

  

 

10-year riskが12%を超える場合はmoderate-doseのスタチンを投与することによって5年間のCVDリスクを20~30%減らすことができることを臨床試験が示唆している(1, 11)

 

   

 

triglyceride値は治療のprimary targetではないが、prospective epidemiologic studiesにおいてtriglycerideの上昇がCADのリスクに関連することが示され(12)、prospective studiesのmeta-analysisではtriglyceride上昇がCADの独立したリスクファクターであることが示された(13)

 

 

triglycerideは非空腹時には20%まで増加するため空腹時に採取される必要がある

 

 

triglyceride上昇とCADは男性よりも女性の方がより強く関連するようである(13)

 

 

triglycerideが500mg/dL以上の場合は膵炎発症のリスクがあるため治療が必要となる

 

 

 

HDLが40mg/dL以下の場合は動脈硬化イベントのリスクが上がり、1mg/dL下がる毎に冠動脈リスクが2~3%上昇する(14)。またmeta-analysisではHDLが13mg/dL上昇することで死亡率が30%が減少することが示された(15)

 

   

 

二次性脂質異常症の原因には甲状腺機能低下症、閉塞性肝疾患、ネフローゼ症候群、腎不全、コントロール不良糖尿病、喫煙、飲酒がある。また薬剤(注3)も脂質異常に寄与する。二次性脂質異常症の原因を治療することで脂質降下剤が不必要になる場合があるので、これらの疾患の可能性を評価することは重要である

 

 

 

脂質異常症の患者には薬物治療をするしないにかかわらず生活習慣改善の重要性を伝える必要がある。NCEP-ATP IIIのTherapeutic Lifestyle Change Dietを適応すればLDLを5~15%下げることが可能とされている(4)。National Health and Nutrition Examination SurveyによればLDLが15%下がれば、コレステロール降下剤の必要性を14%から5%に減らすことが可能であるとしている

 

 

2013年ACC/AHAガイドラインでは心血管リスクを減少させるために果物、野菜、ナッツ、whole grainsを多く含む食事、一価不飽和脂肪酸の油(ココナッツオイルやかカノーラオイルなど)、低脂肪乳製品、などの摂取を、また動物製品よりも鶏肉や魚などを摂取することを強調している(16)

 

 

中等量のアルコール摂取、禁煙、減量、定期的な運動はHDLを10%まで上昇させることができる(16)

 

 

 

治療

First Step:健康的な生活習慣を促す(健康的な食事、定期的な運動、禁煙、健康的な体重維持)

Second Step:リスク評価 

Third Step:患者と治療者が治療の意思決定を共有、脂質降下剤投与の利益・リスクおよび費用を議論 

Fourth Step:薬物治療開始

 

 

 

二次予防はCVD既往がある患者に適応され高用量スタチン治療が推奨される

 

 

一次予防はCVD既往がなく心血管イベントのhigh risk な患者に適応され(1)、次の三つのカテゴリーに分類される

・LDLが190mg/dL以上

・40~75歳、LDL 70~189mg/dL、糖尿病の既往

・40~75歳、LDL 70~189mg/dL、CVD 10-year riskが7.5%以上

 

 

 

ACC/AHAガイドライン2013は脂質降下剤としてスタチンを投与することを推奨している(1)。スタチンはLDLを下げるのみでなく、CVD既往およびCVD発症リスクの高い患者両方で心血管イベントの発生を減らすことが多くのlarge-scale, high-quality clinical trialsで確認されている

 

 

 

スタチンへの追加薬として新たな脂質降下剤が出てきているが、これらの薬剤単独では動脈硬化性疾患のリスクを下げない。たとえば ezetimibe はNPC1L1蛋白に作用してLDLを下げるが、単独投与で心血管イベントを減らすことが確認された試験はなく(17)、PCSK9 inhibitor においても同様の結果であった(18, 19, 20)

 

 

ナイアシンはHDLを上げ、triglycerideを下げる目的で使われてきたが、もはや脂質異常症のroutineの治療薬としては推奨されない。HPS2-THRIVE (Heart Protection Study 2 Treatment of HDL to Reduce the Incidence of Vascular Events)においてナイアシンはclinical benefitが認められず、耐糖能異常、消化管症状、筋骨格症状、皮疹、頭痛、痛風、感染などの副作用を起こすことが確認された(21)

 

 

一次予防薬としてフィブレート、bile acid-binding resin、omega-3 fatty acid supplement、planto sterol or stanol、ナイアシンの投与は推奨されない

 

 

 

投与量上限のスタチン単剤投与に反応しない脂質値の非常に高い患者に対し併用薬剤投与が考慮されるべきである

 

 

IMPROVE-IT (Improved Reduction of Outcomes: Vytorin Efficacy International Trial)においてスタチンにezetimibeを併用することで心血管end pointを改善することが確認された(22)。しかしその利益は小さく、2016年にU.S. Food and Drug AdministrationはIMPROVE-ITの結果はCVDのhigh risk患者に ezetimibe投与を推奨するには不十分であると発表している

 

FOURIER (Further Cardiovascular Outcomes Research with PCSK9 Inhibition in Subjects with Elevated Risk) trialにおいて中用量あるいは高用量のスタチン治療にPCSK9 inhibitorを追加することで心血管outcomeが改善されることが示された(23)。しかし薬剤は高価であるため、患者と治療者は費用対効果について議論する必要がある

 

 

 

治療の第一ゴールは生活習慣の改善であり、第二ゴールは心血管イベントのリスクを減らすことである。 LDLの値を減らすことはもはや治療ゴールではない

 

 

 

治療開始後の患者モニターの間隔に対する強いエビデンスは認められていないが、開始6週間後に空腹時脂質を測定することが妥当である

 

フォローのたびに肝機能検査を行うことを提唱する医師もいるが、スタチンによる肝障害は考えられていた以上に少なくAmerican College of Physicians ガイドラインではスタチン治療中の患者に肝機能検査をすることを推奨していない(1)。しかし、スタチン治療を開始する場合は最初の年はbaseline、3ヵ月後、12ヵ月後に肝機能検査をする必要がある。クレアチニンキナーゼもbaselineとして測定すべきである

 

 

 

 

治療薬剤

 

スタチン

・atrovastatin (10-80mg/d)

・fluvastatin (20-80mg/every night)

・lovastatin (10-60mg/everning meal/every night)

・pravastatin (10-80mg/bedtime)

・rosuvastatin (5-40mg/d)

・simvastatin (5-80mg/evening meal)

・pitavastatin (2-4mg/d) 

 

安全性と効果について多くの試験で研究されている

LDLを22~63%低下させる

 

副作用

肝酵素上昇(比較的少ない)、筋痛・筋炎(フィブレート併用でリスクがあがる)、rosuvastatinはワーファリンあるいはgemifibrozilと併用すべきでない

 

7つのスタチンは代謝が異なるため副作用が起こった場合は代用可能である。LDL低下の相乗効果のためbile acid sequestrantと併用される場合がある。フィブレートと併用する場合は肝酵素のモニターが必要である。妊婦、授乳中、活動性の肝疾患では使用できない

 

 

 

Bile acid sequestrants

・colestipol (2 scoops 2-3 times per day)

・colsevelam hydrochloride (625mg x 3 tablets 2 times per day)

 

吸収されず、長期投与の安全性が確認されている

LDLを10~15%低下させる

 

副作用

不快な味、胸焼け、膨満感、便秘、薬相互作用(食事1時間前あるいは4時間後投与でそのリスクを減らすことができる)、triglyceride上昇

 

子供および妊婦への第一選択薬 。スタチンとの相乗効果でLDLを低下させるsecond-line drug。triglycerideが300mg/dL以上の時あるいはgastrointestinal motility disorderでは使用できない

 

 

 

フィブレート

・gemifibrozil (600mg 2 times per day)

・fenofibrate (45-145mg/d)

 

triglyceride をもっとも下げる薬剤(50%あるいはそれ以上)。HDLを15%上昇させる

 

副作用

嘔気、皮疹、腎機能低下あるいは胆嚢疾患の際は注意を要する

 

LDLを安定しては下げない(上昇する場合もある)、スタチンとの併用は筋痛・筋炎の可能性があるので注意を要する。repaglinideとの併用は重度の低血糖をもたらしうる

 

 

  

Ezetimibe

(10mg once a day)

 

LDLを18%、triglycerideを8%、apoBを16%減少させる

 

副作用

比較的副作用は少ないが、肝疾患あるいは肝酵素が上昇している場合は禁忌である 

 

さらにLDLとtriglycerideを低下させ 、HDLを上昇させる目的でスタチンと併用できる。resin、フィブレート、cyclosporineとは併用できない

 

  

 

Omega-3 fatty acid

・lovaza 4g/d

・omtryg 4.8g/d

・vascazen 4g/d

・epanova 2-4g/d

・vascepa 2g/d

 

triglycerideのコントロールに有効(最大45%低下)。HDLを13%上昇させる。triglycerideが500mg/dLを超える場合に食事療法との併用で投与される

 

副作用

消化不良、嘔気、出血リスクを上げる可能性がある、抗凝固療法を行なっている際は注意を要する

 

triglycerideが上昇している患者でLDLを上昇させる可能性がある。カプセル形態であり飲み込まなければならない(溶解、破砕、噛むことが不能)。18歳以下では安全性が確立されていない

 

 

 

ApoB antisense oligonucleotide

・mipomersen 200mg/ml SQ weekly

 

ホモ接合性家族型高コレステロール血症の患者においてコレステロール降下剤・食事療法と併用してLDL、apoB、TC、non-HDLを下げる補助剤として使用される

 

副作用

肝酵素を上昇させうる。嘔気、嘔吐、腹痛、黄疸、発熱、意識障害、インフルエンザ様症状を有する場合は肝酵素を検査する。肝酵素が正常値上限の2倍の時は中止を検討、5倍の時は中止

 

各週の同じ曜日に投与。要冷蔵保存

 

 

 

PCSK9 inhibitor

・evolocumab (140mg/ml SQ every 2 weeks or 420mg SQ once monthly)

・alirocumab (75mg/ml SQ every 2 weeks or 300mg SQ every 4 weeks) 

 

食事療法およびスタチン最大耐用量を受けている家族性高コレステロール血症、あるいはCVD既往の患者でさらなるLDLの低下を要する場合に追加投与される

 

副作用

副作用は比較的少ない

 

子供での効果および安全性は確立されていない。治療の反応はLDL受容体の機能に依存するため投与開始4~8週間後にLDLを測定する

 

 

 

ナイアシン

(500-750mg~1-2g every night)

 

LDLを下げ、triglycerideを10~30%減少させる。もっともHDLを上昇させる薬剤 (25-35%) 

 

副作用

皮膚紅潮、嘔気、耐糖能低下、肝酵素上昇、痛風、尿酸値上昇

 

