レジデントノート

米国にて内科修行中。何ができるか模索している過程を記録していく

Clostridioides difficile Infection

 

1978年までにClostridioides difficile(以前のClostridium difficile)が抗菌薬に関連しておこる下痢のもっとも多い原因として確立された(1)

 

 

2011年の米国におけるC difficileの発生数はおよそ453000、それに関連する死亡数は29300であった(2)

 

 

C difficile感染の発症数、重症度、死亡数の上昇はribotype 027株(以前のNAP1/BI/027)の流行に大きく関連しており、その株は2000年初期に現れ、結果カナダ、アメリカ、ヨーロッパ、アジアにおいてoutbreakが認められた(3, 4, 5)

 

この株はfluoroquinoloneに高い耐性を持ち、以前C difficileでは多くなかった二元毒素を産生し、またtoxin Aおよびtoxin Bも他の株に比べ非常に多く産生する(15〜20倍)(4)

 

この株は周産期の女性や子供を含むリスクの確立されていない人への市中感染にも関連が認められている(6)

 

2007年から2010年の間イギリスにおけるribotype 027の有病率が55%から22%へと大きく減少した。これはfluoroquinolone使用の減少に付随しており、その減少がC difficileの発生率および死亡率の減少に大きく関連すると考えられている(7, 8)

 

 

他の株ribotype 078の発生も報告されており、この株はribotype 027と同等の重症度を持ち、若いpopulationへ感染し、より市中感染に関連している(9, 10)

 

 

 

 

予防

C difficileの人から人への伝染は糞口経路で起こる。人との直接の接触、汚染された環境・器具への暴露、colonizeされた医療従事者の手への接触などを介して獲得される(11)

 

 

感染リスクは入院患者の方が非常に高いが、人口10万人に対し51.9件の市中感染も認められている(6)

 

 

医療関連でcolonizationされた者および感染者への暴露が最も多い市中感染の原因と考えられている。限られたスタディではC difficileの汚染が確認された外来における医療環境も市中の感染源であることが示唆されている(12, 13)。スタディでは市中C difficile感染者のおよそ82%が近日に外来医療施設を訪れていたことが確認されている(13, 14)

 

 

12週間以内に救急外来で治療を受けたことも市中感染に大きく関連することが確認されている(抗菌薬治療を受けたかに依存)(13, 14)

 

 

家庭環境における人、ペット、農場家畜の間での伝染も記録されている(15, 16)

 

 

売られている肉や野菜からの菌の分離も報告されている(17)が、いずれの製品も市中感染のリスクとしては確認されていない(13)

 

 

C difficileは芽胞を形成し胃内の酸性環境でも生存できる

 

 

無症候性colonizationは急性期病院の患者の3〜18%で認められ、その獲得は入院期間の長さに強い関連性を示している(18)

 

 

長期施設入居者の4〜20%が菌を保持している(19)

 

 

outbreak時には長期施設入居者における無症候性colonization率は51%にまで登ることが報告されている(20)

 

 

市中におけるcolonization率はおよそ2〜10%とされている(18)

  

 

colonizationが確立されると、特定の因子によって病気の発症が促される

 

 

抗菌薬のよる腸内菌バランスの崩壊が最も多い原因であり、投与期間の延長および複数の抗菌薬使用がリスクを高める

 

 

特定の抗菌薬への暴露が耐性株の選別を促し、C difficile流行の原因となる。過去のclindamycin耐性株("J strain")のoutbreakは主にclindamycinの使用によってもたらされ(21)、ribotype 027の発生は主にfluoroquinoloneの使用に起因している。およそ全ての抗菌薬が腸内菌バランスの崩壊に対するリスクを有しているが、C difficile感染に関連している他の抗菌薬としては第三・第四世代cephalosporinおよびcarbapenemがある (5)

 

 

化学療法治療薬も同様の影響を持つかもしれない(22)

 

 

プロトンポンプ阻害剤やH2受容体ブロッカーもある役割を果たしているとのデータも報告されているが、依然議論は続いている(5, 23, 24)

 

 

手術、浣腸、便軟化剤、経腸栄養などの消化管の操作も起因するファクターであるとの報告もある(25, 26, 27)

 

 

好中球減少や進行したHIV感染などの免疫に関わる特定の状態も発症に起因するかもしれない。また高齢、衰弱、重篤な他の疾患への罹患などもリスク上昇に関連するとされている(5, 28)

 

 

 

感染を減らす方法は? 

C difficile予防の最も重要な手段は抗菌薬使用の制限、特にリスクの高い特定のクラスの抗菌薬使用を控え、手袋、ガウン、手指衛生などの感染予防策を遵守することである。さらに日々環境の清掃および消毒を行うことも大切である

 

 

医師は微生物学者、感染症専門家、薬剤師、感染予防専門家、病院疫学者、病院管理者共同でデザインされた抗菌薬管理プログラムへ参加しなければならない。リスクの高い抗菌薬使用の制限から医師の抗菌薬治療のモニターおよびフィードバックまでの様々な方法が取られる。プロトコールでは尿路感染症や肺炎などの特定の感染症や状態に対する抗菌薬使用の改善にフォーカスすることも重要である

 

 

大きな教育病院の老年科サービスにおいて21ヶ月2期間で行われたprospective controlled, interrupted time-series studyでは適切なnarrow-spectrum抗菌薬使用へのフィードバックを含む抗菌薬処方プロトコールの導入の前後におけるC difficileの感染率が評価された。抗菌薬ポリシー導入後では、C difficile感染発症の有意な減少が認められた(incidence rate ratio, 0.35; P=0.009)(29)

 

 

市中感染の増加も認められるため、外来における抗菌薬使用もC difficile感染へ大きく寄与すると考えられることから、そのプロトコール使用も感染予防のターゲットとなるかもしれない

 

 

C difficileに感染した入院患者では下痢が止まった48時間後まで個室に隔離しなければならない(5, 30)

 

通常感染予防には患者接触の前後における厳格な手指衛生、接触予防にはC difficile感染患者のケアあるいは体液への暴露の可能性がある場合は廃棄できる手袋、ガウンを使用することが含まれる

 

 

石鹸による手洗いの方がアルコールによる手指消毒よりもC difficileのアルコールに高い耐性を持つ芽胞の除去に対し効果が高いことを複数のスタディが示している(31, 32)

 

 

しかし、アルコール消毒と比較して、石鹸による手洗いの方がC difficileの感染率を減らすことは証明されていない(33, 34)。さらにはアルコールが他の細菌に対して通常認める3〜4-log reductionが、石鹸を使った手洗いではC difficile芽胞に対する同等の減少が達成されない(35)。したがって、手袋の使用がC difficile伝染予防の最も重要な手段である。Infectious Diseases Society of America(IDSA)とSociety for Healthcare Epidemiology of America(SHEA)のガイドラインでは手袋を破棄した後の石鹸による手洗いを、アルコール消毒よりも推奨している(5)

 

 

 

 

 

診断 

以下のリスクファクターを確認しなければならない

 

・抗菌薬使用(clindamycin, cephalosporin, carbapenem, fluoroquinoloneらが最も強く関連するが、他の全ての抗菌薬もリスクとなる。また投与期間と抗菌薬の投与数でリスクが上昇する)

・抗腫瘍薬使用

・入院あるいは長期施設滞在(入院あるいは長期施設滞在歴のない市中感染も頻度が増えている)

・高齢

・基礎疾患(悪性疾患、腎不全、衰弱)

・消化管操作(手術、経腸栄養、浣腸、(PPI/H2Bも関連するかもしれない))

 

 

 

C difficileによる抗菌薬関連性下痢は抗菌薬投与中、あるいは投与後すみやかに発症することが一般的であるが、発症が抗菌薬投与の数ヶ月後まで認められる場合もある。三日以上入院している患者ではC difficileが腸管病原菌として最も多くなる(36)

 

 

腹痛を伴う、あるいは伴わない下痢(24時間以内に3回以上)を認める患者、特にリスクファクター(最近の抗菌薬使用、入院、高齢など)を有し、他の明らかな原因(48時間以内の下剤使用など)を認めない場合はC difficile感染を考慮する必要がある。嘔気、嘔吐、発熱はよく見られるが、認めない場合もある。身体所見は感染の期間および重症度に依存して変わる

 

 

 

Clostridioides difficile感染の臨床所見と合併症  

Asymptomatic carrier

下痢:なし

他の症状:なし

身体所見:正常

下部消化管内視鏡および他の所見:正常

 

Simple antibiotic-associated diarrhea

下痢:軽度

他の症状:全身症状は通常認めない

身体所見:正常

下部消化管内視鏡および他の所見:正常

 

Early colitis 

下痢:多量

他の症状:嘔気、食思低下

身体所見:軽度発熱、軽度の腹部圧痛を認める場合もある

下部消化管内視鏡および他の所見:非特異的な発赤

 

Pseudomembranous colitis 

下痢:多量

他の症状:嘔気、倦怠感、腹部不快

身体所見:発熱(時に高熱)、腹部圧痛、腹部膨満

下部消化管内視鏡および他の所見:偽膜形成(隆起した黄色プラーク)、白血球上昇(左方移動を伴い50000/μL以上かもしれない)

 

Fulminant colitis

下痢:通常多量で重度(イレウスあるいはtoxic megacolonでは欠如する場合もある)

他の症状:嘔気、腹部不快あるいは腹痛

身体所見:toxic appearance、発熱(通常高熱)、腹部膨満、圧痛、腹膜刺激兆候

下部消化管内視鏡および他の所見:重篤な患者では下部消化管内視鏡は禁忌、類白血病反応(50000/μL以上)、放射線画像では大腸拡張、腸管壁肥厚あるいは穿孔などが見られるかもしれない

 

 

 

 

診断検査として、cell culture cytotoxicity neutralization assay(CCNA)、toxigenic culture、toxin A and B enzyme immunoassays(EIAs)、nucleic acid amplification tests(NAATs)、glutamate dehydrogenase (GDH)などがあるが、どの検査が最も適しているとされるものはない

 

CCNAは感度94-100%、特異度97%であるが、結果が出るまでに24〜48時間かかり、またその検査にはtissue culture laboratoryが必要となるが、ほとんどの病院には存在しない

 

Toxigenic cultureはCCNAよりも感度が高いが、incubationに少なくとも48時間はかかり、かつ分離された菌がtoxigenic strainかどうかの確定にさらなる検査が必要となる

 

多くのcommercial toxin EIAsが利用可能であるが、感度がキット毎に大きく異なる

 

いくつかのNAATsが利用可能であり、toxin EIAsより感度が高い。しかしpositive predictive valueが検査前確率に依存して低いかもしれない(5)

 

Enzyme-linked immunosorbent assays for GDHは非常に感度が高いが特異度は高くない。それはGDHがtoxigenic strainとnontoxigenic strainの両方に認められるためである

 

C difficile感染診断にmultistep algorithmの使用を推奨している機関もある(GDH plus toxin EIA,  GDH plus toxin EIA with NAAT confirmation if results are discordant, NAAT plus toxin EIA)(5)

 

適切な患者(3回以上の下痢、24時間以内の下剤使用なし、等)へのみ検査が限られるような臨床アプローチではNAATのみ、あるいはmultistep algorithmが、toxin EIAのみの検査よりも推奨される。C difficileの検査基準が設けられてない場合には、toxin EIAがmultistep algorithmの一つとして、NAATのみの検査よりも推奨される(5)

 

 

 

 

便検査

Cell culture cytotoxicity neutralization 

Detects:主にtoxin B(toxin Aもある程度検知)

Advantages:感度と特異度が非常に高い

Disadvantages:tissue culture facilityが必要

 

Toxin enzyme immunoassay

Detects:toxin A and B

Advantages:迅速(2-6時間)、簡易、特異度が非常に高い

Disadvantages:他の検査ほど感度が高くない

 

Glutamate dehydrogenase enzyme immunoassay

Detects:glutamate dehydrogenase(bacterial enzyme)をtoxigenicとnontoxigenicのC difficile両方で検知

Advantages:迅速、低価、簡易、感度が高い

Disadvantages:特異度が低い

 

Toxigenic culture

Detects:toxigenic C difficile

Advantages:感度が高い、strain typingが可能

Disadvantages:嫌気性培養が必要、2-5日要する、特異度が低い

 

Nucleic acid amplification test

Detects:C difficile toxin genes

Advantages:感度が高い

Disadvantages:特異度が低い

 

 

 

他の診断検査としてはsigmoidoscopyあるいはcolonoscopyによる直接の観察がある。黄色の粘膜プラークあるいは”偽膜”の存在はC difficile関連下痢の可能性を高く示唆する。toxin testが陰性の場合に下剤処置なしでのflexible sigmoidoscopyで十分に診断が確定できる場合が多い(37)。しかし、sigmoidoscopyはcolonoscopyなら診断可能なより近位の病変を見逃す場合がある(38)。また直接観察することの限界としてはC difficile感染では重症感染マーカーである偽膜を形成しない場合も多くあることであり、その場合はtoxin testingあるいは他の検査によってのみ診断する必要がある