低HDLを伴う高脂質症の際の選択薬。スタチンあるいはbile acid sequestrantと併用される。studyによって多くの副作用があり、clinical benefitが認められなかったのでもはやroutineで使用される薬剤ではない

 

 

 

Microsomal triglyceride transport protein inhibitor

・lomitapide (5-60mg/d)

 

ホモ接合性家族型高コレステロール血症の患者において他のコレステロール降下剤とLDL apheresisに併用してLDL、apoB、TC、non-HDLを下げる補助剤として使用される

 

肝障害の可能性があるためアクセス制限のあるプログラムを通してのみ利用可能である。1日1回少なくとも夕食摂取2時間後にグラス1杯の水とともに服用

 

 

 

 

 

(注1)

冠動脈リスクファクター

改善できない因子

年齢(男性45歳以上、女性55歳以上)、性別(男性)、家族歴(55歳以下で発症の父親・男兄弟、65歳以下で発症の母親・姉妹)、遺伝素因

改善できる因子

喫煙、動脈硬化傾向の食事(多量の赤身の肉、高脂肪食など)、アルコール摂取(中等度の飲酒(2-7 drinks/週)はリスクを減らすが、irregular heavy drinking(一度に5 drinks以上あるいは月1回以上の急性中毒)はリスクを高める)、身体活動、脂質異常症、高血圧、糖尿病、肥満(BMI>25-30)、メタボリックシンドローム

新興の因子

CRP上昇、フィブリノーゲン、冠動脈石灰化、ホモシステイン、リポプロテイン、small dense LDL

 

 

(注2) 

動脈硬化性冠動脈心臓病(CHD)

Risk-equivalent

 急性冠症候群

 心筋梗塞

 冠動脈・他動脈血行再建

 脳卒中

 TIA

 安定・不安定狭心症

 動脈硬化性末梢血行障害 

 

 

 

(注3) 

薬剤

コルチコステロイド、アンドロゲン性ステロイド、プロゲストジェン、サイアザイド利尿剤、βブロッカー、retinoic acid derivative、経口エストロゲン 

 

 

 

 

 

 

1

Stone NJ,  American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines 2013 ACC/AHA guideline on the treatment of blood cholesterol to reduce atherosclerotic cardiovascular risk in adults: a report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines. Circulation. 2014;129:S1-45

 

2

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3

U.S. Preventive Services Task Force. Final Update Summary: Lipid Disorders in Adults (Cholesterol, Dyslipidemia): Screening. July 2015. Accessed at www.uspreventiveservicestaskforce.org/Page/Document/UpdateSummaryFinal/lipid-disorders-in-adults-cholesterol-dyslipidemia-screening on 19 October 2017

 

4

National Cholesterol Education Program (NCEP) Expert Panel on Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults (Adult Treatment Panel III). Third Report of the National Cholesterol Education Program (NCEP) Expert Panel on Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults (Adult Treatment Panel III) final report. Circulation. 2002;106:3143-421

 

5

Cleeman JI,  National Cholesterol Education Program recommendations for cholesterol testing in young adults. A science-based approach. Circulation.1997;95:1646-50

 

6

Craig SR,  Blood cholesterol screening influence of fasting state on cholesterol results and management decisions. J Gen Intern Med. 2000;15:395-9

 

7

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8

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9

DeFilippis AP,  An analysis of calibration and discrimination among multiple cardiovascular risk scores in a modern multiethnic cohort. Ann Intern Med. 2015;162:266-75

 

10

Sidhu D,  Fasting time and lipid levels in a community-based population: a cross-sectional study. Arch Intern Med. 2012;172:1707-10

 

11

Taylor FC,  Statin therapy for primary prevention of cardiovascular disease. JAMA. 2013;310:2451-2

 

12

Miller M,  Is hypertriglyceridaemia an independent risk factor for coronary heart disease? The epidemiological evidence. Eur Heart J.1998;19 Suppl H:H18-22 

 

13

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14

Gordon DJ,  High-density lipoprotein cholesterol and cardiovascular disease. Four prospective American studies. Circulation. 1989;79:8-15

 

15

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16

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17

Dujovne CA,  Efficacy and safety of a potent new selective cholesterol absorption inhibitor, ezetimibe, in patients with primary hypercholesterolemia. Am J Cardiol. 2002;90:1092-7

 

18

Stein EA, Effect of a monoclonal antibody to PCSK9 on LDL cholesterol. N Engl J Med. 2012;366:1108-18

 

19

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20

Robinson JG,  Efficacy and safety of alirocumab in reducing lipids and cardiovascular events. N Engl J Med. 2015;372:1489-99

 

21

Landray MJ,  Effects of extended-release niacin with laropiprant in high-risk patients. N Engl J Med. 2014;371:203-12

 

22

Cannon CP,  Ezetimibe Added to Statin Therapy after Acute Coronary Syndromes. N Engl J Med. 2015;372:2387-97

 

23

Sabatine MS,  Efficacy and safety of evolocumab in reducing lipids and cardiovascular events. N Engl J Med. 2015;372:1500-9

 

 

 

 

 

 

IN THE CLINIC

Annals of Internal Medicine

5 December 2017

 

 

Acute Kidney Injury

 

急性腎障害

Kidney Disease Improving Global Outcomes (KDIGO) 基準

Cre上昇 ≧ 0.3mg/dL(48時間以内)or 

Cre ≧ baselineから1.5倍(7日以内)or 

尿量< 0.5ml/kg/h 6時間以上

 

 

KDIGO staging

Stage 1:

Cre上昇≧ 0.3mg/dL or 1.5-1.9 times baseline or 尿< 0.5ml/kg/h 6-12h

Stage 2:

Cre 2.0-2.9 times baseline or 尿< 0.5ml/kg/h 12h以上

Stage 3:

Cre 3.0 times baseline or Cre ≧ 4mg/dL or kidney replacement therapy開始 or 尿< 0.3ml/kg/h 24h以上 or 無尿12h以上

 

 

 

急性腎障害の重症度が合併症リスクおよび予後に関連する

死亡oddsは急性腎障害のないグループに比べ、ステージ1では3.4倍、ステージ2では7.5倍、ステージ3では13.2倍、血液浄化療法を要した場合は24倍高くなる

 

 

 

 

急性腎障害の原因は以下の四つに分類される

・Decreased kidney perfusion

・尿路閉塞

・腎実質疾患(ATN以外)

・ATN (acute tubular necrosis)

 

 

 

 

急性腎障害の原因を同定することは重要である。ATNの治療はsupportive careが基本となるが、それ以外の原因による急性腎障害はそれぞれ特異的治療によって低下したGFRを回復させることができうるからだ

 

 

 

市中発症の急性腎障害の原因として最も多いのはdecreased kidney perfusion であり、院内発症で最も多い原因はATNである 

 

 

 

 

急性腎障害へのアプローチ

・volumeを評価

(循環血漿流量の低下を認める時、あるいはvolumeが不明の場合はintravenous fluidを開始する)

 ・緊急 kidney replacement therapy の適応を評価

(volume overload、尿毒症合併症、電解質異常、薬剤毒性)

 ・尿検査

 ・他の検査を検討(血液検査、画像検査)

 ・病歴、身体所見

(現病歴、内服薬、造影剤暴露、最近の手術歴、最近の旅行、感染症への暴露、fluid intake and output)

 

  

 

 

身体所見

volume overload (呼吸困難、頸静脈怒張、rale、腹水、下肢浮腫)

uremic encephalopathy(意識障害、羽ばたき振戦、反射亢進、ミオクローヌス)

心膜炎(心膜摩擦音)

 

 

 

 

循環血漿流量低下によるdecreased kidney perfusionで経口あるいは静注によるfluid投与で速やかに急性腎障害の改善を認める場合は血液検査などのさらなる評価は不要である

 

 

 

volume statusが明らかでない時は利尿剤投与中の場合は中止し、生食500ccを4-6時間かけて投与し、8-12時間以内に尿量、Cre値、eGFRを評価する。それらが改善を認める場合は急性腎障害の原因が循環血漿量の低下によるものである事を示唆し、改善しない場合は他の原因を評価する必要がある

 

 

 

 

急性腎障害では多くの場合、尿検査による評価が必要になる。外観、dipstick、沈渣、尿化学(浸透圧, Na, urea nitrogen, creatinine, albumin, total protein)等である

 

 

 

 

尿培養も採取することが多い。急性腎障害の原因として腎盂腎炎、sepsisに起因するATNがあるためである

 

 

 

 

ATNは急性腎障害の他の原因を除外した後で、典型的な病歴や所見をもつ場合に診断が推定される。ATNの最も多い原因はショックやsepsisである。他には腎毒性薬剤(*)や造影剤への暴露、手術などの後の一時的な血圧低下、急性細胞壊死(溶血、横紋筋融解、tumor lysis)などである

 

  

 

濃縮尿をつくるためには尿細管機能が働かなければならない。急性腎障害における濃縮尿の有無の評価が decreased kidney perfusion と acute tubular necrosis を鑑別することにおいて有用である

 

濃縮尿

・urine specific gravity >1.020

・osmolarity > 500 mosm/kg

・FENa (fractional excretion of sodium) (UNa x Scr/SNa x Ucr) < 1%

・FEurea (fractional excretion of urea) (UUN x Scr/SUN x Ucr) < 35%  (利尿剤投与中)

・ratio of SUN to serum creatinine concentration  > 20:1

 

 

 

 

尿中へのアルブミンの喪失が糸球体障害および、ATN以外の多くの腎実質疾患のマーカーとなる。アルブミンを欠くタンパク尿はタンパク生産増加あるいは尿細管における低分子血漿タンパクの吸収障害の指標となる(light-chain proteinuria or tubular proteinuria)。urine dipstickは他のタンパクよりアルブミンに対しsensitivityが高い

 

 

 

 

尿路閉塞が疑われる場合は超音波検査による評価が必要になる

 

 

水腎症を伴わない尿路閉塞の原因としては尿路内への多量出血、後腹膜線維症がある

 

 

 

 

血圧低下を伴う患者では心拍出量およびvolume評価のために頸静脈内圧や肺血管楔入圧をモニターする場合がある。CKD stage 4-5 (GFR < 30ml/min/1.73m2)の場合は後に透析を行う際に血管狭窄がアクセスの妨げになりうるため鎖骨下静脈へのカテーテル留置は避けるべきである

 

 

 

Cre値の上昇は筋肉量の少ない患者、あるいはvolume overloadの場合は遅れ、逆に筋肉量の多い、あるいはvolume depletionの場合は速くなりうる

 

 

 

baseline GFRが低い場合、急性腎障害がなくてもGFRのわずかな変動がCre値を0.3mg/dL前後変動させる場合がある。よって急性腎障害の診断に必要な48時間という時間を考慮することで過剰診断を少なくすることができる

 

 

 

 

 

 

 

Decreased Kidney Perfusion

 

循環血漿量低下

治療:intravenous fluid

intravenous fluid投与後のeGFRおよびCre改善、尿量の増加が診断となる

 

心不全(left- or right-sided)(cardiorenal syndrome)

治療:afterload reduction(ACEI/ARB, hydralazine or nitrate)と利尿剤(volume overloadの時) 

  

肝不全(hepatorenal syndrome)

治療:アルブミン、midodrine、octreotide

アルブミンは特に細菌性腹膜炎や腹水穿刺などの時にvolumeを増加させる場合に投与される。midodrineやoctreotideは血圧を上げ、内臓血管収縮を促す

 

Sepsis

治療:intravenous fluidと抗菌薬

  

腹腔内圧上昇

治療:intra-abdominal decompression

経鼻胃管、直腸ドレナージ、腹腔内占拠病変の除去(腹水、液体貯留、血腫)、また腹腔内圧が20mmHg以上の時は外科的減圧(open abdomen)が必要な場合もある

 

腎血管障害 

治療:降圧剤、血管再建

両側腎動脈狭窄や片側腎への動脈狭窄に伴う急性腎障害の時などにステント留置やバイパス術が考慮される

 

NSAIDs

治療:薬剤中止

 

ACEI / ARB

治療:一時的に薬剤中止

特に利尿剤併用中の場合で急性期疾患などで循環血漿流量の低下する可能性のある時期

 

 

Urinary Tract Obstruction

Obstructive nephropathy

治療:腎瘻チューブ、尿道カテーテル

 

 

Parenchymal Kidney Disease

Acute glomerulonephritis

治療:免疫抑制剤

腎生検の病理学的所見および原因疾患による治療選択

・crescentic glomerulonephritis(ANCA and anti-GBM disease):

  ステロイドとシクロフォスファミド

・proliferative lupus nephritis:

  ステロイドとシクロフォスファミドあるいはマイコフェニレイト

・IgA nephropathy:

  ステロイドや他の免疫抑制剤

・感染や悪性疾患に起因するglomerulonephritis:

  原因疾患の治療

 

急性間質性腎炎

治療:原因薬剤中止とステロイド

急性腎障害が重度、あるいは薬剤による急性間質性腎炎で原因薬剤を除去しても改善を認めない場合は、多くの専門家が、高いエビデンスを欠くものの、コルチコステロイド投与を行なっている(1)

  

急性腎盂腎炎

治療:抗菌薬

尿路閉塞、尿路結石、あるいは他の感染源の検索

 

Thrombotic microangiopathy

治療:血漿交換

血小板減少性紫斑病や他の免疫機序によるthrombotic microangiopathyの場合に施行

 

Cast nephropathy(multiple myeloma)

治療:化学療法

 

腎梗塞

治療:血管再建 or 抗凝固療法

腎動脈のarterial fibromuscular dysplasiaの時は血管再建治療が考慮される。動脈塞栓あるいは静脈血栓の場合は再発予防のために抗凝固療法が検討される 

 

Atheroembolism (cholesterol embolism)

治療:動脈内手技を避ける

再発を避けるためintra-arterial procedureを避ける。intra-arterial procedureによらない自然発症の場合は抗凝固療法を、特に最近開始した場合は中止することを検討する

 

 

 

 

 

現在のところATNに対する有効的な薬物治療は存在しない

 

 

 

KIDGOガイドラインではvolume overload以外での急性腎障害の治療に利尿剤を使用することを推奨していない。しかし"furosemide stress test"(furosemide 1mg/kgを投与し、尿量と同量の生食を補う)が予後予測に使われる場合がある。投与後2時間で尿量が200ml以下の場合はより重度の急性腎障害への発展、あるいはkidney replacement therapyが必要となるリスクが高くなる(2, 3)

(338人のKRTを要した急性腎障害患者で行われたmoderate-quality randomized trialにおいて、furosemideを25mg/kg/day 静注、あるいは35mg/kg/day 経口投与したグループはプラセボグループに対し、より速やかに尿量2L/day以上を達成した(5.7 days with furosemide vs 7.8 days with placebo)が、死亡率、透析を要した期間、Cre < 200umol/Lを達成するのに要した時間において両者間で有意差は認められなかった) (4)

 

 

 

KDIGOガイドラインでは急性腎障害を伴うvasomotor shockの患者に対し昇圧剤投与(ノルエピネフリン、バソプレッシン)を推奨している(5)

 

 

 

KDIGOガイドラインではmoderate-quality evidenceに基づいて急性腎障害の治療に対し、dopamine、fenoldopam、atrial natriuretic peptides、N-acetylcysteineを投与することを推奨していない(5)

 

 

 

 

急性腎障害におけるfluid overloadに対し、高用量のループ利尿剤(1日複数回投与、持続静注)およびサイアザイド静注利尿剤の併用によって利尿を得られる場合がある

 

 

 

 

重度の高カリウム血症 (K > 6.5mmol/L or 心電図変化) に対する治療には不整脈のリスクを下げるcalcium gluconate、それに続き、細胞外から細胞内にカリウムを移動させるinsulin plus dextrose、β-agonists、重炭酸が含まれる。これらの治療の効果は一時的なものなのでカリウムを体外に排出する治療を伴わなければならない。乏尿の患者ではループ利尿剤投与によって尿量およびカリウム排出を増加させることができうる。無尿の患者ではsorbitol with sodium polystyrene sulfonateあるいはcalcium polystyrene sulfonate resinsが浸透圧性下痢を起こすことによりカリウムの便排出を促すことができる

 

 

 

代謝性アシドーシスが重度の場合、多くの専門家が重炭酸投与を行うが、それに対するhigh-quality evidenceは認められていない(6)

 

 

  

KDIGOガイドラインではlow-quality evidenceに基づき、タンパク質摂取ゴールとして、non-catabolic の患者では0.8〜1.0g/kg per day、KRT治療中の患者では1.1〜1.5g/kg per day、hypercatabolicな時、あるいは持続KRT治療中の場合は最大1.7g/kg per dayを推奨している(5, 7)

 

 

 

KDIGOガイドラインでは重症患者での血糖値ゴールとしてインスリン治療によって110〜149mg/dLに管理することを推奨している

 

 

 

 

急性腎障害の際、尿毒症による血小板機能の低下にて出血リスクが増加し、low-molecular heparinやdirect oral anticoagulantsなどの薬剤の腎排出能が低下するため抗凝固剤を使用する場合は注意を要する

 

 

施設によっては長期に透析を受ける患者でanti-factor X activityをモニターしながらlow-molecular heparinを間歇的に投与する場合もあるが、急性腎障害の際はunfractionated heparinが好まれて使用される場合が多い

 

 

 

尿毒症を呈する患者が出血を認める際は急性期の対応としてdesmopressin (0.3mcg/kg iv, subcutaneous, intranasal)やcryoprecipitateが投与されるが、長期的な出血のコントロールとしてはconjugated estrogenや透析が治療となる

 

 

 

 

 

KRT(Kidney Replacement Therapy)

 

重度の急性腎障害では合併症(生命危機的な体液量増加、電解質異常、アシドーシス)の管理にKRTが行われる

 

 

 

KRTはこれらの合併症が起こる以前から開始される場合があるが、急性腎障害の比較的早い段階からKRT を開始した方が、合併症が起こってから開始した場合に比べ利益があるかどうかはcontroversialである(8, 9, 10)

 

 

 

 

Kidney Replacement Therapy 

 

持続的 kidney replacement therapy(24時間)

 continuous venovenous hemofiltration

 continuous venovenous hemodialysis

 continuous venovenous hemodiafiltration

 

 

間歇的 kidney replacement therapy

 intermittent hemodialysis(週3-4回、4時間/session)

 

 prolonged intermittent kidney replacement therapy(毎日、6時間以上/session)

  sustained low effeciency dialysis

  sustained low efficiency diafiltration

  sustained continuous ultrafiltration

 

 

 

 

持続的KRTはICUにて24時間持続で行われる治療であるが、通常血行動態の不安定な患者に行われ(11)、間歇的血液透析は血行動態の安定している患者で行われる

 

 

 

重症患者において持続的KRTと間歇的血液透析を比較した randomized trialsでは二つのグループにおいて死亡率、入院期間、および長期間透析を必要としたかどうかにおいて有意差が認められなかった(12, 13)

 

 

 

 

造影剤、アミノグリコシド、アンホテリシンB、バンコマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、イフォスファミド

 

 

 

 

 

 

 

1. Gonzalez E,  Early steroid treatment improves the recovery of renal function in patients with drug-induced acute interstitial nephritis. Kidney Int. 2008;73:940-6

 

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In The Clinic

Annals of Internal Medicine

7 November 2017 Volume 167 Number 9

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

尿路感染症

 

尿路感染症には一般的に以下のものが含まれる

無症候性細菌尿、急性単純性膀胱炎、再発性膀胱炎、カテーテル関連無症候性細菌尿、カテーテル関連尿路感染症、前立腺炎、腎盂腎炎

 

 

 

尿路感染症のリスクは男性より女性の方が、特に閉経前の方が高い。他には糖尿病、神経因性膀胱、脊髄損傷、妊娠、前立腺肥大、また留置尿路カテーテル(30日以上)や尿路ステント留置などに関連する排尿問題を有する患者でもリスクが高まる(1, 2)

 

 

 

無症候性細菌尿を認める女性では症状を有する尿路感染症のリスクが高まるが、それに対する抗菌薬治療は尿路感染のリスクを減らさない(3)。無症候性細菌尿のスクリーニングおよび治療が推奨されるのは妊婦、およびTURP (transurethral resection of the prostate) やその他粘膜出血の可能性のある泌尿器科侵襲的手技を受ける患者である(4)

 

 

 

尿路感染症を繰り返す女性では抗菌薬の予防的投与を行う場合がある。予防的投与は性交後に、あるいは継続的に行われる。 年に3~4回尿路感染を発症する女性、特に性交に関連して発症する場合は、性交後の予防的投与が高い有効性を認めている 

(前年に2回以上培養で確認された尿路感染を発症した女性で行われたrandomized, double-blind, placebo-controlled trialではプラセボ投与グループの感染率が3.6 per patient per year であったの対し、性交後にtrimethoprim-sulfamethoxazole 40mg/200mg)を一回投与したグループでは感染率が0.3 per patient per yearであった(5))

 

 

 

より頻回の尿路感染を繰り返す女性では抗菌薬の継続的予防投与が行われる(daily, thrice-weekly, or weekly)。ただ尿路感染の発症率が減るのは抗菌薬投与中のみで、多くの場合投与中断後にもとの発症率に戻る

 

  

 

クランベリージュースが尿路感染の予防に有効かどうかの議論は続いている。cochrane review and meta-analysisは尿路感染予防にクランベリージュースは推奨されないとの結論を出している(6)が、他のmeta-analysisではクランベリーを含む製品が尿路感染の予防に有効であることが示されている(7) 

 

  

 