 

 

 

 

他の検査も診断を補助したり、重症度や合併症の評価に有用であるかもしれない

 

1病院にて12年間1721人のC difficile感染患者を評価したretrospective studyより白血球上昇(20000/μL以上)あるいはクレアチニン上昇(2.0mg/dL以上)の場合の30日死亡率が25.5%であったと報告されている(39)

 

C difficile感染にて集中治療を要した患者において評価されたretrospective observational cohort studyでは乳酸値が5mmol/L以上であることが30日死亡率の独立した予測因子であるとしている(40)

 

C difficile感染では画像検査において腸管粘膜肥厚など腸炎を示唆する所見が認められるかもしれない(41)。またtoxic megacolonや穿孔などの合併症も検知できるかもしれない

 

 

同じ下痢のエピソード中(7日以内)に便検査を繰り返すことは避けるべきである。もし治療が成功して下痢が止まった後のC difficileの再発を疑う場合は、検査の中にtoxin検知検査を入れる必要がある。経験的治療は推奨されない。また無症状の患者に検査をすべきではない

 

 

 

血液検査および他の検査 

Complete blood count

感度:なし

特異度:なし

comments:重度の患者では白血球50000/μL以上になるかもしれない

 

Blood urea nitrogen and creatinine

感度:なし

特異度:なし

comments :重症の場合は脱水やアシドーシスをきたすかもしれない

 

Cell culture cytotoxicity neutralization assay

感度:94-100%

特異度:97%

comments:tissue cultreは通常の病院検査室では利用できない、結果に24〜48時間要する

 

Enzyme-linked immunosorbent assay

感度:43-99%

特異度:84-100%

comments:広く利用可能、迅速

 

Glutamate dehydrogenase

感度:88-100%

特異度:76-97%

comments:広く利用可能、迅速

 

Nucleic acid amplification tests

感度:77-100%

特異度:91-100%

comments:広く利用可能、迅速

 

Culture

感度:100%

特異度:100%(toxin産生が他の試験で確認された場合)

comments:数日要する

 

Plain abdominal films

感度:なし

特異度:なし

comments:toxic megacolonを示唆する大腸拡張や穿孔を示唆するfree airが認められるかもしれない

 

Computed tomography

感度:なし

特異度:なし

comments:腸管粘膜肥厚、toxic megacolonを示唆する大腸拡張、穿孔を示唆するfree airが認められるかもしれない

 

Lower endoscopy for C difficile

感度:なし

特異度:なし

comments:C difficileを強く疑う偽膜が認められるかもしれない

 

 

 

 

 

 

治療

もし他の状態からの回復がリスクに晒されないのであればC difficile感染の全ての患者において抗菌薬中止を検討すべきである。軽度の下痢、正常あるいは正常に近い白血球数、正常クレアチニン値で重症感染あるいは合併症のリスクが少ない場合は抗菌薬中止のみで回復するかを数日間観察してよいかもしれない

 

10年間のprospective studyで908人のC difficile感染患者を評価した結果、135人(15%)が抗菌薬の中止のみで改善を認めた(42)

 

 

抗菌薬をすみやかに中止することに加え、輸液投与および電解質異常を補正する必要がある。治療抗菌薬の腸管内での拡散およびtoxinの排泄を障害するため蠕動運動抑制剤は避けるべきである

 

IDSA/SHEAガイドラインが改定され、成人における初回C difficile感染ではmetronidazoleではなく、vancomycinあるいはfidaxomicinを投与することが推奨されている(5)

 

重症の定義は様々であるが、IDSA/SHEAガイドラインのminimum criteriaでは白血球数が少なくとも15000/μL以上あるいはクレアチニン値が1.5mg/dL以上とされている(5)

 

軽症、中等症、重症(劇症ではない)の場合はvancomycin 125mg経口1日4回、あるいはfidaxomicin 200mg経口1日2回、それぞれ10日間投与が推奨される

 

もし上記のいずれの薬剤も利用できない、あるいは禁忌の場合はmetronidazole 500mg経口1日3回10日間投与が重症でない時のみ代替薬として使用可能である。ただしmetronidazoleを頻回に使用、あるいは投与期間が延長する場合は不可逆的な神経毒性のリスクがあることを留意しなければならない

 

 

劇症の場合(血圧低下、ショック、イレウス、toxic megacolon(注1))はvancomycin 500mg1日4回を経口、あるいは経鼻胃管投与する必要がある。イレウス、あるいは他の原因で薬剤の腸管内散布が障害される場合はvancomycin 500mgを生食100mlに入れ6時間毎に直腸投与を行うことを考慮しなければならない。metronidazole 500mg静注8時間毎投与を劇症型に、特にイレウスを伴っている場合は追加しなければならない(5)

 

 

metronidazoleがC difficile感染治療の主要薬剤の一つとして使用されてきたが、2000年以来、いくつかのrandomized placebo-controlled trialsにおいて経口vancomycinの方がより有効であることが確認された。150人の軽症あるいは重症の感染を評価した一つのスタディでは、全体としての治癒率がvancomycin 97%であったのに対し、metronidazole 84%であった(P=0.006)。重症感染においてはvancomycin 97%、metronidazole 76%であった(P=0.02)(43)

 

 

Fidaxomicinが2つのrandomized placebo-controlled trialsにおいてvancomycinと比較評価された。最初のスタディでは臨床的治癒率においてfidaxomicinがvancomycinに対し非劣勢であることが確認された(modified intention-to-treat analysis(88% vs 86%), protocol analysis(92% vs 90%))(44)。再発感染に対しvancomycin で治療された患者に比べfidaxomicinによって治療された患者の数の方が有意に少なかった。二番目のスタディでも臨床的治癒率においてfidaxomicinがvancomycinに対し非劣勢であることが確認された(modified intention-to-treat analysis(88% vs 87%), protocol analysis(92% vs 91%))(45)

 

vancomycinに類似するglycopeptideであるteicoplaninがvancomycinと同等あるいはより有効であることが示されたが、米国では利用できない(46)

 

nitazoxanide,  bacitracin,  fusidic acid,  tigecycline,  rifampin,  rifaximinなども研究されているが、データは限られている

 

 

 

治療戦略

<1> 全ての患者において可能なら抗菌薬の中止あるいは投与の修正を行う 

<2> 重症度の評価(劇症か、そうでないか)(注2)

<2-1> 劇症の時

vancomycin 500mg 1日4回経口あるいは経鼻胃管投与

(イレウスの場合は直腸投与を検討)

かつ metronidazole 500mg 静注8時間毎

hemodynamic support、外科的評価(subtotal colectomyを検討)

感染症科・消化器内科コンサルトを検討

 

<2-2> 劇症でない時(軽症、中等症、重症)

<2-2-1> 初回感染

vancomycin 125mg経口1日4回 あるいは

fidaxomicin 200mg経口1日2回

軽症あるいは中等症の時で上記薬剤使用不可の時   

metronidazole 500mg経口1日3回

      

便の回数、体温、腹部診察を毎日評価(白血球数も必要に応じて) 

・改善を認める場合は10日間抗菌薬治療 

・改善を認めない場合は他の疾患の評価、投与量の最大化および投与方法の最適化、投与期間を14日間に延長することを検討(特にmetronidazoleの場合)

 

<2-2-2> 2回目の感染(初回の再発)

vancomycin 125mg経口1日4回10日間投与(metronidazoleが初回感染で投与された時)

あるいは

vancomycin漸減投与(初回感染でstandard regimenが使用された場合)

125mg経口1日4回10〜14日間、続いて

125mg経口1日2回1週間、続いて

125mg経口1日1回1週間、続いて

125mg経口2〜3日に1回2〜8週間

あるいは

fidaxomicin 200mg経口1日2回10日間(初回感染でvancomycinが投与された時)

 

<2-2-3> 3回目以降の感染

vancomycin漸減投与

あるいは

vancomycin125mg経口1日4回10日間、続いてrifaximin400mg経口1日3回20日間

あるいは

fidaxomicin200mg経口1日2回10日間

あるいは

fecal microbiota transplantation(通常、再発のエピソードが3回以上の時) 

      

 

 

 

軽症から重症の初回Clostridioides difficile感染治療薬  

Vancomycin

Dose:125mg経口1日4回10日間

Side effects:まれ、vancomycin耐性腸球菌を誘導、腎毒性、耳毒性

Benefits and Notes:軽症から重症に投与推奨、劇症型および再発では異なる投与量

 

Fidaxomicin

Dose:200mg経口1日2回10日間

Side effects:ほとんど吸収されない

Benefits and Notes:軽症から重症の初回および再発感染で推奨

 

Metronidazole

Dose:500mg経口1日3回10日間

Side effects:少ない、痙攣や末梢神経障害、アルコールと併用でdisulfiram-like reaction、味覚障害

Benefits and Notes:軽症から中等症の代替薬、静注薬は劇症あるいは経口投与ができない患者に使用

 

 

 

劇症Clostridioides difficile感染治療薬

Vancomycin with metronidazole

Dose:vancomycin 500mg経口あるいは経鼻胃管投与1日4回(イレウスの場合は経直腸投与を検討)、metronidazole 500mg静注8時間毎

Side effects:上記に同じ

Benefits and Notes:劇症C difficile感染は血圧低下、ショック、イレウス、toxic megacolonとして定義される

 

 

 

Clostridioides difficile感染にactivityを有する他の薬剤

Nitazoxanide

Dose:500mg経口1日2回10日間

Side effects:消化器症状

Benefits and Notes:vancomycinやmetronidazoleとの効果の比較検討が限られている

 

Rifaximin

Dose:400mg経口1日3回10日間

Side effects:ほとんど吸収されない

Benefits and Notes:再発感染に対するvancomycin投与後の追加薬としてのデータは限られている、高度の抵抗性獲得の可能性 

 

Tigecycline

Dose:50mg静注1日2回10日間

Side effects:消化器症状

Benefits and Notes:効果をサポートするデータはcase reportやsmall case seriesに限られている

  

Bacitracin

Dose:25000 IU経口1日4回10日間

Side effects:腎毒性や神経毒性のリスク、消化器症状や消化吸収不良

Benefits and Notes:metronidazoleやvancomycinに劣る、臨床エビデンスは限られている

  

 

 

 

 

モニター

発熱の改善、排便回数の減少、便の性状の改善、腹部所見の正常化、脱水からの回復、検査所見や白血球上昇の改善などをフォローする必要がある。症状が改善した場合、便の再検査をする必要はない(症状が改善した後でも通常C difficileの検査は陽性となる)。無症候性キャリアに対して治療を行う必要はない(5)。治療に成功し下痢が止まった患者が症状を再発する場合は再度便検査を行う必要がある

 

 

Probiotic

いくつもの形態のprobioticsがC difficile腸炎の治療薬として提案されてきた。前提として非病原性の酵母や細菌が消化管に再生息してC difficileの成長を抑制するとされてきたが、まだ結論は出ていない

 

C difficile感染に対するprobioticsの効果を評価したsystematic reviewによって大きさと質が見合うと認められたスタディは4つだけであった。そのうちの一つの試験ではvancomycin治療にsaccharomyces boulardiiを追加投与した場合、有意差をもって再発率が低下したと報告されているが、著者はprobioticsを推奨するにはエビデンスが不十分であると結論し、またexpert panelによって出されたガイドラインでは免疫不全患者に対するS boulardii fungemiaの投与に対する注意を警告している(47)

 

抗菌薬治療を受けている患者のC difficile感染予防にprobiotics投与を推奨するガイドラインは存在しないが、いくつかのmeta-analysesでは非免疫不全者で重度に衰弱していない患者に対する短期の投与は安全で効果的かもしれないと報告している(48, 49)。一つのスタディでは入院患者でC difficile感染のリスクの高い患者に対してprobiotics投与の考えられる利益とリスクを説明すべきであるとしている(48)

 

 

初期治療に反応しない場合

改善を認めない、または最初の改善の後に悪化を認める場合は他の疾患あるいは併発疾患の有無、あるいは他の原因を再評価しなければならない(持続する発熱や白血球上昇は他の感染症合併の可能性、治療抵抗性の下痢は経腸栄養に起因する場合など)。他の原因や診断が確認されない場合は抗菌薬の投与量および投与方法を最大化あるいは最適化する必要がある。vancomycin経口投与が大腸に到達することを阻害するイレウスがある場合はmetronidazole静注投与やvancomycin経直腸投与を検討する必要がある。特にmetronidazoleで治療されている場合は投与期間を14日間に延長する必要があるかもしれない。劇症C difficile感染でvancomycinとmetronidazoleに反応しない場合はtigecyclineやimmunoglobulin静注などが使われる場合があるが、データは限られている(5)。外科的治療が有効な場合もある

 

 

入院 

重症、合併症、あるいは外来治療が適切でない時、脱水、内服薬摂取不能、腹膜炎を示唆する所見、toxic megacolon、sepsis、あるいは他の合併症などを有する時は入院治療の適応となる。あるいは重症のリスクがある、クレアチニン上昇、類白血病反応、高齢などの場合も入院が考慮される

 

 