閉経後の女性ではエストロゲン製剤の膣外用投与が尿路感染の頻度を減らす可能性がある。2008年の2つのスタディのcochrane systematic reviewではエストロゲン膣外用投与が閉経後女性の尿路感染の頻度を減らすとの結論を出している(8)。Society of Gynecologic Surgeons Systematic Review Groupのガイドラインではエストロゲン膣外用を尿路感染を繰り返す閉経後女性への投与を推奨している(9)

 

  

 

尿路感染症の最も一般的な症状は、尿路カテーテルを留置されていない場合では、排尿時痛、頻尿、尿意切迫である。尿路感染である可能性が高まる症状は排尿時痛、血尿、costovertebral-angle tendernessである。逆にvaginal dischargeやirritationを認める場合は尿路感染の可能性が下がる(10)

 

 

 

尿路カテーテルを留置されている場合ではカテーテル関連尿路感染症を示唆する症状は発熱、悪寒、意識障害、他に原因を認めない倦怠感、側腹部痛、costovertebral-angle tenderness、血尿、骨盤部痛などである

 

 

 

ガイドラインでは1000 colony-forming units per milliliter of urine以上ではカテーテル関連尿路感染症と診断可能であるとされている

 

 

  

カテーテル関連尿路感染症の多くの症状は非特異的であるため、診断する前に他の感染症や原因を検討する必要がある。カテーテル関連尿路感染症とカテーテル関連無症候性細菌尿を鑑別するのはchallengingである

 

 

 

sexually transmitted diseaseは常に尿路感染症の鑑別診断として考慮される必要がある。vaginal dischargeなどの示唆する症状の有無を問い、それが認められる場合は検査が必要となる

 

 

 

抗菌薬の投与期間が異なるため、膀胱炎として治療を開始する前に常に腎盂腎炎の可能性を考慮する必要がある。膀胱炎の症状で来院した患者には発熱、嘔気、嘔吐、悪寒、側腹部痛がないことを確認する必要がある。尿路症状と発熱を有する男性の場合では前立腺炎と腎盂腎炎を鑑別診断として考慮する

 

 

  

排尿時痛や頻尿などの典型的症状を有する女性で他の診断や合併症を示唆する症状を認めない場合は検査を行うことなしに膀胱炎として治療を開始することが可能である 

 

 

  

膀胱炎の症状を有する女性ではpositive urine dipstickが診断の補助になりうるが、検査前確率が高い場合はurine dipstick検査が陰性であっても除外診断することはできない(10, 11)。したがって明らかな尿路感染症状を有する場合はdipstick testは不要である

 

 

 

膀胱炎症状を有する女性では他の鑑別診断のために必要、あるいは基礎疾患の有無の評価のために必要である場合を除いて、血液検査を行う必要はない。腎盂腎炎を発症する女性の30%は菌血症を合併するため、血液培養採取は起因菌同定に有効となる。糖尿病を有する患者や腎移植を受けた患者では菌血症を合併する可能性が高いため、全身性の症状を有する場合は血液培養評価が必要である(12, 13)

 

 

  

単純性膀胱炎では一般的に女性の場合は尿培養は不必要であるが、妊婦と男性の場合は行う必要がある

 

 

Escherichia coliが単純性膀胱炎と腎盂腎炎の起因菌の90%を占める。他にはKlebsiellaやProteusが含まれる。Staphylococcus saprophyticusは特に基礎疾患のない女性の単純性膀胱炎と腎盂腎炎の5-10%を原因となる。短期間の尿路カテーテル留置患者ではカテーテル関連尿路感染症の起因菌としてはE coli、他には院内感染菌としてKlebsiella、Citrobacter、Enterobacter、Pseudomonas、coagulase-negative staphylococci、enterococci、Candidaなどがある。長期のカテーテル留置患者では典型的には複数菌による感染となる。上記の菌およびProteus、Morganella、Providenciaなどが起因菌となる(14)

 

  

 

女性における単純性膀胱炎において尿培養で認められた大腸菌群、S saprophyticus、Enterococcus以外の菌、例えばlactobacilli、α-streptococci、S saprophyticus以外のcoagulase-negative staphylococciなどはcontaminantsと考えられることが多いが、複雑性尿路感染症においてはほぼ全ての尿培養菌を起因菌として検討する必要がある

 

 

  

単純性膀胱炎では画像検査(腹部単純X線、腹部エコー、CT、excretory urography)を行う必要はない。interventionを要する膀胱閉塞、尿路結石などの解剖学的異常を診断する場合には必要となる

 

 

 

近年のスタディでは救急外来において発熱を伴う尿路感染症患者に画像検査を行うかの判断のために、尿路結石の既往、尿pH 7.0以上、腎機能低下(GFR 40以下)からなる指標を使ったclinical prediction ruleが提示された。このruleに従えば臨床outcomeを失することなしに画像検査の数を40%減らすことが可能であるとされている(15)

 

 

 

尿路感染の治療はhost factor(性別、免疫機能、泌尿器科的異常、等)、重症度、多剤耐性菌リスクに基づいて行われる

 

 

 

抗菌薬を選択する場合、妊娠および授乳の有無、他の薬剤との相互作用、アレルギー、最近の抗菌薬使用、他の感染症の有無、旅行歴、過去の培養結果、等を考慮する必要がある

  

 

 

単純性膀胱炎治療として次の四つの抗菌薬がfirst-line therapyとして、また代替薬として二つの抗菌薬が推奨されている 

 

第一選択

 

nitrofurantoin

100mg 1日2回5日間

組織浸透性が低いため腎盂腎炎の可能性がある場合には使用できない。FDA pregnancy category B 

  

 

TMP-SMX (trimethoprim-sulfamethoxazole)

160/800mg (1 DS tablet) 1日2回3日間

耐性菌が増えているので使用の際には注意を要する。FDA pregnancy category C(妊婦での使用を避けるべき)

  

 

pivmecillinam

米国では現在使用できない。他の薬剤に比較して効果が劣るが耐性菌の頻度が低いためヨーロッパの特定の国では第一選択薬として人気がある

 

 

fosfomycin trometamol

3 gram 1回投与

米国での使用頻度は低い。他の薬剤に比較し効果は低い可能性がある。腎盂腎炎の可能性がある場合は使用できない。しかしsurveysではESBL産生グラム陰性桿菌などの多剤耐性菌に対するactivityを有していることが示された。FDA pregnancy category B 

 

 

代替薬

 

βラクタム剤 

投与量は薬剤に準じる。投与期間5~7日

一般的に効果は劣り、副作用の頻度も高いため代替薬として使用される

  

 

fluoroquinolone

ofloxacin, ciprofloxacin, levofloxacin

投与量は薬剤に準じる、投与期間3日間

効果は高いが重篤な副作用が利益を上回るため最後の選択薬としての位置付けに変更となった。他に抗菌薬が使用できない時にのみ使用することが推奨されている

 

 

 

 

男性での単純性尿路感染症における抗菌薬の最適投与期間に関するデータは限られている。Observational studyでは抗菌薬14日間投与グループは7日間投与グループに比べ利益が認められなかった上、Clostridium difficile感染の頻度が高かった(16)

 

 

 

腎盂腎炎はtissue-invasive diseaseなのでinitial empirical regimenは可能性の高い起因菌をカバーするに十分なほどbroadにする必要がある。また複雑性尿路感染(妊娠、尿路結石、尿路閉塞、等)を除外しなければならない。また、経口摂取が可能か、入院が必要か、fluoroquinolone耐性およびESBL産生菌の可能性があるか、等の評価をする必要がある(17)

 

 

 

腎盂腎炎において経口抗菌薬治療が可能な場合はciprofloxacin 7日間投与が推奨される(fluoroquinoloneのlocal resistance rateが10%を超えない場合)(17)。1日1回投与の長期作用型のciprofloxacinおよびlevofloxacinも投与可能であるが、dataは限られている(18)。TMP-SMXも起因菌感受性が陽性の場合は投与可能であるが10~14日の投与期間を必要とする。βラクタム剤は効果が劣るので推奨されない

 

 

 

腎盂腎炎の外来治療において起因菌感受性が不明の場合は経口薬を開始する前に静注薬初回投与(ceftriaxone 1gram、ertapenem 1gram、長期作用型aminoglycoside)が推奨される。ciprofloxacinとTMP-SMXを比較したスタディではceftriaxoneを静注投与されてからTMP-SMXを開始したグループにおいてoutcomeの向上が認められた

  

 

 

急性単純性腎盂腎炎治療経口抗菌薬

 

fluoroquinolone

ciprofloxacin 500mg 1日2回 5~7日間

ciprofloxacin XR 1000mg 1日1回 5~7日間

levofloxacin 750mg 1日1回 5~7日間

 

TMP-SMX 

160/800mg (1DS tablet) 1日2回 10~14日間投与

 

β lactams

投与量は各薬剤に準じる 10-14日間投与

効果が劣るため、他の薬剤が投与できない時のみ考慮する

  

 

 

 

入院において静注薬治療を行う場合は感受性が判明するまではbroad-spectrum agentを投与する必要がある。Pseudomonasあるいは多剤耐性菌のリスクがある重症患者ではcarbapenem(imipenem-cilastatin、ertapenem、meropenem、doripenem)の投与が必要となりうる

 

 

 

カテーテル関連尿路感染症での抗菌薬の推奨投与期間は抗菌薬に反応が良好な場合は7日間、反応が遅い場合は10~14日間である

 

 

 

カテーテル関連尿路感染においてカテーテル留置期間が2週間以上の場合は、抜去あるいは交換する必要がある(19)

 

 

 

 

 

 

 

UpToDate

 

単純性腎盂腎炎治療静注抗菌薬

local resistance rateに基づいてfluoroquinolone、aminoglycoside +/- amipicillin、extended-spectrum cephalosporin、extended-spectrum penicillin、carbapenemを開始する 

 

 

カテーテル関連尿路感染治療抗菌薬

重症でない場合

ceftriaxone 1gram iv 24時間毎 

cefotaxime 1gram iv 8時間毎 

ciprofloxacin 500mg 経口/ 400mg iv 1日2回

levofloxacin 250-500mg 経口/iv 24時間毎

 

重症の場合

ciprofloxacin 400mg iv 1日2回

ceftazidime 1gram iv 8時間毎 

cefepime 1gram iv 12時間毎

ESBLの可能性がある場合はcarbapenemを投与

尿グラム染色においてgram positive cocciを認める場合はvancomycin ivを追加

投与期間7~14日間 

 

  

複雑性腎盂腎炎治療静注抗菌薬(*)

軽症~中等症

ceftriaxone 1gram iv 24時間毎 

ciprofloxacin 400mg iv 12時間毎 

levofloxacin 750mg iv 24時間毎

aztreonam 1gram iv 8~12時間毎

 

重症

cefepime 2gram 12時間毎

piperacillin-tazobactam 3.375 gram iv 6時間毎

ceftolozane-tazobactam 1.5gram iv 8時間毎

ceftazidime-avibactam 2.5gram iv 8時間毎

meropenem 500mg iv 8時間毎

imipenem 500mg iv 6時間毎

doripenem 500mg iv 8時間毎

 

投与期間7~14日間

 

 

(*)複雑性尿路感染症に含まれるもの

・コントロール不良糖尿病

・妊娠

・院内感染 

・急性腎障害あるいは慢性腎臓病

・尿路閉塞あるいはその疑い

・尿道留置カテーテル、stent、nephrostomy tube、urinary diversion 

・機能的あるいは解剖学的尿路異常

・腎移植

・免疫不全

 

 

 

 

 

 

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IN THE CLINIC

Annals of Internal Medicine

3 October 2017 Volume 167 Number 7

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

インフルエンザ

 

インフルエンザAはウイルス表面の2つの主な糖タンパクに基づいてサブタイプに分類される(H: hemagglutinin (16種類), N: neuraminidase (9種類), H1N1, H3N2が人でよく流行する)。遺伝子が比較的不安定で流行しやすい

 

 

 

インフルエンザBはAに比べ多様性が少なく亜型分類されない。流行株はB/victoriaとB/yamagataという二つのグループに大別することができる。それぞれの抗原の差異はAに比べて小さく、Bに対する免疫やワクチンはほぼ同一であるため、Bのいずれかに感染、あるいはワクチン接種をすればB全てに対してほぼ一定の効果を得られる

 

 

 

米国においてインフルエンザは12月から3月にかけてピークを迎えるが、地域によっては4月あるいは5月でも認められる。インフルエンザBは一般的にAに比べ遅いピークを迎えより長く流行する

 

  

 

感染による合併症や入院のリスクが高いのは、5歳以下の小児、65歳以上の高齢者、妊婦、施設入居者、慢性疾患既往、免疫不全患者、19歳以下でアスピリン長期服薬中、重度肥満者(BMI>40kg/m2)等である

 

 

 

年齢6ヶ月以上のすべての人が毎年ワクチン接種を行うことが推奨されている

  

 

 

近年のスタディではワクチンの効果がインフルエンザのシーズン中に弱まっていく事が示されている。よって夏にワクチン接種を行うのは早すぎる可能性がある。それ以降かつ10月の終わりまでに接種することが理想的である(1, 2, 3)

 

 

 

ワクチンの効果はシーズン毎に変わり、また年齢、基礎疾患、免疫機能、そしてワクチン株と流行するインフルエンザ抗原の一致の程度など、様々な要因の影響を受ける

 

   

 

ワクチンの効果はインフルエンザの型またインフルエンザAのサブタイプによっても変わる

(近年のsystematic review and meta-analysisではワクチンの有効率はインフルエンザA(H1N1)で61%、インフルエンザBで54%、インフルエンザA(H3N2)で33%であった。インフルエンザA(H3N2)でワクチン株がよく一致した場合は有効率33%、しかし抗原連続変異があった場合は23%であった)(4)

 

 

 

ワクチンはインフルエンザ感染による入院を防ぐことに中等度有効である(5, 6, 7, 8)

 

 

 

抗原の含有量を増やしたワクチンの方がより有効であるかもしれない

50歳以上の成人8500人以上で行われたrandomized controlled trial では各hemagglutinin抗原の含有量を3倍にしたrecombinantワクチンは通常量の抗原を含むワクチンに比べより有効であることが示された(9)。また各抗原の含有量を4倍にした不活化ワクチンは通常の抗原含有量の不活化ワクチンに比べnursing home居住高齢者の呼吸器疾患に関連する入院を減らすことが認められた(10)

 

  

 

現在米国では様々な種類のインフルエンザワクチンが利用可能である

各ワクチンは以下の組み合わせによって種類が異なる

 

・不活化・生・遺伝子組み替え

・ 鶏卵培養・哺乳類細胞培養

・通常量抗原含有・高量抗原含有 

・三価・四価(三価は2つのインフルエンザA抗原(H3N2とH1N1)および1つのB抗原を含み、四価は上記2つのA抗原と2つのB抗原(B/YamagataとB/Victoria)を含む)

 

1. inactivated, standard dose, egg-grown, trivalent

2. inactivated, standard dose, egg-grown, quadrivalent

3. inactivated, standard dose, cell culture-grown, quadrivalent

4. inactivated, standard dose, egg-grown, quadrivalent, intradermal

5. inactivated, high dose, egg-grown, trivalent

6. adjuvanted inactivated, standard dose, cell culture-grown, trivalent

7. recombinant, high dose, trivalent

8. recombinant, high dose, quadrivalent

9. live attenuated, egg-grown, quadrivalent, intranasal

(4は皮下注、9は経鼻投与、それ以外は筋注投与である)

 

  

 

経鼻投与可能な生ワクチンがFDAに承認されたが、効果が特にインフルエンザA(H1N1)に対して弱いことが確認されたためCDCは2016から2018年のシーズンに使用しないことを推奨している(1)

 

 

 

インフルエンザワクチンは妊婦に投与しても重大な妊娠あるいは胎児への合併症を認めなかった(11, 12, 13, 14, 15)

 

 

 

インフルエンザワクチンがギランバレー症候群発症のリスクを高めるかどうかははっきりしていない

(observational studiesのsystematic review and meta-analysisではインフルエンザワクチンとGBSがわずかに関連することが示された(16)。一般的には、以前にインフルエンザワクチン投与6週間以内にGBSを発症した人でインフルエンザ感染による合併症リスクの低い人はワクチン接種をしない事が推奨されている。インフルエンザ感染による合併症リスクの高い人の場合はGBSのわずかなリスクよりワクチン接種による利益が上回る。またインフルエンザ感染自体によるわずかなGBS発症のリスクも減らしうる(17, 18))

 

 

 

インフルエンザワクチンの多くは鶏卵培養で作られるが、ワクチンによる重度のアレルギー反応は、卵アレルギーの人でさえ稀である。卵のアレルギーによって蕁麻疹のみが出る人にもインフルエンザワクチンは投与できる。卵のアレルギーによって血管浮腫、呼吸困難、めまい、嘔吐を認める人、あるいはエピペンを必要としたり、アナフィラキシーによって緊急対応を要する人の場合でさえ入院あるいは外来にて医療従事者の監視のもと投与することが可能とされている(1)

  

 

 

正常免疫能で合併症を伴わないインフルエンザ感染の症状を発症した人はおよそ4~7日間上気道からウイルスを排出するとされているが、一般的には3日目以降劇的にウイルスの排出および伝染性は下がる

 

 

 

randomized clinical trials の systematic review and meta-analysisではフェイスマスクを伴う手洗いが家庭内でのウイルス伝染(laboratory-confirmed transmission)を減らす事が示された(手洗いのみでは認められなかった)(19)。他のreviewでは手洗いやフェイスマスクがウイルス伝染を減らす効果は認められなかったが、その多くのスタディに欠陥が指摘されている(20)

 

 

 

neuraminidase inhibitorであるオセルタミビルと吸入薬ザナミビルがインフルエンザ予防薬として承認されている。予防薬は施設でのoutbreakに重要な役割を果たす。オセルタミビルはインフルエンザ予防薬としてnursing homeにおけるoutbreakのコントロールに有効である事が確認されている(21, 22, 23)。nursing homeでoutbreakが起こった場合は全ての居住者に予防薬を投与する事が推奨されている。予防薬は少なくとも2週間、outbreakの期間から1週間は長く投与されるべきとされている

 

 

 

インフルエンザが流行している最中は臨床診断のため、あるいは治療薬を処方するか判断する目的のためにインフルエンザの診断テストを行う必要はない (24)。テストの結果が臨床マネージメントに影響する場合は考慮する

 

  

 

重篤な患者では上気道のみからサンプルを採取した場合、RNA検査でも偽陰性となる可能性がある。気管チューブからの吸引あるいは気管支洗浄液によるサンプル採取によってインフルエンザ診断が可能となる場合がある(25, 26)

 

  

 

インフルエンザテストのsensitivityは、大人より子供の方が、咽頭より鼻咽頭から採取した方が、そして発症から数日以内にテストした方が一般的には高いとされている

 

 

 

インフルエンザ診断テスト

Rapid diagnostic test

antigen detection,   10 min,    low-moderate sensitivity,  high specificity

Rapid molecular assay

viral RNA detection,   15-20 min,    moderate-high sensitivity,  high specificity

Molecular assay

viral RNA detection,    60-80 min,    high sensitivity,  high specificity

 

   

 

Rapid diagostic testはsensitivityが高くないため偽陰性がよく認められる。入院患者ではmolecular assayによる検査が推奨される(27) 

 

 

 

インフルエンザの合併症は多岐にわたる

(中耳炎、心筋炎、心内膜炎、痙攣、脳炎、急性壊死性脳症、急性散在性脳脊髄炎、ギランバレー症候群、筋炎、横紋筋融解など)

 

  

 

発熱が3~5日間以上続く、症状が悪化する場合等は細菌感染の合併による肺炎あるいは髄膜炎の可能性を考え、血液、培養、画像検査などを考慮する

 

   

 

アセトアミノフェンやイブプロフェンなどの解熱剤は水分喪失、また頻脈などによる代謝亢進を防ぎ、悪寒や筋痛などの症状を緩和する

(解熱剤治療が発症期間を長くしたり、または短くするという明らかなエビデンスは認められていない)

 

 

 

アスピリンあるいはアスピリンを含有する薬剤はインフルエンザあるいはその疑いの患者、特に小児および若年者ではReye syndrome のリスクがあるため避けるべきとされている(28, 29)

 

  

 

インフルエンザAおよびBに有効なneuraminidase inhibitors (経口オセルタミビル、吸入ザナミビル、静注ペラミビル)がインフルエンザの治療に推奨されている

 

オセルタミビル 

治療:75mg 経口1日2回5日間投与(重症患者ではより長い投与が必要となりうる)

予防投与:75mg1日1回(投与期間は暴露の期間に準ずる)

CDCによって入院患者の治療に推奨されている

腎機能低下では投与量の調整が必要となる

  

ザナミビル

治療:2吸入(10mg)1日2回5日間投与

予防投与:2吸入(10mg)1日1回(投与期間は暴露の期間に準ずる)

吸入ザナミビルはdataがないため入院患者治療には推奨されていない

  

ペラミビル

治療:600mgを15~30分かけて1回静注(1回投与がオセルタミビル5日間投与に匹敵する)

予防投与:適応なし

外来投与が推奨されている(入院患者治療の効果に関するdataは不十分である)

 

 

 

重症患者ではオセルタミビルを経口胃管あるいは経鼻胃管から投与する事が可能である

 

 

 

adamantane薬剤(アマンタジン、リマンタジン)はインフルエンザBに対する効果がなく、また現在流行しているインフルエンザ A(H1N1, H3N2)も抵抗性を示すためインフルエンザ治療に推奨されていない

 

 

 

CDCはインフルエンザ感染が確認された、あるいは疑いのあるすべての入院患者に対しneuraminidase inhibitorを検査結果を待たずにできるだけ早く投与開始することを推奨している