ICU入院

重症、septic shock、toxic megacolon、腹膜炎、血圧低下を伴う重度の脱水、臓器障害などを認める状態不安定な時はICU入院が必要になる

 

 

外科的治療 

腸管穿孔の場合は外科的治療が必要になる。またtoxic megacolon、急性腹症、septic shock(特に乳酸値が上昇)などを認める患者では外科的治療による利益があるかもしれない。全ての内科的治療に失敗した場合も外科的治療が有効であるかもしれない。C difficile感染の外科的治療として現在推奨されているのはsubtotal colectomyである。より侵襲が少なく大腸を保存する方法としてvancomycin順行性洗浄を併用するloop ileostomyが代替手段としてあるが、よりデータが必要である(5)

 

 

再発時の対応

初期治療に反応した後に症状を再発する場合は感染の再発、あるいは他の株による新たな感染であることが考えられる。いずれにせよ診断および治療は同じである。IDSA/SHEAのガイドラインでは初回再発時の治療オプションは初回感染時の治療に依存するとしている(5)。初回感染時にmetronidazoleで治療された場合はvancomycin経口10日間投与が推奨される。初回感染時にvancomycin経口10日間投与が行われた場合はvancomycin漸減投与あるいはfidaxomicin経口10日間投与が推奨される。

 

2回目以降の再発感染ではvancomycin漸減投与、vancomycin standard courseの後にrifaximinを追加投与、fidaxomicin standard courseなどが行われる。しかしこれらの治療法のエビデンスは限られている

 

fecal microbiota transplantation(FMT)は適切な治療後に少なくとも3回以上の再発を認める患者に推奨される。健常ドナーからの糞便を注入投与することで難治性感染の治療に成功したとのcase reportsやsmall case seriesがある(50, 51)。2013年から2016年にかけて少なくとも5つのrandomized controlled trialsが発表された。その中でvancomycinとFMT、FMT自家移植、凍結した糞便 vs 新鮮な糞便、colonoscopy vs 経鼻胃管による投与、などが評価された(52, 53, 54, 55, 56)。多くのrandomized studiesで報告されたFMTの効果は非randomized reportsに比べ低かった。しかし、これは患者選択や以前の抗菌薬投与などのファクターに起因しているかもしれない。現在のデータではFMTは短期間では安全で、軽度から中等度の多くのadverse eventsはself-limitedであるとされている。今日までに報告されているFMTの感染合併症は稀であるが、長期の感染あるいは非感染合併症は不明である

 

 

human monoclonal antibodyであり、C difficile toxin Bに結合するbezlotoxumabが18歳以上でC difficile治療を受けている患者の再発リスクを減らす目的に使用することが米国において2016年に承認された(57)。bezlotoxumabは静注投与で、C difficile治療の抗菌薬を投与中にのみ併用投与されなければならない

 

 

 

注1    

Toxic megacolon診断基準(UpToDate)

・レントゲン上大腸拡張所見(大腸最大径6cm以上)

 かつ

・下記のうち少なくとも3つ以上

  38度以上の発熱

  脈拍120/分以上

  neutrophilic leukocytosis>10500/μL

  貧血

 かつ

・下記のうち少なくとも1つ以上

  脱水

  意識障害 

  電解質異常

  血圧低下

 

 

注2    

Clostridioides difficile感染重症度(expert opinion)(UpToDate)

・非重症感染:白血球15000/μL以下かつクレアチニン1.5mg/dL以下

・重症感染:白血球15000/μL以上かつ / あるいはクレアチニン1.5mg/dL以上

・劇症感染:血圧低下、ショック、イレウス、megacolon

 

 

 

 

 

 

1

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Parkinson病

 

Parkinson病はアルツハイマー病に次いで二番目に多い神経変性疾患である(1)。長らく運動系の障害と考えられてきたが、感覚、感情、認知、自律神経系にも影響する非運動系の症状も有する

 

年齢とともに罹患率が増え、65歳以上の1%、80歳以上の3%で疾患が認められる(2)

 

原因はよく理解されていないが、遺伝的素因と環境要因に影響されていると考えられている。β-glucocerebrosidaseをコードしている遺伝子の変異は最も大きい遺伝的リスクファクターである(オッズ比>5)(3)。環境的リスクファクターとしては農薬への暴露歴、井戸水の摂取、農業従事、頭部外傷歴などがある(4)

 

 

 

Diagnosis

 

Parkinsonismとはbradykinesiaと安静時振戦あるいはrigidityを認める臨床症状を表した言葉である(5)。ParkinsonismはParkinson病、あるいは非典型的神経変性Parkinsonian disordersから神経変性疾患でない二次的な原因までを含む病的な状態によって起こされるものである

 

Parkinson病では振戦、bradykinesia、rigidityが片側から始まり、病期の進行とともに反対側へも広がるが、病期の全体を通して症状の非対称性は保たれる(5)

 

振戦の振動数は3〜7Hz(1Hz:1秒あたり1回)で安静時に認められる。上肢により顕著であるが、下肢、顎にもみられる。安静時振戦は手をいっぱいに広げたその数秒後に遅れて認められるが、essential tremorではその直後から認められる違いがある(6)

 

bradykinesiaは動作全体が遅くなること、反復運動疲労が特徴である。多くの患者がbradykinesiaを筋力低下、気だるさ、倦怠感と表現する。表情が乏しくなる、ボタンやタイピングなどの細かい動作が困難になる、書く字が小さくなる(micrographia)、寝返り、椅子から立ち上がったり、車から出ることが困難になる、歩幅が短くなる、足を引きずる、などの症状として現れる

 

rigidityは関節の受動運動に対する抵抗性として認められる。これは運動の速度や方向に依存しない(lead pipe rigidity)。時折cogwheelingとして知られる歯車様の抵抗を認める場合もあるが、この症状は一般的でも特異的でもない(5)。rigidityは体のどの部位にも認められる可能性があり、stiffnessや疼痛の原因となる

 

歩行やバランスの変化も認められる。典型的なParkinson病の歩行は短い歩幅、遅いペース、方向転換に複数回のステップを要する、ねこ背姿勢、腕振りの減少、等である。軽度の不安定性は早くから認められるが、著明な不安定性や初期5年以内での転倒は他の疾患の可能性を考慮する必要がある(4, 5)

 

 

医師は安静時振戦、動作緩慢、こわばり、歩行やバランスの変化を問診する必要がある。また表情の変化、声の大きさの低下(hypophonia)、書く字が小さくなること(micrographia)、そして、嗅覚の変化、便秘、起立時の立ちくらみ、抑うつ気分、不安、記憶低下、睡眠の変化などの非運動系の症状も確認する必要がある(7)

 

 

夢をみている間の通常の筋力麻痺が欠如し、夢を動作にうつしてしまうrapid eye movement sleep behavior disorderについても確認する必要がある。この症状は夢をみている間に叫んだり、蹴ったり、殴ったりする、と家族から報告されることが多い。この症状はParkinson病と診断される数年から十数年前まで先行して認められる場合がある(8)

 

Parkinsonismの原因となる薬剤の服用歴も確認する必要がある。抗精神薬(quetiapineとclozapineは除く)、ドーパミン抑制性の制吐剤、valproic acid、lithiumなどである(9)。家族歴、頭部外傷歴、農薬暴露歴も聞く必要がある

 

 

 

 

Parkinson病診断基準

 

Mandatory criteria

Parkinsonismはbradykinesiaと以下のうち一つを持つものとして定義される

・安静時振戦

・rigidity

 

Supportive criteria

・安静時振戦

・ドーパミン薬への反応

・治療薬剤に誘導されるdyskinesia

・嗅覚障害

 

Exclusion criteria

病歴

・ドーパミン剤への反応欠如(十分な投与量、適度な重症度)

・現在あるいは最近(6〜12ヶ月以内)のドーパミン抑制剤の投与

・Parkinsonismの原因となる他の疾患の診断(水頭症、脳炎、外傷、血管障害)

 

身体所見

・小脳症状(運動失調、dysmetria(運動距離測定障害))

・前頭葉性認知症や進行性失語を含む早期認知症

・核上性垂直注視麻痺(眼球上下随意運動の障害、反射による眼球運動は保たれる)

・Parkinsonismが下肢に限局

・皮質症状(失語(言語障害)、失行(習得されたタスクを行えない)、皮質感覚障害(light touchや痛みは感じるが、手に置かれた物体を認識できない))

 

画像検査

・normal functional imaging of presynaptic dopamine(dopamine transporter scan)

 

Red flags

・5年以上進行を認めない

・5年以上非運動系症状を認めない(嗅覚障害、便秘、REM sleep behavior disorder)

・対称性Parkinsonism

・早期の歩行障害(5年以内に車椅子)

・早期の頻発する転倒(3年以内)

・早期の重篤な自律神経障害(5年以内の起立性低血圧、尿失禁)

・早期の重篤な延髄障害(5年以内の理解困難なspeech、嚥下障害)

・吸気喘鳴

・錐体路症状(反射亢進、upgoing toe)

・早期の重篤な手や頸のdystonia(筋緊張異常)(10年以内)

 

 

exclusion crieteriaが一つでもあればParkinson病を除外。red flagsが1つか2つ認められても、supportive criteriaが1つか2つあれば相殺されるが、red flagsが3つ以上ある場合は診断が除外される(5)

 

 

 

 

 

身体診察

 

外眼運動、表情、声の大きさ、体幹・四肢運動の速度、筋緊張、歩行を評価(10)

 

振戦は手をひざの上において、あるいは仰臥位にて評価。頭の中で計算をさせる、あるいは歩行にて誘発される

 

bradykinesiaは人差し指と親指をタップさせる、手を開く・閉じる、腕を回内・回外させる、足を踏み鳴らす、などの反復運動をさせて評価する。運動のスピードや振幅が漸次減少するかを見る。スピードが減少せず緩慢さが一定の錐体路障害や筋力低下、あるいは小脳失調を示唆する運動リズム不和などとbradykinesiaを鑑別する必要がある

  

rigidityは四肢の受動運動によって起こり、反対側での反復運動を行うよう指示することでより症状が強調される。rigidityと鑑別されるべきspasticityは受動運動の方向や速度によって変わる違いがある

 

体幹の動きと歩行も評価する必要がある。腕を組んだまま椅子から立ち上がらせ、廊下を歩かせる。ねこ背姿勢、歩行、方向転換に何ステップ要するか、腕の振り、freezingするか、などを評価する。歩行時にだんだん加速して止まることが困難になるfestinationが認められる場合がある。pull testによって姿勢反射を確認する。検者は患者の後ろに立ち、患者の両肩を後ろ側に強く引くことでバランスを失わせるようにする。転倒しないように注意する必要があるが、正常の姿勢反射では姿勢の回復に2歩以上要しない

 

 

診断

病歴と身体診察によって診断される。最近Parkinson病の診断基準がMovement Disorder Society Task Force (5)によって改定された。まずbradykinesiaと安静時振戦あるいはrigidityの存在によって定義されるParkinsonismを確認しなければならない。Parkinsonismの存在だけではParkinson病とは診断できない。続いてsupportive criteriaとexclusionary criteriaを評価しなければならない。安静時振戦、ドーパミン剤への反応、治療薬誘導性dyskinesia、嗅覚障害からなるsupportive criteriaの有無を記載する。続いてexclusion criteriaとred flagsの欠如を記載する。exclusion criteriaが一つでもある場合、あるいはred flagsが3つ以上ある場合は診断が除外される。red flagsが1つや2つある場合でも同等のsupportive criteriaによって相殺される(5)

 

 

検査

所見が典型的でred flagsがない場合は追加の検査などは必要ないが、水頭症、びまん性血管疾患、腫瘍などの構造的疾患を除外するためにMRI検査が行われることが一般的である。特に症状が左右対称である、片側だけに限局している、下肢に限局してParkinsonismを認める、早期から起こる転倒、臨床経過が早い、などの場合は画像検査が重要になる(4)

 

positron emission tomography and single-photon emission computed tomography(SPECT)がParkinson病に典型的なpresynaptic dopaminergic systemの異常の検知に有効である。Parkinsonismとessential tremorが臨床的に鑑別が困難な場合に有効な123 I-ioflupane dopamine transporter SPECTがFDAに承認されている。この検査は非典型的神経変性ParkinsonismとParkinson病を鑑別することはできないが(11)、検査が陰性であった場合はParkinson病を除外診断できる(12)

 

Parkinsonismを認める患者が40歳以下であった場合は血清ceruloplasmin、24時間尿によるcopper level、眼科紹介にてKayser-Fleischer ringsの評価を行ってWillson病の鑑別を行う必要がある

 

 

 

鑑別疾患

 

神経変性性非典型的Parkinsonism

  

Lewy bodies dementia

central feature:認知症

core feature:Parkinsonism、認知機能の変動、幻視、REM sleep behavior disorder

診断にはcentral featureと二つのcore featureが必要

additional feature:Parkinsonism発症前あるいは発症一年以内に認知症発症、dopamine blockerに対しhigh sensitivity

possible diagnostic strategies:dopamine transporter SPECTの異常(Alzheimer病との鑑別を行う、Parkinson病とは鑑別できない) 