 

 

 

インフルンザで入院した患者のobservational dataでは抗ウイルス薬の投与開始が発症時に近いほど臨床効果が大きいことが示されたが、発症から48時間以降の投与でも投与しない場合に比べ利益がある事が示された(30)

 

  

 

外来ではインフルエンザが診断された、あるいはその疑いがあり、合併症リスクの高い患者では抗ウイルス薬治療が、たとえ発症から48時間以上経過していても、推奨される 

 

 

外来において発症から48時間以内に訪れた合併症リスクの高くないインフルエンザ、あるいはその疑いのある患者では抗ウイルス薬治療を行うかどうかは臨床判断に委ねられる

 

 

合併症を伴わないインフルエンザ患者の外来治療におけるrandomized clinical trialsでは発症48時間以内にneuraminidase inhibitor 治療を開始した場合、インフルエンザの発症期間をおよそ0.6~1日間短縮することが示された(31, 32)

 

 

 

成人外来患者におけるオセルタミビルとプラセボを比較したrandomized controlled trialsのmeta-analysisでは オセルタミビル投与が抗菌薬治療を要する下気道感染合併およびいかなる理由による入院のリスクを減らす事が示された(31)

 

 

 

 

 

 

 

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IN THE CLINIC

Annals of Internal Medicine

5 September 2017 Volume 167 Number 5

 

 

肥満

 

肥満の割合はアメリカおよび世界中で過去40年間劇的に増え、そして現在も多くの国で増加し続けている

 

 

 

多くの肥満関連疾患は脂肪組織の代謝の影響に起因している

(肥満関連疾患:多数

(他:心房細動、うっ血性心不全、深部静脈血栓、悪性疾患(大腸癌、閉経後乳癌、子宮癌、)、逆流性食道炎、びらん性胃炎、尿路結石、タンパク尿、慢性腎臓病、前立腺肥大、偏頭痛、インフルエンザ悪化、等)

 

 

 

肥満と死亡率の相関関係は J 型カーブを呈し、BMI 20.0~24.9kg/m2(標準体重)で最も低いと伝統的にはされてきた

 

 

 

最近の97の試験のメタアナリシスではBMI 25.0~29.9kg/m2の方が標準体重よりわずかばかり死亡率が低いことが示され(1)、肥満と死亡率の相関関係は議論の余地を有している

 

 

 

overweight(体重過多:BMI 25.0~29.9kg/m2)あるいはクラス1肥満(BMI 30.0~34.9kg/m2)が死亡率増加に関係するか否かに関わらず、それらのグループは2型糖尿病、高血圧、睡眠時無呼吸および心血管疾患などの合併疾患の発症に強く関連している

 

 

 

重度肥満に対して肥満治療手術を受け、初期の体重から15~25%低い体重を維持したグループでは全ての原因による10年後死亡率を29%減少させたことが示された。主には心血管疾患および癌関連による死亡率の減少よるものであった(2)

 

 

 

肥満予防に関する有効な行動には、食べ物のラベルを読む、一回に食べる量を減らす、果物・野菜を食べる(5 servings per day)(*)、適量の線維をとる(25g/日)、運動(45~60分/日)、仕事でのストレスを減らす(3)、車通勤の制限(4)、適度な睡眠(6~9時間)(5)などがある

 

(*)1 serving:

生野菜1カップ、調理された野菜1/2カップ、野菜ジュース3/4カップ、中等のリンゴ・バナナ・オレンジ 、缶詰あるいは調理された果物1/2カップ、フルーツジュース3/4カップ

 

 

 

 

内科医は時に患者の内服薬を確認することによって肥満予防に介入できる場合がある(体重増加に関連する薬剤(★))

 

 

 

 

計120877人を12~20年追跡した3つのコホート試験を組み合わせた結果から最も強く肥満と関連を示したものはポテトチップス、じゃがいも、赤みの肉、加糖飲料の摂取であり、野菜、果物、全粒穀物、ナッツ、ヨーグルトの摂取は逆の相関を示した(6)

 

 

 

 

肥満の親しい友人あるいは家族がいる場合は肥満のリスクが 上がる可能性が示唆されている(7)

 

 

 

BMIを使って肥満の診断を行うことが推奨されている

overweight:  25.0~29.9kg/m2

class 1:  30.0~34.9kg/m2

class 2:  35.0~39.9kg/m2

class 3:  40.0kg/m2以上

(class 3の名称は以前使われていたmorbid obesityからextreme or severe obesityに変更された)

 

 

 

東アジアでは糖尿病のリスクはBMI 23kg/m2以上から増加する(中国人、日本人他)

 

 

 

中心性肥満は糖尿、高血圧のような肥満関連疾患のリスクを高める内臓肥満によく相関している。ウエスト周囲径は中心性肥満に関しBMI以上に情報を提供する

 

 

 

医師はoverweight およびclass 1肥満の患者においてウエスト周囲径を測定すべきである

(BMI 25kg/m2以下あるいはclass 2以上の肥満においてはウエスト周囲径がリスクに関するさらなる情報をもたらす事はない) 

 

 

 

ウエスト周囲径は腸骨稜上で通常呼吸の呼気後に測定する

男性では88cm以上、女性では100cm以上がウエスト周囲径上昇とされる

 

 

 

患者は治療者が「肥満」という単語よりも、「体重」(あるいは weight problem)という言葉を使うことを好むことがスタディから示されている

 

 

 

治療者は「今日は体重に関してお話してもいいですか」という問いから開始する

(「減量する必要がある」と、多くの場合患者が既に自覚していることを単に言われるよりも、上記のように切り出すことによって患者の懸念に関する話をする機会を与える事ができる)

 

 

「現体重の5~10%減量するだけで合併するコンディションをかなり改善する可能性があります」 という説明によって患者に体重節制に関する希望を与える可能性がある

(患者は25%あるいはそれ以上減量しなければ成功でないと考えている場合が多い)(8)

 

 

 

肥満に関する治療には生活習慣改善、薬物治療および手術療法がある

(推奨されるアルゴリズムでは生活習慣改善は BMI 25kg/m2 以上から、薬物治療はBMI 30kg/m2 以上で生活習慣改善だけでは十分な減量ができない場合(合併疾患を有する場合は 27kg/m2 以上から)、手術療法はBMI 40kg/m2 以上から(合併疾患を有する場合は 35kg/m2 以上から)考慮する必要がある、とされている)(9)

 

  

 

カロリー制限が生活習慣改善による減量の鍵になる

(患者は摂取カロリーを500~1000kcal/日 減らす方が同等量のカロリーを運動によって消費するよりもかなり容易であると多くの場合感じる(およそ500ccの加糖飲料を2回控えるか、およそ8km歩くか、の選択において))

 

 

 

典型的には患者の1日必要摂取カロリーを計算し、そこから 500~1000kcal 差し引いたカロリー摂取を行い、週ごとにおよそ 0.5~1kg の減量を目指していく

 

 

 

カロリー摂取の処方は患者が正確にカロリー摂取量を測定できるという推測に基づいて行われるが、肥満患者は1日カロリー摂取量をおよそ40%少なめに評価することがスタディから明らかにされている(10)

 

 

 

この結果に基づいて113.6kg以下の患者では1200~1499kcal/日、113.6kg以上の患者では1500~1800kcal/日の目標カロリー摂取量が処方される

(患者の1日カロリー摂取量の過小評価を考慮した処方)

 

 

食事療法には低脂肪ダイエット、低炭水化物ダイエット、Meal-replacement diet(シェイク、meal bars)など様々なものがあるが、多くのスタディにおいて長期的には主要栄養素量が異なるダイエット間でも同等の減量を達成することが示されている。よってfederal dietary guidelinesに従ったダイエットが推奨される(11

 

 

 

運動は減量維持においてより重要な意味を持つ

 

 

 

週に275分(およそ1日40分)の運動を継続できる場合、長期的に減量した体重を維持できる可能性が非常に高くなる

 

  

 

減量した体重を維持する事は難しい

6ヶ月のプログラムを終えた患者の平均で減量した体重の三分の一が翌年の間に再度増加することが示されている。以前はこの体重の再増加は古い習慣への後退が原因だと考えられていたが、最近の研究では1年間で十分な減量を達成した後でも空腹を促すホルモン(ghrelin)が上昇したままである事や、満腹感を司るホルモン(leptin, amylin)が依然低下したままである事が明らかになり(12)、つまり生理的に体重再増加に向かう仕組みになっている事がわかった

 

 

 

 

FDAの承認を得ている肥満治療薬にはPhentermine,  Diethylproprion,  Benzaphetamine,  Phendimetrazine,  Phentermine-topiramate,  Lorcaserin,  Orlistat がある

 

 

Phentermine

米国において最も多く処方されている。交感神経刺激作用があるため血圧、脈拍のモニターが必要である(心血管疾患既往、コントール不良高血圧、緑内障、甲状腺機能亢進症、drug abuseでは禁忌)。短期間の使用が承認されている(12週間)

(他の交感神経刺激剤(Diethylproprion,  Benzaphetamine,  Phendimetrazine)の使用頻度は低い)

 

 

Phentermine-topiramate

2剤をそれぞれ単剤投与に比べ減量して組み合わせたもので、それぞれの副作用を減らす意図でつくられた薬剤。topiramateはてんかん治療薬で副作用の一つに体重減少がある。現在承認されている薬剤中で最も減量効果が高い(最初の体重の8~11%減量)。副作用は感覚低下、口腔乾燥、便秘、不眠がある。禁忌はphentermineと同じで、かつ尿路結石(topiramate)が含まれる。またtopiramateは妊娠においてcategory Xとされている

 

 

Lorcaserin

5HT2C受容体のアゴニストで食欲を制御する。セロトニン製剤を服用中の患者では注意が必要である(SSRI, SNRI)。重度の鬱および心血管疾患の既往では禁忌である

 

 

Orlistat

腸管での脂肪吸収の抑制によって減量効果を発揮する。プラセボに比べ3~4%の体重減量を認める(lorcaserinと同等)。市販薬としても利用できる。副作用には脂肪便や脂溶性ビタミン欠乏などがある

 

 

 

 

 

減量手術は BMI 40kg/m2 以上、あるいは BMI 35kg/m2 以上で少なくとも一つ以上の体重関連疾患を有する(2型糖尿、睡眠時無呼吸、重度の関節疾患、等)場合は一般的に適応となる。またlaparoscopic gastric bandingも BMI 30kg/m2 以上で2型糖尿を有する場合は施行がFDAで承認されている

 

 

 

米国で最も一般的に行われている減量手術は次の三つである

Adjustable gastric banding

Roux-en-Y gastric bypass

Sleeve gastrectomy(胃の75%を切除)

(すべて腹腔鏡下で可能な手術である)

 

 

 

減量手術は重度の肥満において最も効果の高い治療である

Randomized trials のメタアナリシスでは手術一年後における効果は gastric banding,  gastric bypass,  sleeve gastrectomy においてそれぞれ BMI が2.4kg/m2,  9.0kg/m2,  10.1kg/m2 減少したことが示された(13)

 

  

 

multicenter cohort studyでは減量手術を受けた患者において4.3%は少なくとも重大な合併症が認められた(死亡、深部静脈血栓症、再手術、failure to be discharged from the hospital)。また30日死亡率ではgastric banding,  laproscopic gastric bypass,  open gastric bypass においてそれぞれ、0%,  0.2%,  2.1% であった(14)

 

  

 

 

 

 (★)グルココルチコイド(prednisone)、糖尿病薬剤(insulin, sulfonylureas, thaizolidindiones, meglitinides)、第一世代抗精神病薬(thioridazine)、第二世代抗精神病薬(risperidone, olanzapine, clozapine, quetiapine)、神経疾患薬(carbamazepine, gabapentin, lithium, valproate)、抗ヒスタミン薬(特にcyproheptadine)、抗うつ薬(paroxetine, citalopram, amitriptyline, nortriptyline, imipramine, mirtazapine)、ホルモン製剤(progestins, 特にmedroxyprogesterone)、βブロッカー(特にpropranolol)、アルファブロッカー(特にterazosin)

 

 

 

 

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13. Padwal R, Bariatric surgery: a systematic review and network meta-analysis of randomized trials. Obes Rev. 2011;12:602-21

 

14. Flum DR, Longitudinal Assessment of Bariatric Surgery (LABS) Consortium. Perioperative safety in the longitudinal assessment of bariatric surgery. N Engl J Med. 2009;361:445-54

 

 

 

 

In The Clinic 

Annals of Internal Medicine

3 September 2013 Volume 159 Number 5

 

 

 

 

 

喫煙

 

米国において1965年以降タバコの使用数は半分以下に減っているが依然予防できうる死の原因第1位である(1)

 

 

多くの医師が喫煙治療に関する適切なトレーニングを受けておらず、多くの患者が禁煙に関する援助を受けていない

 

 

喫煙者は非喫煙者に比べ10年以上寿命が短くなることが示された(2)

 

 

およそ全ての癌による死亡の3分の1は喫煙に起因するとされている(3)

 

 

中年以降における虚血性心疾患による死亡の3分の2は喫煙に起因していることが示された(4)

 

 

米国において年間7300人の癌による死亡、および34000人の虚血性心疾患による死亡は受動喫煙に起因しているとされている

 

 

40歳以前に禁煙すれば喫煙に関連する死亡率を90%減少させる可能性が示された(2)

 

 

喫煙してきた癌患者が診断の時点で禁煙すれば死亡のリスクを30〜40%減少させるとされている(5)

 

 

癌診断後の喫煙の継続は癌の再発、他の原発癌の発症、癌治療抵抗性、外科的手術合併症、化学療法の必要性、放射線治療合併症のリスクを高めることが示された(1, 5)

 

 

禁煙10年後には肺癌発症リスクを50%まで減少させることが示された(1)

 

 

禁煙後2〜3年には虚血性心疾患による死亡のリスクが3分の2減少する事が示された(6, 7)

 

  

禁煙後2〜4年で脳卒中発症のリスクが非喫煙者と同等になるとされている(8)

 

 

喫煙歴に関わらず全ての年齢において禁煙は利益をもたらすことが示された(2, 4)

 

 

最近の二つの大きな後ろ向きコホート分析では55〜64歳で禁煙すれば、4年寿命が伸び、たとえ70歳以降に禁煙しても、その後も喫煙を継続するグループに比べ死亡リスクを減少させることが示された(2, 4)

 

 

ニコチンは最も中毒性のある物質の一つである(1)

 

 

タバコの離脱症状は抑うつ気分、不安、 易興奮性、集中力低下、食欲増加、情動不安、不眠などである(9)

 

 

離脱症状は典型的には最後の喫煙から数時間後に始まり、最初の1週間にピークを迎える。その後6週間、あるいはそれ以上持続しうる(10)

 

 

喫煙者の多くは18歳以前に喫煙し始めるので年齢、性別、既往歴にかかわらず全ての患者に喫煙の有無を問診することが推奨されている

 

 

電子タバコの蒸気にはタバコに比べその量は非常に少ないが有害物質が含まれる。FDAの統制を受けていないため製造工程は標準化されておらず、含まれる有害物質の量も異なりうるため、現時点において電子タバコは安全とは言い切れない(11, 12)

 

 

支援を受けずに禁煙できる確率は5%以下とされている(13)

 

 

医師からの簡易なアドバイスでさえも禁煙への有効性が認められている。その継続期間と頻度が禁煙成功に対し強い相関関係を有する(14, 15)

 

 

外来受診のたびに禁煙に対する簡易な臨床介入である”5As”を利用することが推奨されている(14)

 

 

5As

ASK: 受診のたびに喫煙に関して尋ねる

ADVISE: 禁煙を勧める(強く明確で個人に向けたメッセージで)

ASSESS: 禁煙に対するやる気を尋ねる(全員が禁煙の準備ができている訳ではなく、その場合は動機づけのカウンセリングを行う)

ASSIST: 禁煙を援助する(禁煙開始日を決める、行動を変える(代替となる行動、技術)、薬剤治療、援助(環境や誘引となるものへ介入))

ARRANGE: フォローアップ(対面・電話・メールにて、達成度・副作用・離脱症状をモニターする)

 

 

 

Meta-analysis において禁煙に関する他の治療を伴わない自己支援のアイテムは有効性が示されなかったが、個人ごとに調整されるものはそうでないものに比べ少ないながらも効果が認められている。最近ではアプリ、携帯、ウェブサイトに基づくプログラムなどがあり、その多くはエビデンスには基づかないものの、有害性も少ないため広く利用可能である(16)

 

 

6ヶ月以上の禁煙に対する鍼灸治療、指圧治療、光線治療による一致した有効性は認められなかった(17)

 

 

現在FDAに認可されているタバコ依存に対する薬物治療は7つある。そのうちの5つはNRT (nicotine replacement therapy)(パッチ、ガム、トローチ、吸入、鼻内噴霧)であり、その他2つは非ニコチン製剤である(bupropion, varenicline)

 

 

すべての喫煙者に対し禁忌でない限り薬物治療を行うことが推奨されている(14)

 

 

bupropion と NRT は同等の有効性を認め、varenicline は NRT単剤および bupropion より高い有効性を認めた(18)

 

 

 

 

nicotine replacement therapy

NRTによるニコチン伝達はタバコに比べて遅いので、喫煙者は喫煙と同等の快感は得られない(10, 14) 

 

全てのNRT製剤は動機付けされた人において6ヶ月での禁煙率を50〜70%増加させる(18)

  

タバコ1本でおよそ2mgのニコチンが伝達される。したがって1日1箱吸う喫煙者ではおよそ40mgのニコチンが吸収されるため、21mg1枚のニコチンパッチでは完全にはその渇望を満たせないかもしれない(14)

  

1つのNRT製剤に他のNRT製剤を追加することで有効性が増す(14)。典型的には長期作用型NRT(ニコチンパッチ)に短期作用型NRT(ガム、トローチ、吸入、鼻内噴霧)を追加する

  

NRT投与中は禁煙することが推奨されているが仮に喫煙してしまう場合でもニコチンパッチをはがさず、禁煙行動を続ける

(複数のNRT製剤を同時に使用、あるいはNRT製剤とタバコとの併用が重大なリスクをもたらすことはほとんどないとされている)

 

NRT製剤は心筋梗塞発症2週間以内、重度の労作性狭心症、重篤な不整脈においては慎重に投与すべきとされている(19)

(これらの患者ではNRT製剤による副作用より喫煙継続によるリスクの方が大きいと考えられる) 

 

 

NRT製剤

ニコチンパッチ( 25ドル / 2週間):

1日10本以上喫煙する場合は21mgから開始、4〜6週間後に14mgに変更、タバコに対する渇望がなければ2週間後に7mgに変更

 

ニコチンガム(35〜50ドル / 2週間):

必要時1〜2時間毎に投与(2m・4mg、ニコチン依存が強い場合は4mg)

 

ニコチン吸入(300ドル / 168 cartridges):

必要時吸入、1日16 cartridgesまで、口腔で吸収されるので深く吸い込む必要なし

 

ニコチン鼻内噴霧(300ドル / 4瓶):

必要時1時間毎に1〜2噴霧

 

ニコチントローチ(40〜50ドル / 72錠):

最初6週間は1日9〜15錠、その後減量(2mg・4mg、起床30分以内に喫煙していた場合は4mg)

 

 

 

 

bupropion

bupropionはセロトニン、ノルエピネフリン、ドーパミンを抑制する。ニコチン報酬系に関与するドーパミンに対する作用によって効果を発揮すると考えられている(14)

 

体重増加が少なく、抗うつ作用を有する

 

主な副作用は不眠、不安、口腔乾燥、頭痛、皮疹である(20)

 

最近の痙攣、摂食障害などでは禁忌とされている。高血圧にも関与するので血圧のモニターが必要である 

 

禁煙開始1〜2 週間前から開始し、8〜12週間継続する

 

bupropion(150ドル / 1ヶ月):

150mg 毎朝投与を3〜7日継続、その後必要あれば300mg 1日1回に増量(典型的には8〜12週間投与)

 

 

 

 

varenicline

varenicline はニコチン受容体に対する partial agonist および antagonist として効果を発揮する

 

禁煙開始1週間前から開始する

 

最も一般的な副作用は嘔気、睡眠障害、消化器症状である。腎機能低下患者では投与量の調整が必要である。また異常行動、攻撃性、抑うつ、自殺行動などの神経精神症状に寄与する可能性も指摘されており、現在調査中である

 

varenicline(200ドル / 1ヶ月): 

0.5mg 1日1回で開始し1〜3日継続、続いて0.5mg 1日2回に増量し4〜7日間、その後1mg 1日2回に増量(12週間まで継続、効果があればさらに12週間継続)

 

 

 

 

医師および被治療者は禁煙に失敗しても諦めずに禁煙に対する行動を継続することが推奨されている

(多くの禁煙成功者は数回以上の禁煙失敗を経験している) 

 

 

電子タバコとニコチンパッチを比較した唯一の試験では禁煙率に有意差が認められなかったがその試験方法に重大な欠陥が指摘されている(21)。電子タバコに関するはっきりしたエビデンスが認められるまでは現在FDAに認可されているエビデンスに基づく治療を行うことが推奨されている(14)

 

 

多くの喫煙者が体重増加を禁煙しないことの理由としてあげるが、禁煙によってもたらされる健康に対する利益は中等度の体重増加によるリスクを上回ることを強調する必要がある

 

 