 

  

多系統萎縮症(multiple system atrophy)

core feature:自律神経障害、小脳性失調、Parkinsonism

additional feature:早い進行、早期から転倒、重度の自律神経障害(起立性低血圧、尿失禁)、対称性の運動障害、L-domaへの反応がない、あるいは限られる、REM sleep behavior disorder、中枢性無呼吸、吸気喘鳴、家族歴を認めない運動失調

possible diagnostic strategies:MRIで小脳あるいは橋の萎縮を確認できるかもしれない、dopamine transporter SPECT(他の失調性疾患との鑑別を行う、Parkinson病とは鑑別できない)

 

 

進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy)

core feature:外眼運動障害(垂直運動が限局あるいは緩慢)、姿勢不安定(早期から重度)、Parkinsonism(rigidity、freezing)

additional feature:早い進行、早期に後方への転倒、早期の構音障害と失語、早期の前頭葉認知症、対称性の運動障害、L-dopaへ治療抵抗性、顔面のdystonia(不随意で持続的な筋収縮)、驚いた表情、頸進展の不随意運動

possible diagnostic strategies:MRIで中脳萎縮を認めるかもしれない、dopamine transporter SPECT(Parkinson病とは鑑別できない)

 

 

大脳皮質基底核変性症(corticobasal degeneration)

core motor feature:非対称性のParkinsonism、dystonia、myoclonus(突発的に不随意運動を繰り返す)

core cortical feature:失行(以前に習得されたタスクを行えない)、皮質感覚障害、alien-limb phenomenon(四肢がさまよう)

(診断は1〜2つのcore motor featureと1〜2つのcore cortical featureが必要)

additional feature:左右での差が大きい、早い進行、四肢がdystonic postureで固定、L-dopaへ抵抗性、振戦は通常欠如、早期の認知機能障害(前頭葉タイプ)、臨床症状は大脳皮質基底核症状と呼ばれ、大脳皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺、Alzheimer病などで認められる 

possible diagnostic strategies:MRIで頭頂葉の非対称性が認められるかもしれない

 

 

 

二次性Parkinsonism

 

血管性Parkinsonism

clinical characteristic:下腿のParkinsonismとして知られ、顔や上肢は比較的症状が少ない、ガニ股で遅く引きずる歩行、freezingや姿勢不安定性が認められる、錐体路症状(反射亢進、upgoing toes)も認められる

additional feature:びまん性の微小血管病変を認める患者で症状は徐々に進行、繰り返す脳梗塞患者で急に発症し、段階的に病状が進行、MRI正常にて除外診断

possible diagnostic  strategies:MRIにて大脳基底核、大脳半球、脳幹、びまん性白質血管病変などを含む脳梗塞の所見を認める

 

 

正常圧水頭症(normal-pressure hydrocephalus)

clinical characteristic:三徴は歩行障害(ガニ股、緩慢、magnetic gait(足の挙上低下)、freezing)、尿失禁、認知症である。三徴と画像検査にて診断が示唆されるが、過剰診断が多い、large-volume CSF除去試験にて確定診断はできないが、脳室腹腔シャント術への治療反応性の予測に使われる

additional feature:脳萎縮が水頭症と評価されうる。血管性あるいは非典型的神経変性性Parkinsonismも水頭症として誤診される場合がある

possible diagnostic  strategies:CTやMRIにて非閉塞性水頭症を検知し、びまん性の萎縮や血管病変を評価できる。CSF flow試験も診断に役立つかもしれない。large-volume (>30mL) CSF除去試験にて速やかな改善を認める

 

 

薬剤性Parkinsonism

clinical characteristic:現在あるいは最近(6〜12ヶ月以内)の特定の薬剤の使用歴(定型あるいは非定型抗精神薬(clozapineと低量のquetiapineは除く)、tetrabenazine、metoclopramide、prochlorperazine、valproic acid、 lithium、amiodarone)

additional feature:Parkinsonismを認める場合はドーパミン阻害剤を中止する必要がある、中止した後6〜12ヶ月間症状が持続あるいは悪化する場合は他の原因である可能性が高い

possible diagnostic  strategies:dopamine transporter SPECTが正常(この場合は滅多に適応とならないが抗精神薬が中止できないhigh-riskな精神疾患患者の場合は考慮される)

 

 

Toxin-or metabolic-related parkinsonism

clinical characteristic:マンガン、一酸化炭素、二硫化炭素、MPTP(methyl-phenyl-tetrahydropyridine)、シアン化物、などへの暴露、低酸素血症後、副甲状腺機能異常、などは全てParkinsonismに関連する

additional feature:稀なトキシンへの暴露歴あるいは特定の代謝性疾患の存在が診断の鍵となる

possible diagnostic  strategies:MRIが時に対称性の大脳基底核異常を認める

 

 

  

外傷後Parkinsonism

clinical characteristic:重度の頭部外傷による昏睡からの回復後すぐに認められる。また慢性外傷性脳症として知られる繰り返す脳震盪を経験した場合に遅れて発症することがあり、行動および認知機能の変化がみられる

additional feature:急性の場合は病歴が鍵となる。慢性外傷性脳症の診断基準は確立されていないが、行動、情動、認知に関わる症状がおこる

possible diagnostic  strategies:MRIは脳の急性障害を確認できるが、慢性外傷性脳症の所見は通常非特異的である

 

 

脳炎後Parkinsonism

clinical characteristic:通常特定のウイルス性脳炎の回復後にParkinsonismが認められる。oculogyric crisis(注視クリーゼ・眼球上転発作)や不規則な呼吸を認める

additional feature:典型的にはウイルス性脳炎後すみやかに認められる

possible diagnostic  strategies:MRIで時に大脳基底核両側性の障害を確認できる。急性期にはCSFにてウイルス性脳炎の所見を認める

 

 

 

腫瘍、感染、頭蓋内出血に関連するParkinsonism

clinical characteristic:腫瘍、侵襲的な感染、頭蓋内出血による障害が大脳基底核におよぶ事に関連する

additional feature:経過は通常、急性あるいは亜急性で、他の神経症状を呈する。免疫不全患者におけるHIV、トキソプラズマ、真菌などの感染でみられる。Creutzfeldt-Jakob病などでは亜急性の認知症とともに認められる

possible diagnostic  strategies:MRIにて大脳基底核、両側の白質、あるいはびまん性の構造変化が認められる。CSFにて悪性疾患、感染、Creutzfeldt-Jakob病などの所見を確認できる場合がある

 

 

 

 

Willson病 

clinical characteristic:若年発症(40歳以下)、不規則な安静時および動作性振戦、dystonia、構音障害、Parkinsonismを特徴とする進行性の運動性障害、認知機能異常も後期にみられ不可逆的な障害となる

additional feature:染色体劣性遺伝で神経症状が肝疾患に先行して認められる。40歳以下のすべての運動障害性患者でWillson病のスクリーニングを行う必要がある

possible diagnostic  strategies:血清ceruloplasmin、24時間尿によるcopper level、slit lamp examinationによるKayser-Fleischer ringsの評価を行う。肝生検が必要になる事は稀。遺伝子検査が可能であるがsensitivityは限られている

 

 

 

他の状態

 

essential tremor

clinical characteristic:上肢に認められる対称性の動作性振戦、頭部や声にも認められる場合がある。腕をいっぱいに伸ばしたすぐ後から認められる。書字や食事摂取へ影響する場合がある。安静時には認めず、bradykinesiaもない

additional feature:最もよくみられる振戦疾患。家族歴やエタノール摂取にて改善することがよくみられるが確定診断には必須でない

possible diagnostic  strategies:dopamine transporter SPECTが正常

 

 

 

dopa-responsive dystonia

clinical characteristic:足のdystoniaとして症状があらわれ、全体に広がる場合がある。Parkinsonismが著明になる時には低量のL-dopaに劇的で持続的な反応を示す

additional feature:染色体優勢遺伝で若年発症。小児や若年者に足のdystoniaを認めた場合は疑う

possible diagnostic  strategies:dopamine transporter SPECTが正常、遺伝子検査によるguanosine triphosphate cyclohydrolase Iあるいはtyrosine hydroxylase遺伝子の変異を確認

 

 

 

 

 

 

Treatment

 

exercise

exerciseは運動機能およびfunctional outcomesに利益があり、全ての患者に推奨される(13)。high-intensity resistance training、balance therapy、physical therapyなどの様々な方法があり、バランス障害、歩行のfreezing、stiffnessなどの特定の症状に対し効果が認められているが、どの方法が他より優れているということはない(13)。exerciseとphysical therapyが薬物治療にて改善しない歩行やバランス障害に対する治療の鍵となる。exerciseをやめると数ヶ月以内にその利益が失われる。 exerciseのneuroprotective roleが実験モデルから推定されているが、臨床的には証明されていない(14)

 

diet

Parkinson病において食事制限は推奨されていない。便秘を防ぐために十分な線維を、また骨粗鬆症予防のためにビタミンDおよびカルシウム摂取が推奨される。L-dopaを服用している場合は栄養アミノ酸の腸管吸収が競合阻害されるため、食事摂取の30〜45分前に服用しなければならない。Parkinson病の患者は体重減少のリスクがあるため、蛋白摂取制限は推奨されない

 

 

drug therapy

薬物治療は症状が機能的、職業的、あるいは社会的ゴールを障害し始めた時に開始することが推奨される。治療は対症療法的なものなので、症状が軽度で問題とならない場合は薬物治療を始める必要はない。将来、disease-modifying treatmentが利用可能になった場合は全ての患者に早期の治療開始が考慮される(15)

 

 

 

 

 

Dopamine agonist

pramipexole、ropinirole、rotigotine、apomorphine

mechanism of action:後神経節受容体でのドーパミン作用を促す

dosage:pramipexole 1.5-4.5mg/d in 3 divided doses、ropinirole 6-18mg/d in 3 divided doses、rotigotine 4-8mg/d once daily (patch)、apomorphine 2mg per dose 皮下注(off periodsに対するbridge)

adverse effect:嘔気、立ちくらみ、幻覚、眠気、睡眠発作、dyskinesia(舞踏病様不随意運動)、impulse control disorder、下肢浮腫、混乱、起立性低血圧、便秘

note:若年者での第一選択薬、L-dopaの投与量を抑えるための補助薬、apomorphineはrapid-onsetの注射薬で重度のoff periodsに対しレスキュー治療として使われる

 

 

L-dopa

mechanism of action:ドーパミン前駆体。通常aromatic amino acid decarboxylaseをブロックするcarbidopaと併用され、L-dopaの末梢での副作用を減らす

dosage:oral immediate-release carbidopa-L-dopa 10/100, 25/100, 25/250、初期量300-600mg/d in 3 divided doses、必要に応じて徐々に1800-2000mg/d in 3-6 divided dosesに増量

extended-release carbidopa-L-dopa 50/200mg once at night (L-dopa available in 95 to 245mg)、L-dopa量で850 to 2450mg投与

carbidopa-L-dopa enteral gel、portable infusion pumpで十二指腸内チューブを介して投与

adverse effect:嘔気、立ちくらみ、眠気、混乱、幻覚、投与開始数年後からdyskinesiaやwearing-off(薬が切れて症状が再発)がみられる

note:最も効果的な治療。65歳以上の患者の第一選択薬。若年者での第二選択薬。controlled-release carbidopa-L-dopaは夜間の症状を改善する。extended-release carbidopa-L-dopaとenteral gel formulationは運動機能が変動する患者での投与間でのwearing-offを減らす

 

 

 

carbidopa

mechanism of action:末梢酵素であるaromatic amino acid decarboxylaseをブロックし、末梢神経でL-dopaが分解されることを防ぎ、中枢神経でのL-dopaのbioavailabilityを高める

dosage:通常25mgのcarbidopaが100mgのL-dopaと併用される。L-dopaの末梢神経での副作用を防ぐために1日75-100mgが必要で、最大450mgまで投与される

adverse effect:なし

note:嘔気や立ちくらみなどのL-dopaの末梢神経での副作用を認める場合は追加のcarbidopaが処方される

 

 

 

抗コリン剤

trihexyphenidyl、benztropine

mechanism of action:線条体でのアセチルコリンをブロックする

dosage:trihexyphenidyl 3-12mg/d in 3 divided doses、benztropine 1-6mg/d in 2-3 divided doses

adverse effect:口腔乾燥、dry eye、排尿障害、便秘、混乱、記憶障害、立ちくらみ

note:振戦やrigidityを改善するがbradykinesiaに対する効果はない。70歳以上の高齢者では投与が制限される。膀胱機能不全や流涎では改善がみられる

 

 

amantadine

mechanism of action:グルタミン酸受容体をブロック、ドーパミン放出も促す

dosage:100-300mg/d in 1-3 divided doses

adverse effect:浮腫、網状皮斑、不眠、幻覚、混乱

note:dyskinesiaを改善、振戦にも効果があるかもしれない、高齢者では注意が必要

 