喫煙者は入院時により治療介入に反応を示すかもしれない

(入院した喫煙者に入院中および退院1ヶ月以内に行動変容に関する介入を行なった場合、禁煙を促進することが示された。またNRTをカウンセリングに追加した場合、カウンセリングのみ行なった場合に比べ禁煙率が増加した。カウンセリングに bupropion あるいは varenicline を追加した場合のはっきりしたエビデンスは示されなかった(22)) 

 

 

 

 

  

United States Public Health Service Office of the Surgeon General. The health consequences of smoking-50 years of progress: a report of the Surgeon General. Atlant, Ga: U.S. Department of Health and Human Service; 2014 

  

2

Jha P.   21 st-century hazards of smoking and benefits of cessation in the United States. N Engl J Med. 2013; 368:341-50

 

3

Jacobs EJ.  What proportion of cancer deaths in the contemporary United States is attributable to cigarette smoking? Ann Epidemiol. 2015; 25:179-182

 

4

Thun MJ.  50-year trends in smoking-related mortality in the United States. N Engl J Med. 2013; 368:351-64  

 

5

Toll BA.  AACR committee on Tobacco and Cancer. Assessing tobacco use by cancer patients and facilitating cessation: an American Association for Cancer Research policy statement. Clin Cancer Res. 2013; 19:1941-8

 

6

Anthonisen NR.  Lung Health Study Research Group. The effects of a smoking cessation intervention on 14.5-year mortality: randomized clinical trial. Ann Intern Med. 2005; 142:233-9

 

7

Dobson AJ.  How soon after quitting smoking does risk of heart attack decline? J Clin Epidemiol. 1991; 44:1247-53

 

8

Shah RS.  Smoking and stroke: the more you smoke the more you stroke. Expert Rev Cardiovasc Ther. 2010; 8:917-32

 

9

Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders: DSM-5: American Psychiatric Association; 2013

 

10

Orleans CT.  Nicotine Addiction: Principles and Management. New York: Oxford University Press: 24-45; 2003

 

11

Goniewicz ML.  Levels of selected carcinogens and toxicants in vapour from electronic cigarettes. Tob Control. 2014; 23:133-9

 

12

Cheng T.  Chemical evaluation of electronic cigarettes. Tob Control. 2014; 23 Suppl 2:ii11-7

  

13

Hughes JR.  Shape of the relapse curve and long-term abstinence among untreated smokers. Addiction. 2004; 99:29-38

 

14

Fiore MC.  Treating tobacco use and dependence. 2008 update U.S. Public Health Service Clinical Practice Guideline executive summary. Respir Care. 2008; 53:1217-22

 

15

Stead LF.  Physician advice for smoking cessation. Cochrane Database Syst Rev. 2013; 5:CD000165

 

16

Hartmann-Boyce J.  Print-based self-help interventions for smoking cessation. Cochrane Database Syst Rev. 2014; 6:Cd001118

 

17

White AR.  Acupuncture and related interventions for smoking cessation. Cochrane Database Syst Rev. 2014; 1:CD000009

 

18

Cahill K.  Pharmacological interventions for smoking cessation: an overview and network meta-analysis. Cochrane Database Syst Rev. 2013; 5:Cd009329

 

19

Greenland S.  A meta-analysis to assess the incidence of adverse effects associated with the transdermal nicotine patch. Drug Saf. 1998; 18:297-308

 

20

Cahill K.  Pharmacological interventions for smoking cessation. JAMA. 2014; 311:193-4

  

21

Bullen C.  Electronic cigarettes for smoking cessation: a randomised controlled trial. Lancet. 2013; 382:1629-37 

 

22

Rigotti NA.  Intervention for smoking cessation in hospitalized patients. Cochrane Database Syst Rev. 2012; 5:Cd001837 

 

 

 

 

In The Clinic

Annals of Internal Medicine

1 March 2016 Volume 164 Number 5

 

 

 

 

 

 

 

アルコール摂取

 

Alcohol Use Disorder(アルコール使用障害)で治療適応を有する患者のうち実際に治療を受けているのは4%以下である(1)

 

 

アルコール乱用は予防できうる死の原因の第3位にあたる(2)

 

 

低量のアルコール摂取が虚血性心疾患や虚血性脳疾患の発症予防に有効である事がobservational studies で示されているが、それを示すrandomized controlled trial はない(3, 4)

 

 

全ての成人へのアルコール摂取のスクリーニングが推奨されている

 

 

<最初の質問>

あなたは時々ビール、ワイン、あるいは他のアルコール飲料を摂取することがありますか

 

 

飲酒を認める場合

<NIAAA Single-Question Screening Item>

 

昨年一年間の間で一日のうちに 4 or 5 drinks 以上のアルコールを摂取することが何回ありましたか

男性:5 drinks、女性:4 drinks

(1 drink :  ビール 340cc、ワイン 140cc、スピリッツ(40%)42cc )

 

1回あるいはそれ以上あれば問題飲酒のスクリーニング陽性(sensitivity 73%,  specificity 84%)(5)

 

 

スクリーニング陽性の場合はさらに詳しく問診する

(平均週何日飲酒するか、平均1日にどのくらい飲酒するか、多量飲酒する日にちは何日あるか、・・・)

 

 

 

CAGE は広く使われているが生涯の間でのアルコール使用障害のスクリーニングには有用であるが、過去のものか、あるいは現在のものかの判別ができず、また比較的軽度の問題飲酒や過飲のスクリーニングには適切ではない

 

 

 

<lower-risk drinking>

男性では 4 drinks を超える日がない、あるいは週に14 drinks を超えない

女性では 3 drinks を超える日がない、あるいは週に7 drinks を超えない

 (1 drink :  ビール 340cc、ワイン 140cc、スピリッツ(40%)42cc )

 

 

<at-risk drinking>

上記の範囲を超える

 

 

 

<Alcohol Use Disorder(アルコール使用障害)診断基準>

・意図している以上の量あるいは時間、アルコールを摂取してしまう

・アルコールの減量あるいは節制をしたいと思っているができない

・多くの時間をアルコールの獲得、摂取あるいはその回復に費やしている

・アルコール摂取を渇望している

・アルコールのために日常業務をこなせない

・アルコール摂取による問題が起こっているにも関わらず、摂取し続けてしまう

・アルコール摂取のために重要な活動を断念あるいは制限してしまう

・身体に有害な状況になっているにも関わらず繰り返しアルコール摂取をしてしまう

・身体的あるいは精神的問題になる事を理解しているにも関わらずアルコール摂取を続けてしまう

・耐性

・離脱

 

 上記のうち2つ以上認めれば診断(軽度:2〜3、中等度:4〜5、重度:6以上)

 

 

 

アルコール離脱症状

・軽度:発汗、眼振、頻脈、反射亢進、血圧上昇、嘔気・嘔吐、発熱、下痢、軽度興奮

・幻覚(聴覚、視覚、触覚)

・離脱痙攣(最終摂取から12〜48時間後をピークに発症)

・振戦せん妄(興奮、混乱、振戦、幻覚、自律神経過活動)

 

 

 

アルコール離脱症状は最終摂取から早くて5〜8時間後、遅くて72時間後まで起こり得る(7)

 

 

 

アルコール離脱の評価および治療には CIWA (Clinical Institute Withdrawal Assessment for Alcohol) が最も一般的に使われている(6)

(10の評価項目に基づいてスコアリングを行う;軽度:7点以下、中等度:8〜15点、重度:16点以上)

 

 

 

アルコール離脱は症状に応じた量のベンゾジアゼピンを投与する方法が最も安全かつ効果的な治療法として広く行われている(8, 9, 10)

 

 

 

長時間作用型ベンゾジアゼピン(chlordiazepoxide, diazepam)が好まれて使用されるが、高齢者や肝疾患の患者では非長時間作用型ベンゾジアゼペン(lorazepam)を考慮する必要がある

 

 

 

<ベンゾジアゼピン投与>

・症状に基づいて投与

chlordiazepoxide 50-100mg,  or  diazepam 10-20mg,  or  lorazepam 2-4mg   1-2時間毎(症状が改善するまで)

 

・固定投与

chlordiazepoxide 50mg,  or  diazepam 10mg,  or  lorazepam 2mg  6時間毎 day 1

上記半量を6時間毎 day 2, day 3

 

 

 

全てのアルコール使用障害患者でアルコール使用再発を防ぐ薬物治療が考慮されるべきである(11)

 

 

 

FDA に承認されているアルコール使用障害再発予防薬は disulfiram, acamprosate,  naltrexone の三つである

 

 

 

4つのstudies の meta-analysis では disulfiram 治療によるアルコール使用障害の再発予防あるいは関連するアウトカムへの有効性は認められなかった(11)

 

 

16 の studies の meta-analysis では acamprostate によるアルコール使用再発を防ぐ number needed to treat は12 である事が示された(11)

 

 

acamprostate は1日3回投与であること、副作用による下痢が多いことなどの欠点があるが、腎代謝なので肝不全によって naltrexone を投与できない場合などに有用である

 

 

naltrexone によるアルコール乱用再発を防ぐ number needed to treat は12 であった(11)

 

 

 

 

 

1

Grant BF.    Epidemiology of DSM-5 Alcohol Use Disorder: Results From the National Epidemiologic Survey on Alcohol and Related Conditions III. JAMA Psychiatry. 2015;72:757-66 

 

2

National Institute on Alcohol Abuse and Alcoholism. Alcohol Facts and Statistics; 2015

 

3

Roerecke M.   Alcohol consumption, drinking patterns, and ischemic heart disease: a narrative review of meta-analysis and a systematic review and meta-analysis of the impact of heavy drinking occasions on risk for moderate drinkers. BMC Med. 2014; 12:182

 

4

Pata J.   Alcohol consumption and the risk of morbidity and mortality for different stroke types - a systematic review and meta-analysis. BMC Public Health. 2010;10:258

  

5

McNeely J.   Validation of Self-Administered Single-Item Screening Questions (SISQs) for Unhealthy Alcohol and Drug use in Primary Care Patients. J Gen Intern Med. 2015;30:1757-64

 

6

Sullivan JT.   Assessment of alcohol withdrawal: the revised clinical institute withdrawal assessment for alcohol scale (CIWA-Ar). Br J Addict. 1989;84:1353-7

 

7
Blondell RD.   Ambulatory detoxification of patients with alcohol dependence. Am Fam Physician. 2005;71:495-502

 

8

Amato L.   Benzodiazepines for alcohol withdrawal. Cochrane Database Syst Rev. 2010:CD005063

 

9

Minozzi S.   Anti-convulsants for alcohol withdrawal. Cochrane Database Syst Rev. 2010:CD005064

 

10

Amato L.   Efficacy and safety of pharmacological interventions for the treatment of the Alcohol Withdrawal Syndrome. Cochrane Database Syst Rev. 2011:CD008537

 

11

Joans DE.   Pharmacotherapy for adults with alcohol use disorders in outpatient settings: a systematic review and meta-analysis. JAMA. 2014;311:1889-900

 

 

 

From IN THE CLINIC

Annals of Internal Medicine

5 January 2016 Volume 164 Number 1