 

catechol-O-methyl tranferase inhibitor

entacapone、tolcapone

mechanism of action:末梢でのL-dopaの代謝を減少させることで中枢神経でのL-dopaのbioavailabilityを高める

dosage:entacapone 200mg(L-dopa投与毎に。最大1600mg/d)、tolcapone 300-600mg/d in 3 divided doses

adverse effect:dyskinesiaを増やすかもしれない、嘔気、tolcaponeは肝障害を起こしうる

note:L-dopaの効果および作用時間を増やす。entacaponeは尿の色をオレンジに変える。tolcaponeは肝障害のモニターが必要。opicaponeは肝障害を起こさず、wearing-offを改善することに効果的

 

 

MAO-B阻害剤

selegiline、rasagiline、safinamide

mechanism of action:MAO-B enzymeを阻害、神経節でのドーパミン作用を増強、safinamideはグルタミン酸放出を阻害

dosage:selegiline 5mg each morning and at noon、rasagiline 1-2mg once daily、safinamide 50-100mg once daily

adverse effect:嘔気、不眠、幻覚、稀にSSRIと併用でserotonergic crisis(見当識障害、混乱、発熱、振戦、myoclonus、下痢、紅潮)

note:rasagilineとselegilineは最初の単剤治療薬として、あるいはdopamine agonistあるいはL-dopaに追加投与される場合がある。wearing-offを改善するが、dyskinesiaを悪化させる可能性がある。safinamideは進行した病態で追加薬として使われ、dyskinesiaを悪化させることなくwearing-offを改善する

 

 

 

 

多くの患者でL-dopa投与開始数年後からwearing-off effect between doses(血漿濃度が低下して運動系症状が再発)やdyskinesia(血中濃度が最大になった時にみられる舞踏病様不随意運動)がみられるようになる。これらは病状の進行とドーパミン受容体の拍動的な刺激によっておこる(16)

 

 

 

 

 

治療薬調節

運動系症状の進行に基づき患者毎にドーパミン作動系治療薬を調整する必要がある

 

dyskinesiaが患者にとって問題とならない場合は治療を行う必要がない。治療が必要な場合はamantadineやclozapineなどが有効であるかもしれない(16)。dopamine agonistあるいはMAO-B阻害薬を使用している患者ではその投与量を減らすことでdyskinesiaが改善する。L-dopaの投与量を小さくし、投与間隔を短くすることでdyskinesiaを改善するかもしれない。しかしこの方法はwearing-offを悪化させる可能性がある(17)

 

 

次の薬剤投与までにwear offが認められる場合は、L-dopaの投与間隔を短くするか、その作用時間を延長するcatechol-O-methyl transferase inhibitors(entacapone, tolcapone, opicapone)やMAO-B阻害剤(rasagiline, safinimide)を追加投与する(17, 18)。dopamine agonistsの追加もwearing-offを改善する。しかしこれら全ての方法はdyskinesiaを悪化させうる。最近のstudiesにて抗てんかん薬zonisamideの追加治療がwearing-offを改善する効果が確認されたが、まだこの治療はoff-labelである(19)。MAO-B阻害とグルタミン酸放出阻害の新たな混合薬であるsafinamideはdyskinesiaを悪化させることなくwearing-offを改善させる(18)。重度の、あるいは突発性のwearing-offを認める患者ではdopamine agonist注射薬であるapomorphineがレスキュー薬として使われる。即効性があるが、効果は1時間だけである(20)

 

 

 

 

 

治療薬副作用の対応

 

嘔気はドーパミン作動薬でよくみられる副作用であるが、軽度の嘔気は通常耐性が獲得される。L-dopaが原因となる場合はcarbidopaを追加することで効果がみられる。嘔気が持続する場合はdomperidoneが効果的とされているが、FDAに承認されていない。metoclopramideやprochlorperazineなどのドーパミン阻害抗嘔気薬はParkinsonismを悪化させるので投与を避けるべきである

 

 

眠気もdopamine agonistを服用している患者でよくみられる。突発性で抵抗性の睡眠発作が認められる場合はL-dopaに変更すべきである

 

 

impulse control disorderはdopamine agonistの副作用として認められる。過剰なギャンブル、買い物、食事摂取、性行動は治療中の10-15%の患者で認められる(7)。患者は自ら告白することがないため、医師はこれらの症状について頻回に問診する必要がある。もしこれらの症状が問題となる場合は投与量を減らす、あるいは中止する必要がある。しかし、これらの対応は運動系症状を悪化させるので、L-dopaに変更する必要がある。impulse cotrolができない場合は手術療法も検討される場合がある

 

 

 

 

 

nonmotor symptoms

Parkinson病の非運動系症状は睡眠、情動、認知、消化器、自律神経等を制御する中枢の障害によっておこる。これらの症状は日常生活を阻害し、運動系症状以上にquality of lifeを低下させる(7) 

 

 

sleep 

nighttime sleep disorderdaytime hypersomnolenceがよくみられる。不眠は睡眠-覚醒サイクルの障害、薬剤、夜尿、運動系症状、あるいはrestless leg syndrome、睡眠時無呼吸、REM sleep behavior disorderなどのsleep disorderとの合併、など様々要因で起こる(21)。運動系症状がParkinson病によるものである場合はcontrolled-release L-dopa rotigotine patchなどの長期作用型ドーパミン作動薬を考慮する必要がある。restless leg syndromedopamine agonistL-dopagabapentinで効果が認められるかもしれない。REM sleep behavior disorderParkinson病でよくみられ、melatoninclonazepamなどに反応しうるが、鎮静作用で転倒のリスクとなるため高齢者では注意が必要となる。睡眠剤の効果に対するエビデンスは限られているが、不眠ではzolpidemeszopiclonetrazodonedoxepinなどが検討される(21)。日中の過剰の眠気にはmodafinilが考慮される(21)

 

 

 

神経精神症状

軽度のうつ病から軽度から重度の不安症はParkinson病でよくみられる(7)。頻回にうつ病のスクリーニングを行う必要があるが、動作緩慢、表情の消失、倦怠感、睡眠障害などのParkinson病の症状とoverlapするため認識されないことが多い(2)。気分障害はドーパミン作動薬やMAO-B阻害剤で改善する場合がある(23)。ドーパミン抵抗性うつ病にはSSRIや三環系抗うつ薬などが効果を認めるかもしれない。studiesの数は限られているが、nortriptylinedesipramineが最も効果を認められている(24)。しかし、副作用の少なさからSSRIbupropionが使われる場合が多い

 

モチベーションやgoal-directed behaviorの喪失として定義されるapathy(無気力)がParkinson病でみられることが多い。quality of lifeの低下、caregiverの負担増加に関連するが治療法は確立されていない(22)

 

 

psychosisはドーパミン作動薬の副作用、病気の進行に伴う後期症状として認知機能低下とともに認められる(7)。早期にpsychosisが認められる場合はLewy body dementiaのような他の疾患の可能性を示唆する。psychosisParkinson病における施設入所の最大のリスクファクターであり、死亡率上昇とcaregiverのストレス増加に寄与する(23)。最もよく見られるpsychosisは錯覚から幻覚にいたるまでの視覚上のmisperceptionである。Parkinson病に関連するpsychosis治療の最初のステップは感染、代謝障害、薬物副作用などの可逆的な原因の有無を確認し治療することである。そして段階的にParkinson治療薬を調整していく。まずdopamine agonistを中止、続いてL-dopa以外の薬剤を中止、最後にL-dopaの投与量を減量する(23, 24)。もしpsychosisが持続する場合は薬物治療を開始する。コリンエステラーゼ阻害剤が認知症を伴う患者に有効であるかもしれず、通常耐用性が良い。もし抗精神薬が必要な場合はclozapinequetiapinepimavanserinのみが使用できる(22, 24)。他のドーパミン阻害抗精神薬は運動系症状の悪化をもたらすため使用すべきでない

 

軽度の認知機能障害はParkinson病患者でよく見られ、早期症状の25-30%にのぼる(25)。治療者はまず薬剤、代謝異常、ホルモン異常、睡眠時無呼吸、硬膜下血腫などの可逆的な認知機能障害の原因を探す必要がある。コリンエステラーゼ阻害剤が中等度の利益があるかもしれないが、認知症を伴うParkinson病患者の治療薬としてFDA承に認されているのはrivastigmineのみである(24)。Parkinson病患者の軽度の認知症に効果が確認されている治療法はない

 

 

 

消化器症状

よく見られる消化器症状は唾液分泌過多、消化不良、便秘である

 

唾液分泌過多はL-dopa、抗コリン剤glycopyrrolate、ボツリヌストキシンA or Bの唾液腺への投与などで改善するかもしれない(24)

 

消化不良はParkinson病の早期では少ないが、後期に認め、薬物治療に抵抗性を示す。ドーパミン作動剤が切れている間に嚥下機能の悪化を認める場合があり、その場合は作用時間の長い治療薬や食事と薬物服用の時間調整によって効果がみられるかもしれない。speech pathologistへ紹介し、誤嚥の評価を行う必要がある

 

便秘治療は食事の調節、水分摂取、運動、膨張性薬剤、便軟化剤、下剤などで治療を行う。domperidonepolyethylene glycollubiprostoneなどが効果的であるかもしれない(24, 26)

 

 

 

自律神経症状

自律神経症状には起立性低血圧、尿症状、勃起不全などがある

 

尿貯留症状には尿意切迫、頻尿、夜間多尿などが排尿困難よりも多く認められる(27)。まず膀胱感染症を除外し、定期的な排尿および夜間の水分制限を促す必要がある。尿貯留症状を認める特定の患者(過活動性膀胱)ではoxybutyninのような抗コリン剤が効果を認めるかもしれないが、Parkinson病患者でのエビデンスは不十分であり(24, 27)、認知機能を悪化させる可能性がある。β3-adrenergic agonitsであるmirabegronは尿貯留症状の代替薬として投与されるが、Parkinson病患者でのstudyはない(27)

 

 

起立性低血圧の治療には塩分および水分摂取の増量、compression stockingがある。fludrocortisone、選択的α1-agonistであるmidodrine、コリンエステラーゼ阻害薬pyridostigmineなどが神経性起立性低血圧に有効であるかもしれないが、Parkinson病患者におけるエビデンスは限られている(24, 26)。これらの薬剤はpyridostigmieを除いてすべて仰臥位での血圧上昇の原因となる

 

 

 

経口摂取の低下、手術前、薬剤の間違いなどでドーパミン作動性治療薬を急に撤退した場合にはParkisonismが急性に悪化し、体温上昇や混乱などが認められ、neuroleptic malignant syndromeと類似する症状がみられ、Parkisonism hyperpyrexia syndromeと呼ばれる。速やかなドーパミン作動薬の再開とsupportive therapyが必要になる(28)

 

 

 

手術療法 

手術療法には視床切除術や淡蒼球切除術あるいはdeep-brain stimulationがある。淡蒼球切除術はすべての中心的な運動系症状のコントロールに効果的である一方、視床切除術は振戦のみを改善する。切除術による治療は不可逆的な合併症をきたしうる。したがって可逆的でプログラムできるdeep-brain stimulationが手術治療のスタンダードとなっている(29)。FDAによってParkinson病に対し片側あるいは両側の視床下核や淡蒼球内節のdeep-brain stimulationが承認されている。どちらのターゲットも薬剤治療と比較して、中心的な運動系症状の改善、機能的な時間の増加、wearing-offの減少、dyskinesiaの減少などを認めている(29, 30)

 

525人のParkinson病患者に対して行われたRCTでは両側の淡蒼球内節の刺激、両側の視床下核の刺激、最適薬剤治療が比較検討された。primary outcome6ヶ月後におけるdyskinesiaに障害されないon stategood motor function)の時間とされた。deep-brain stimulationを受けた患者ではdyskinesiaに障害されないon time4.6時間延長した一方で、薬剤治療を受けた患者ではon timeの延長が認められなかった。またquality of life scoredeep-brain stimulationのグループで改善を認めた(30)

 

Deep-brain stimulationの候補となる患者は治療抵抗性で生活に支障をきたす振戦を認める、L-dopaによる治療で頻回のwearing-offdyskinesia、他の副作用などを認める場合などである。認知症、重度の治療されていないうつ病、重度の姿勢障害、非典型的Parkinsonismなどは適応とならない(28)

 

 

 

 

Prognosis

Parkinson病は進行性の神経疾患であるが、その進行度は患者によって異なる。振戦優位の患者では無動性rigidityを認める患者に比べ、認知機能障害が起こりにくい(15)。運動系症状が適切に治療されれば多くの患者で受け入れられるquality of lifeを長い間送ることができる。姿勢障害、嚥下障害、認知症、psychosisなどの薬剤抵抗性の症状は病期の後半でquality of lifeを低下させ、生存率に影響を与える(7, 15)

 

 

 

 

 

 

 

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IN THE CLINIC

Annals of Internal Medicine

4 September 2018

医師として成長し続ける方法

 

研修医などの若手が己の研鑽に熱心なのはそれほど珍しいことではないが、それをその後も長く維持し続けることはなかなか大変だと思う

 

大きな声では言えないが、一度免許を取って研修さえ終了してしまえば、究極それ以上自分をアップデートしなくても働き方さえ問わなければ、どこかで何とかなってしまう仕事である事にも関係していると感じる

家族ができ時間の使い方を見直す場面に直面することも影響する場合があるかもしれない

 

 

成長の継続で良い方法の一つは後進の指導に携わり続けることだろう

研修指定病院で指導医として働き、研修医達からの評価が悪いと首にされるシステムに置かれれば当然己の知識・技術の向上に努めざるを得ないだろう。あるいは希望と不安に満ちた若い人々から日々受ける刺激の影響も大きいかもしれないが

 

 

ではそのような環境でない場所、つまり言い方は悪いが、いくらサボっていても周りからあまりお叱りを受けないようなポジションで働いている医師はどうすればよいのだろうか

 

どうやってモチベーションを維持していくのか 

 

 

 

イチロー選手がシーズン安打数世界記録を更新した後のインタビューで

 

”野球がまだ上手くなりたい、これは数字には表れづらい自分だけの楽しみ

そうやって前に進む気持ちがあれば楽しみはいくらでもある”

 

と語っていた

 

 

 

おそらくこれが”答え”なのだろう

 

つまり

 

純粋に医師としての仕事が好きであること、そしてささやかな自分の成長を喜べること

 

そうなればいいのである

 

 

 

と言ってしまえば簡単である

 

 

実際そういう立派な人も多いだろうが、自分なんかは仕事が好きかと問われれば、一応「はい」とは答えるかもしれないが、正直多少の建前や自己暗示などの含みが入ってしまう事を否定できない

 

ならやめてしまえ、とお叱りを受けそうだが、実際楽しいことばかりではないし、寝ても覚めても医療の事を考えてもいなければ、病院に行きたくて行きたくてうずうずする、なんて事もそうないのである 

 

プロフェッショナルとして一定の基準を満たしていれば、それでも良いと自分に言い聞かせている 

 

 

そんな純粋でない自分のような医師が成長し続ける、あるいはそのための努力を継続していくにはどうすればよいか

 

 

 

残念ながら自分にはまだその答えがない

 

おそらくこれは一生の課題なのだろう

 

出来る事ならそれを達成している方々に尋ねて回りたいくらいである

 

 

 

ただ現在多少考えているのは

 

人間の気分なんて変わりやすいものだからモチベーションによらず成長し続けるシステムを構築すること

そのシステムは患者のみならず、他の人からの刺激やフィードバックを得られるものにすること

 

のようなことが大切だろう、と感じている

 

 

例えばこのブログなんかもそれに当たるかもしれない

 

「月に一回米国雑誌のレビューを和訳して載せることを決める」

 

別に大した事ではないけれど、それを継続することで自分の知識をアップデートしていく事ができる。そして閲覧する人の数が多少増えていくのを見ると、やはり続けていく動機に繋がっていく

 

みたいな感じに

 

 

おそらく他にもいくらでもあるだろう

 

勉強会を定期主催する、学会発表のノルマを課す、本を出版する、一般の人への教育講演を定期開催する

 

などなど

 

成長し続けている人々を観察しヒントを得ていきたい

 

 

とにかくそのような方法を模索しながらも、少しずつでも前に進み続け、ささやかでも自分の成長を喜べる医師、そんな風になれればいいなぁと思っている

 

 

 

 

 

 

 

 

帯状疱疹

 

水痘を発症するvaricella zoster virusに感染したことのある全ての人が帯状疱疹を発症する可能性がある

 

 

米国の人口のおよそ95%がvaricella zoster virusに潜伏感染している。三人に一人が帯状疱疹を発症し、年齢とともにその頻度が増える

 

 

脊髄後根神経節あるいは脳神経神経節に潜伏感染しているvaricella zoster virusが再活性化し、求心性線維を介して皮膚に広がる

 

 

脊椎から体幹前方部に帯状の皮疹が一惻性に認められるのが特徴である。顔、眼、口、耳にも起こる場合がある。皮膚の炎症と水疱が起こり、2〜4週間持続し、時に瘢痕化や永久的な色素変化を起こす。疼痛が皮疹に沿って認められることが多く、生活に支障をきたす程強くなりえる

 

 

 

Prevention 

 

帯状疱疹は加齢に関連して弱まった免疫機能を有する60歳以上の成人に認められることが一般的である。また化学療法、放射線治療、ステロイドなどの治療を受けている患者やHIV/AIDS、糖尿病、悪性疾患などを持つ免疫不全患者などにも多く認められる

 

 

女性、白人、帯状疱疹の家族歴、1歳より前に水痘を発症した場合などでもリスクが上がる(1)

 

 

帯状疱疹の発症で免疫応答が起こるので、免疫能正常者では再発は多くない

 

 

水痘に罹患したことがない人が帯状疱疹に暴露されると水痘を発症する可能性がある

 

 

researchでは帯状疱疹の発症が増えていることが示されている;米国の人口では過去60年間で4倍以上になっている(2)

 

 

Varivaxは生varicella zoster vaccineで水痘発症予防のため小児およびvaricella zoster virus抗体陰性の成人への投与が推奨されている

 

 

Zostavax;生zoster vaccine(ZVL)とShingrix;recombinant zoster vaccine(RZV)がFDAに認可され、Advisory Committee on Immunization Practices(ACIP)によって帯状疱疹およびその合併症予防のために高齢者への投与が推奨されている(3,4,5)

 

  

ACIPは免疫能正常の50歳以上の成人、あるいは以前にZVLを投与されている人へRZVの投与を推奨している(4)

 

 

ACIPは有効性および費用対効果に基づいて帯状疱疹およびその合併症状予防のためにZVLよりもRZVの投与を推奨している(直接比較した試験はない)(4)

 

 

RZVは2回投与で、初回投与から2〜6ヶ月開けて2回目投与を行う。禁忌は重篤なアレルギーのみである(anaphylaxis)。influenza vaccineと同時投与可能で、それによって安全性や効果が下がることはない(6)

 

 

RZVが投与できない場合はZVLを60歳以上で免疫能正常の成人に投与することをACIPが推奨している。ZVLは生vaccineなので投与できない患者がいる(☆)。ZVLは一回投与である。acyclovirやvalacyclovirなどの抗ウイルス薬はvaccine投与前24時間以内あるいは投与後14日間は使用できない。同様にinfluenza vaccineと同時投与が可能である(7)

 

・ゼラチンやneomycinに対し重篤なアレルギーを有する

・vaccineの成分に対し重篤なアレルギーを有する

・白血病、悪性リンパ腫、あるいは他の血液・骨髄腫瘍などで免疫能が低下している

・HIV/AIDSでT cellが0.200 x 10⁹ cells/L以下

・高用量のステロイドなどの免疫能に影響を与える治療を受けている

・妊婦あるいはその可能性がある

 

 

 

どちらのvaccineにおいても投与に際して、varicellaへの暴露歴の確認や検査などを行う必要がない。帯状疱疹の既往歴の有無にかかわらずvaccineは適応となるが、帯状疱疹の急性期の場合は皮疹が治癒するまで投与を待つ必要がある

 

 

Shingles Prevention Studyは60歳以上で免疫能正常の成人38546人にて行われた帯状疱疹に対するZVLの効果を評価したdouble-blind randomized controlled trialである(8)。追跡中央値3.1年後において、ZVLは帯状疱疹による負荷を61.1%、帯状疱疹後神経痛の発症を66.5%、帯状疱疹の発症を51.3%、それぞれ減らしたことが示された。vaccineは70歳以上よりも60〜69歳の成人において帯状疱疹発症の予防により有効であることが認められた(37% vs 64%)。重篤な副作用の頻度はプラセボと同等であった(1.4%)

 

 

 

 

Diagnosis

 

帯状の皮疹が感染した神経に一致するdermatomeに沿って見られる。皮疹は片側でmidlineを超えない。隣接するdermatomeにoverlapすることが20%の場合に認められる。最も多く罹患するdermatomeは以下の順である;胸部>脳神経(特に三叉神経)>腰部>頸部

 

 

疼痛が皮疹より先に発症する場合は診断が困難である。軽度の掻痒感、チクチク感から強い疼痛までが皮疹の発症より1〜5日前に認められる場合がある。数週前の発症も報告されている。疼痛はsoft touchにより惹起されうる。他の症状としては倦怠感、頭痛、photophobiaなどがあるが、高熱は希である

 

 

臨床診断が明らかでない場合は確定検査を行う必要がある。PCR検査は感度および特異度が高く、比較的早く結果が得られるため(< 1 day)、variecella zoster virusの同定に最適である。Direct fluorescent antigen(DFA)はPCRほど感度が高くないが、PCRが利用できない場合には良い代替検査となる。ウイルス培養検査は感度が高くなく、結果が得られるまでに数日を要する

 

 

PCR

感度および特異度が高く、比較的早く結果が得られるため(< 1 day)、variecella zoster virusの同定に最適の検査である。水疱からfluidを、あるいは皮疹からcrustsを採取し、ウイルスのDNAを同定する

 

ウイルス培養

感度30〜70%、特異度100%。ウイルス培養の成否は、皮疹のステージ、検体のquality、検体採取から組織培養のinoculationまでの時間に高く依存している。水疱より新鮮なfluidをviral transport mediaを含むtuberculin syringeに吸引し、速やかに検査室に運ぶ必要がある。3〜14日間要する

 

DFA

ウイルス培養より感度が高く、PCR検査の代替となる。皮疹の基底部をメスあるいはlarge-gauge needleの傾斜エッジで削り取り、スライドグラスに塗りつけ、fluorescein-conjugated monoclonal antibodiesを使って染色する

 

 

 

 

 

臨床症状が他の疾患と類似する場合がある。鑑別疾患には接触性皮膚炎、toxic dermatitis、単純ヘルペスなどがある

 

 

皮疹に疼痛あるいは感覚異常が伴わない場合、dermatomeに一致しない場合、典型的な皮疹を伴わない神経痛が持続する場合などは他の疾患の可能性を考慮する必要がある。

 

 

若年者が帯状疱疹を発症した場合はHIV検査を考慮する必要がある

 

 

 

Differential Diagnosis

 

単純ヘルペス

疼痛を伴う小水疱がcluster状に認められる。時に帯状疱疹と類似する分布をとり間違われる場合がある。患者が2回以上の帯状疱疹の再発を報告をする場合は確定検査を行って単純性ヘルペスと帯状疱疹の鑑別を行う必要がある。免疫能正常者において帯状疱疹の再発は希である。HIV患者では再発は認められる

 

接触性皮膚炎

ゴム、ニッケル、局所の抗菌薬への反応として発赤および小疱を呈し、帯状疱疹に類似した所見をとる場合がある。ただdermatomeに一致しない場合がほとんどである

 

contact with toxic plants

poison ivyやpoison oakなどに接触して帯状に疼痛を伴う発赤や小疱を認める場合がある。しかしdermatomeに一致することは多くない

 

Zoster sine herpete

帯状疱疹と同じ典型的な神経性疼痛を認めるが、皮膚所見を認めない患者が存在し、zoster sine herpeteとして知られている。診断検査がないため発症頻度は不明である

 

 

 

 

帯状疱疹の皮疹が治癒しない場合は細菌感染合併の可能性を考慮する

 

 

ウイルスが三叉神経第一枝に感染するherpes zoster ophthalmicusとして知られる病態がある。帯状疱疹全体の10〜25%の割合で認められる。病態の進行で失明のリスクがあり早期診断および治療が重要となる。典型的な皮疹を伴わない場合がある。herpes zoster ophthalmicusを示唆する所見として鼻の先に水疱を認める状態があり、Hutchinson signとして知られる

 

 

強い耳の痛み、顔面筋麻痺、皮疹(耳道や耳介の水疱)はvaricella zoster virusによる顔面神経への感染によっておこるRamsay Hunt syndromeを示唆する。治療が遅れると聴力喪失、永久的な顔面筋麻痺を起こしえるため耳鼻科へのコンサルトが必要になる

 

 

 

 

 

Treatment

 

合併症として帯状疱疹後神経痛があり、帯状疱疹の皮疹発症後3ヶ月以上持続する疼痛として定義される(9)。帯状疱疹後神経痛を認める30〜50%の患者で1年以上疼痛が持続する(10)

 

 

他の合併症には視覚障害や聴覚障害があり、神経系合併症には脳血管障害、脊髄炎、脳神経麻痺、末梢神経麻痺、多発神経根障害などがある。皮疹に細菌感染の合併も時折認められる。免疫不全患者ではvaricella zosterによる呼吸器、中枢神経系の感染のリスクが高まり致命症となりえる

 

 

 

経口抗ウイルス薬としてfamciclovir、valacyclovir、acyclovirが免疫能正常患者の帯状疱疹治療薬としてFDAに認可されている。famciclovirとvalacyclovirが投与回数および薬物動態上優れているため、より好ましい。上記3つの全ての薬剤がウイルス複製を阻害することによって神経障害を制限し疼痛の期間を減らすとされている

 

 

合併症を伴わない帯状疱疹を認める免疫能正常の成人患者419人で行われたRCTではプラセボと比較してfamciclovirは帯状疱疹後神経痛の疼痛期間中央値を約4ヶ月から約2ヶ月に減らすことが示された(11)。他のRCTではfamciclovirの3つのregimens(750mg1日1回、500mg1日2回、250mg1日3回)を比較した結果、帯状疱疹の治癒および疼痛消失に対する効果は全て同等であった(12)。また同試験においてfamciclovirとacyclovirは帯状疱疹の治癒および疼痛消失に対する効果が同等である事が認められた。3つ目のRCTではvalacyclovirとacyclovirが皮疹の治癒に対する効果が同等であった(13)。しかしvalacyclovirの方がacyclovirに比べ、急性の疼痛および帯状疱疹後神経痛の疼痛期間をより減少させた(6ヶ月間疼痛を有した患者はvalacyclovir投与グループでは19.3%、acyclovir投与グループでは25.7%)。valacyclovirとfamciclovirを比較したblinded RCTでは帯状疱疹に対する効果が同等であったが、valacyclovirの方がよりcost-effective($83.90 vs $140.70 per course)であった(14)

 

 

famciclovirおよびvalacyclovirが利用できない場合はacyclovirを選択する

 

 

3つのclinical trialsで経口acyclovir 800mg1日5回投与を皮疹出現72時間以内に開始した場合、ウイルス排出期間および新たな皮疹の発症期間を減らし、皮疹治癒を促進することが確認された(15,16,17)

 

 

 

 

皮疹発症72時間以内の経口抗ウイルス薬

 

Famciclovir 500mg 1日3回 7日間

 

Valacyclovir 1g 1日3回7日間

(上記は米国で認可された投与方法だが、valacyclovir 1.5g 1日2回も免疫能正常で18歳以上の合併症を伴わない帯状疱疹患者に対し安全で効果的であり、かつadherenceを向上させるかもしれない(18)

 

Acyclovir 800mg 1日5回7日間

 

 

 

clinical trialsは抗ウイルス薬投与を皮疹発症72時間以内の患者に限っており、それ以降の患者では適切な試験が行われていない。エビデンスはないが、皮疹発症72時間以降の患者でも新たな皮疹形成が続く、皮膚・運動・神経・眼合併症を伴う、免疫不全、などの場合は抗ウイルス薬投与が推奨される

 

 

 

cost-benefitの面からも合併症、特に帯状疱疹後神経痛のリスクが高い50歳以上の帯状疱疹患者への治療が推奨される。若年者で軽度の疼痛あるいは皮膚所見が限局されている場合は、強い疼痛あるいは持続する疼痛のリスクが比較的低いので抗ウイルス薬治療は患者ごとに考慮される

 

 

抗ウイルス薬局所投与は効果が低いため推奨されない

 

 

抗ウイルス薬治療が帯状疱疹後神経痛の発症を減らすかどうかは明らかでない。最近のcochrane reviewでは経口acyclovirは帯状疱疹後神経痛の発症を減らさないと結論づけ、また他の抗ウイルス薬についてもエビデンスは十分でないとしている(19)

 

 

免疫不全患者で皮膚および臓器に播種する重度の帯状疱疹の場合はacyclovir静注治療を行うべきである。RCTではacyclovir 500mg/m² 静注8時間毎(腎機能正常)7日間治療がプラセボに比べ免疫不全患者の帯状疱疹の皮膚・臓器播種を減らすことが示された(20)。acyclovir静注は中枢神経合併症、特に脊髄炎をきたす場合にも全ての患者に投与されるべきである。この推奨はcase reportsに基づいている(21)。免疫能正常患者でも帯状疱疹が臓器に進展する場合はacyclovir静注が考慮されるが、この推奨を支持するprospective studiesに基づくdataはない

 

 

herpes zoster ophthalmicusは間質性あるいは神経栄養性角膜炎、ぶどう膜炎、強膜炎、上強膜炎、網膜壊死などの眼科合併症に進展するリスクがあり、その結果眼あるいは周囲組織に永久的な障害を与えうる重篤な病態である。抗ウイルス薬治療を行わない場合およそ50%の患者で上記のいずれかの合併症を併発する(22)。controlled, prospective clinical trialsでは経口acyclovir治療が後発性の眼科的炎症性合併症の頻度を50-60%から20-30%に減少させることが示された(23)。herpes zoster ophthalmicusの患者は経口抗ウイルス薬で、たとえ発症から72時間以上経過していても、治療されるべきである。眼科的合併症を示唆する所見、あるいは鼻の先の皮疹など眼科合併症に進展するリスクを有する症候を認める場合は眼科コンサルトを行う必要がある。重度のherpes zoster ophthalmicusの場合はacyclovir静注が考慮されるが、これを支持するclinical trialsに基づくdataはない

 

 

 

Pain control 

帯状疱疹による疼痛は日常生活に支障をきたしうる。医師は神経性疼痛を過小評価すべきでなく、たとえ皮膚所見が限局されている場合でも強い疼痛をきたす場合があることを念頭に入れておく必要がある。したがって積極的な疼痛管理が必要となる。急性の疼痛管理に早期介入することで帯状疱疹後神経痛のリスクを減らせるかもしれない

 

 

軽度の疼痛の場合はacetaminophenやibuprofenで十分である。中等度から重度の場合で抗ウイルス薬と鎮痛剤でコントロールできない場合は、oxycodoneなどの短期作用型の麻薬性鎮痛剤を、屯用でなく、定期的に投与することを検討すべきである。gabapentinのような抗痙攣薬や三環系抗うつ薬を病態の早い過程で追加することで疼痛コントロールの助けになるかもしれない。ただamitriptylineなどの三環系抗うつ薬は高齢者で重篤な副作用を起こす可能性があるので注意を要する

 

 

カプサイシン局所投与は疼痛を増悪させうるので帯状疱疹急性期に行うべきではない。帯状疱疹後神経痛には使われることがある

 

 

 

Corticosteroid

cochrane reviewではcorticosteroid投与が帯状疱疹後神経痛の発症を防ぐことを支持するエビデンスはないと結論づけている(24)。しかし、それ以外の利益もあると信じて経口corticosteroidを投与する医師もいる。一つのRCTではacyclovirにprednisoloneを追加投与することで皮疹の治癒を促進し、中等度から重度の疼痛を減らすことが示されたが、急性期の軽度の疼痛では効果が確認されなかった。またprednisoloneは帯状疱疹後神経痛の発症頻度、および疼痛が消失するまでの時間を減らさないことが確認された(25)。50歳以上の患者のみで行われた他のRCTではacyclovirとprednisoneの併用で急性の疼痛を有意に減少させることが認められた(26)

 

 

50歳以上で中等度から重度の疼痛を有する免疫能正常の帯状疱疹患者では抗ウイルス薬に経口prednisone(60mg/dから開始、10-14-day tapering course)を追加投与することを検討すべきである

 

 

 

Hospitalization

多くの帯状疱疹は外来管理が行われるが、播種性帯状疱疹、中枢神経合併、眼科的合併症などをきたす場合は入院による経過観察が必要になる。疼痛が非常に強くてコントロールできない場合も入院による疼痛治療を行う場合がある

 

 

 

水痘患者に比較すれば、帯状疱疹患者のウイルス伝染リスクは低いと考えられているが、急性期には乳児、幼児、妊婦および免疫不全患者との接触は避けるべきである。ウイルスは主に直接の接触によって伝搬する。また播種性帯状疱疹の場合などでは空気を介しても伝搬しうる。studyではvaricella zoster virus DNAが帯状疱疹患者13人中9人の病室の空気サンプルから検出されたと報告している(27)。専門家は局所に限局する帯状疱疹患者に接触する場合はstandard precautionと手袋の使用を推奨している。重度の免疫不全患者が帯状疱疹を発症した場合は伝染性がなくなるまで厳格なairbornおよび接触における隔離を行う必要がある。播種性帯状疱疹を発症した全ての患者においてairbornおよび接触における隔離を行う必要がある(28)

 

 

 

Other complications

 

対側麻痺

varicella zoster virusは中枢神経系血管炎を起こし、trigeminal zosterの対側麻痺をきたす脳梗塞様症状を発症する場合がある(21)。病態はvaricella zoster virusが三叉神経第一枝から直接脳血管に侵入することで、皮疹と同側の内頚動脈あるいはその分枝に炎症を起こし発症すると考えられている。herpes zoster ophthalmicusの後発性合併症として対側麻痺が起こり、皮疹発症から神経症状発症までの平均期間は7週間であるが、最大6ヶ月との報告もある。herpes zoster ophthalmicus発症から数週から数ヶ月後に片側麻痺をきたした患者ではvaricella zoster virusに関連する中枢神経系血管炎の可能性を考慮する必要がある(21,29)

 

 

multifocal vasculopathy

varicella zoster virusの中枢神経への播種が免疫能正常患者において稀にmultifocal vasculopathyを発症する。これは免疫不全患者により多く認められる(21)。帯状疱疹の急性期あるいは経過後に意識障害あるいは神経所見を認める場合はvaricella zoster virusによるmultifocal vasculopathyの可能性を考慮する必要がある。TIA、脳梗塞、急性あるいは亜急性のせん妄などが、頭痛、髄膜刺激症状、発熱、失調、痙攣などの他の症状を伴って発症しうる。たとえ皮疹がなくてもmultifocal vasculopathyがTIAや脳梗塞の原因となりうる。40%のvaricella zoster virus vasculopathyの患者では皮疹が認められなかった。症状は帯状疱疹発症の30日前から発症6ヶ月後まで起こりえる。適切に治療された帯状疱疹患者での発症も報告されている。varicella zoster virus vasculopathyの診断基準はMRIあるいはCTにて虚血所見を認め、かつ髄液のPCR assayでvaricella zoster virus陽性が確認されることである。病理学的検査では中枢神経小血管の血管炎であることが示唆されている。herpes zoster血管炎に対する抗ウイルス薬治療を前向きに調べた試験はないが、acyclovir静注が有効であったとの報告は存在する

 

 

 

 

 

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Annals of Internal Medicine

IN THE CLINIC

7 August 2018

心不全

 

心不全の罹患率は年齢と共に増え、lifetime riskは20〜45%にのぼる

 

 

時代とともに診断後の生存率は改善しているが、依然死亡率は高いままである。およそ50%の人が診断5年後には死亡している

 

 

心室不全はEFの低下した心不全(HFREF/systolic dysfunction)とEFの保たれた心不全(HFPEF/diastolic dysfunction)に分けられる。実際は病態の過程で両者が連続性に起こり、また同時に存在することも多い

 

 

HFREFとHFPEFを分ける事は治療方法を決定する上で重要である

 

 

StudiesではEFのカットオフを35-45%として両者を区別される事が一般的であるが、American College of Cardiology Foundation (ACCF) のガイドラインではEF40%以下をHFREF、50%以上をHFPEFと定義している。41〜49%はborderline HFPEFとされている

 

 

ACCFとAmerican Heart Association (AHA)は心不全リスクのある、あるいは既に心不全を認める患者のoutcomesを改善するための治療選択を助けるためにstaging systemを作成している

 

ACC/AHA Stages of Heart Failure

A: 器質的心疾患や症状はないが心不全のリスクが高い

B: 症状を伴わない器質的心疾患を認める

C: 過去に、あるいは現在症状を伴う器質的心疾患を認める

D: 特異的治療を要する難治性心不全を認める

 

 

 

New York Heart Association (NYHA) classificationは主観的評価に基づいているが、死亡率の予測に有効であることが認められている(1)

 

 

 

 

Prevention

 

心不全の治療は急性増悪治療からリスクファクターへの対応によって慢性および予防できうる症候への治療に重点がシフトしてきている

 

 

心不全の主なリスクファクターは高血圧、冠動脈疾患、糖尿病、肥満、および喫煙である(2)

 

 

修正できないリスクファクターには人種、性別、家族歴などがある

 

 

修正できうるリスクファクターを減らすことによって心不全の発症率を大きく減らすことができる(3)

 

 

冠動脈疾患は心不全の最も一般的な原因である

 

 

長期間未治療の高血圧はHFREFとHFPEFの両方の発症に関連し、冠動脈疾患の独立したリスクファクターでもある

 

 

高血圧の強化的な治療は左室肥大の新たな発症を減らし、また左室肥大の改善を促す(4, 5)

 

 

meta-analysisでは血圧が10mmHg下がると、心不全の発症を28%減らし、全ての原因による死亡率を13%減らすことが確認されている(6) 

 

 

糖尿病は心不全のリスクを倍以上にし(7, 8)、また高血圧、冠動脈疾患、肥満などの他のリスクファクターと同時に存在することが多い

 

 

糖尿病は微小血管病変によって心筋を器質的および機能的に変化させdiabetic cardiomyopathyを形成する。血糖コントロール不良は心不全発症の大きなリスクとなる(9)

 

 

アルコールは直接心筋障害を起こすtoxinであり、心不全の原因となる。アルコール摂取を中止することによって左室機能不全を改善させることができる(10)

 

 

甲状腺機能亢進症は心房細動や頻脈を起こし、心不全の発症や悪化をもたらす。甲状腺機能の正常化が心室機能を改善する(11, 12)。他の原因によって持続する頻脈も心室機能不全を引き起こすが、rate controlや頻脈の消失によって機能が可逆的に改善する(13)

 

 

obesity-related cardiomyopathyは心筋の脂肪沈着、血圧上昇および循環血液量増加による心負荷、および他のメカニズムによって起きると考えられている

 

 

炎症に起因するものではSLEやHIVなどの全身性疾患による心筋炎(14)、稀なものでは重度心不全をきたすgiant cell myocarditis、スルフォンアミドやペニシリンなどの様々な抗原に対するアレルギー反応で起こるhypersensitivity myocarditisなどがある

 

 

他の全身性疾患で心不全をきたすものにはfibrillar proteinの沈着によるアミロイドーシス(15)、非乾酪性肉芽種に関連するサルコイドーシスなどがある。ヘモクロマトーシスなどの鉄代謝異常や頻回の輸血などによって過剰な鉄が心筋に沈着してHFREFやHFPEFを起こし得る

 

 

遺伝性の心筋症にはhypertrophic cardiomyopathyなどがある。またDuchenne muscular dystrophyやBecker muscular dystrophyなどの遺伝性筋dystrophyなどでも心筋障害が起こる場合がある

 

 

 

 

 

Diagnosis

 

心不全を疑う初回評価において病歴聴取および身体診察は重要不可欠である。症状を伴わない左室機能低下患者に心不全治療を開始することで症状の発症を遅らせ、生命予後を改善する非常に強いエビデンスが確認されている事から、症状を伴わない患者の心不全の初期のサインを見つけることは非常に重要である(16)

 

 

新規発症の全ての心不全患者にechocardiographyを行う必要がある

 

 

初回血液検査では血算および肝酵素、TSH、脂質を含む一般生化学検査を評価する必要がある。またヘモクロマトーシス、HIV、リウマチ性疾患、アミロイドーシス、褐色細胞腫などを疑う場合は適宜検査を追加する

 

 

B-type natriuretic peptide (BNP)やN-terminal pro-BNP (NT-proBNP) は心室容量および内圧の上昇に伴って上がり、急性の呼吸困難が心不全によるものかどうかの鑑別に有用である。また診断されていない心不全のハイリスクグループのスクリーニングにも使用される(17, 18, 19, 20)

 

 

BNP・NT-proBNPは女性、高齢者、腎不全、急性冠症候群、急性呼吸器疾患などでは高くなり、肥満では低くなる傾向にあるので結果の解釈にはそれらを考慮する必要がある(21, 22)

 

 

BNP・NT-proBNPはリスク評価および予後予測に使用されるが(23)、studiesではエビデンスが混在しており心不全の治療決定のために使う事は推奨されていない(24, 25)

multicenter GUIDE-IT studyでは、心不全のハイリスク患者1100人(30日以内のBNP上昇および心不全による入院歴を有する)をNT-proBNPをガイドに行う治療グループと通常の治療グループに分けて試験が行われたが、両者間でprimary outcom(心不全によって入院するまでの時間、心血管死)に有意差が認められなかったため、試験は早期に中断された(24)

 

 

ACCF/AHAガイドラインは新規発症の全ての心不全患者に心電図検査を行うことを推奨している

 

 

冠動脈疾患の既往があるが狭心症症状を認めない患者で新規に心不全を発症した場合は心筋虚血を評価する目的に画像検査によるストレステストを行うことは道理的である。これによって生存している心筋の範囲を同定でき、血管再建術を行うかの判断に有用となる

 

 

心筋虚血が疑われる場合は冠動脈造影やCT angiographyが適応となる

 

 

重篤な入院患者でvolume statusや心拍出機能が不明な場合は血行動態を評価する目的に右室カテーテルが使用される

 

 

確定診断が治療に影響を及ぼす場合には特定のタイプの心筋症では心筋生検が行われる

 

 

ワイヤレスで情報を送る埋め込み型肺動脈圧モニターも有用である

CHAMPION trialでは外来患者で日々肺動脈圧を評価し治療を修正することによって有意に心不全による入院率を下げることが認められた(26)。またHFREF患者のサブセットグループでは死亡率が減少する傾向にあった(27)

 

 

 

 

 

Treatment

 

β-Blokers

NYHA classにかかわらず全ての心機能低下患者の第一選択薬となる。多くのlarge randomized controlled studiesで心不全患者に対しcarvedilol、bisoprolol、long-acting metoprolol succinateが入院、突然死、全死亡率を有意に下げることが確認されている。死亡率の低下は23%〜65%とされている(28, 29, 30, 31)。他のβ-blokersの重要なエビデンスがないため、臨床試験で使われているこれらのβ-blockersが好まれて使われている

 

 

ACE inhibitors

禁忌でなく患者が耐容できるかぎり全ての収縮機能が低下した心不全患者に投与されるべきである。死亡率、入院、心不全悪化、心筋梗塞を減らすことが多くのlarge randomized controlled trialsで確認されており、死亡率減少は30%までにのぼる(32, 33, 34)

 

 

Angiogensin-receptor blockers

ACE inhibitorsが投与できない患者に使用される。死亡率減少(30%-45%)などACE inhibitorsと同等の効果がlarge randomized controlled trialsで認められている(35, 36, 37, 38)。ACE inhibitorsとARBsを併用することで左室容量を減少させ、入院を減らす可能性があることを示すstudiesが存在するが、死亡率への影響ははっきりしないため、routineでは推奨されていない

 

 

Angiotensin receptor-neprilysin inhibitors

適量のACE inhibitorsあるいはARBsに耐容している軽度から重度の心不全患者(NYHA class II-IV)において、ACE inhibitorsあるいはARBsをangiotensin receptor-neprilysin inhibitor(ARNI)で代用することによって心血管死あるいは心不全による入院をさらに20%減少させるとされている。副作用には血圧低下や腎機能低下がある。angioedemaのリスクがあるため、angioedemaの歴がある場合、またはACE inhibitorsとの併用あるいは最後のACE inhibitor投与から36時間以内には使用できない

PARADIGM-HF trialにおいてEF40%以下でNYHA class II〜IVの心不全患者8442人をenalapril(ACE inhibitor)を投与するグループと sacubitril(ANRI)とvalsartan(ARB)を併用投与するグループに分けて行われた試験ではsacubitril-valsartanグループの方が死亡率および心不全による入院率が有意に低い結果となった(21.8% vs 26.5%;hazard ratio 0.80 [CI 0.73-0.87]; P < 0.001)(39)

 

 

 

Hydralazine and nitrates

ACE inhibitorsあるいはARBsに耐容できない患者ではhydralazineとisosorbide dinitrateの併用投与が代替薬となる。この併用治療は死亡率の減少がACE inhibitorsには及ばないもののプラセボよりは有効であることが認められた(40)。アフリカ系アメリカ人の重度の心不全患者(NYHA class III-IV)ではhydralazineとisosorbide dinitrateの併用投与を通常治療(ACE inhibitor or ARB and β-blocker)に追加することによって死亡率を43%下げ、心不全による入院を33%減少させ、またQOLを向上させるとされている(41)

 

  

Aldosterone antagonists

ACE inhibitorsとβ-blockersの投与にもかかわらず、軽度から重度の症状(NYHA class II-IV)を認める場合は低量のaldosterone antagonistを追加することで死亡率を減少させるとされている。spironolactoneが最もよくstudiesに使用されているが、時おり男性に疼痛を伴う女性化乳房の副作用を認める

RALESはNYHA class III-IVの心不全患者1663人で適切治療にspironolactoneを追加するグループと追加しないグループに分けて行われた試験であるが、spironolactoneを追加したグループにおいて有意に死亡率が低かったため(284 vs 386 deaths; P < 0.001)試験は早期に中断された(42)

 

eplerenoneはより選択的なaldosterone antagonistで女性化乳房の副作用が比較的少ない。心筋梗塞後でEF40%以下の患者において全ての原因による死亡率を減少させることが確認されている(43)

EMPHASIS-HF trialはNYHA class IIの心不全患者2737人で行われたdouble-blind trialであるが、適切治療にeplerenone(up to 50mg/d)とプラセボを追加投与して比較した結果、死亡率および心不全による入院率がeplerenoneグループにおいて有意に低かったため試験は早期に中断された(18.3% vs 25.9%; HR 0.63 [CI 0.54-0.74]; P < 0.001)(44)

 

 

Ivabradine

Ivabradineは洞房結節のdepolarizing If currentを選択的に抑制して心拍数を下げる新薬である。最大耐容量のβ-blockerを含む適切治療を受けており、洞調律でかつ安静時心拍数が70/min以上の軽度から中等度の心不全患者(NYHA class II-III)においてIvabradineを追加投与することで心不全による入院率を下げることが確認されている。慢性心房細動あるいは洞調律性の徐脈患者では適応にならない。副作用は症候性徐脈や視覚障害がある

SHIFTはEF35%以下、洞調律で心拍数70/min以上、最大耐容量のβ-blockerを含む適切治療を受けていて症状を有する心不全患者6558人で行われた試験で、ivabradine(titrated to a maximum dose of 7.5mg twice daily)グループの方がプラセボグループと比較してcomposite end point(心血管死と心不全による入院)が良かったことが認められた(24% vs 29%; HR 0.82 [CI 0.75-0.90]; P < 0.0001)(45)

 

 

Diuretics 

利尿薬は短期的に症状に対する利益を持つ唯一の治療薬である。最近のobservational studyではacute decompensated heart failureで救急外来受診した患者に対し早期に(救外到着60分以内)ループ利尿薬静注が投与された場合、入院死亡率が低いことが示された(46)。ほかのrandomized trialではacute decompensated heart failureで入院した患者に利尿薬静注を、低量(外来経口投与量と同等)あるいは高量(外来投与量の2.5倍)を、12時間ごとにbolus投与したグループと持続静注投与されたグループの比較において、主観的な症状および腎機能に両者間で有意差が認められなかった(47)。しかし、心不全における利尿薬の長期的な安全性や死亡率への影響を評価したprospective clinical trialsは存在しない

 

ループ利尿薬は病態の進行を抑制しないためHFREFの治療に単独で使用すべきでない。furosemideに比較しtorsemideとbumetanideは吸収速度が速く、bioavailabilityが高い。経口furosemideに反応が悪い患者では、経口torsemideあるいはbumetanideに変更することで利尿を得られる場合がある。metolazoneのようなサイアザイド利尿薬が利尿効果を高めるために追加される場合もある

 

 

Digoxin

digoxinはHFREF患者の症状を緩和し、入院率を下げる。しかし生命予後を改善しないため症状を有する心不全患者(NYHA class II-IV)にのみ限定されるべきである(48)。低カリウム血症および低マグネシウム血症はdigoxin toxicityのリスクを高めるため、電解質の定期的な評価が必要になる。large randomized controlled trialのpost hoc analysisで高い血清digoxin濃度(>1.2 ng/ml)が死亡率上昇と関連することが示されたため、治療域は0.5-0.8ng/mlが推奨されている(49)

 

 

 

HFPEFの治療

HFPEF患者の治療ゴールは悪化原因をコントロールすることである。高血圧はβ-blockers、ACE inhibitors、ARBsなどで治療されるべきである。冠動脈疾患患者で狭心症症状あるいは心筋虚血のサインがあればcoronary revascularizationが適応となる。心房細動ではガイドラインに基づいて治療されるべきである。ひとつのlarge randomized controlled trialではEFの保たれた患者(40%以上)においてcardesartanが入院率を減らすが心血管死は減少させないことが示された(50)。EFが保たれた患者(45%以上)で行われたlarge randomized trial(TOPCAT)ではspironolactoneがプラセボに比べ心血管死、心停止、心不全による入院を含むcomposite outcomeで有意差を認めなかった。BNPの上昇しているsubsetグループでは有効性が示されたが意義は不明である(51)

 

 

Inotropic agents

標準治療の経口薬に反応せず、臓器不全や心原性ショックのサインを認める重度のdecompensated heart failureの患者にdobutamineやmilrinoneなどのinotropic agentsを持続静注投与することによって心拍出量を上げ、後負荷を下げることができる。coronary revascularizationのような決定的治療につなぐために短期で心原性ショックの患者に持続静注投与が行われる。あるいは中長期間、機械的循環補助や心臓移植へのbridge therapyとして使用される場合もある。さらにはそういった治療の対象にならないend-stage heart failureの患者に症状緩和目的で長期間投与されることもある。inotropic agentsは生存率を上げず不整脈のリスクを高めるので、臨床的適応がない場合の長期投与は有害となりえる

 

 

抗凝固療法

他に抗凝固療法の適応を認めない慢性のHFREFの患者にroutineでの抗凝固療法は臨床的に利益を認めないため推奨されていない(52)。EF 35%以下、洞調律で他に抗凝固療法の適応を認めない患者ではwarfarinとaspirinを比較投与した結果、脳梗塞、頭蓋内出血、全ての原因による死亡のcomposite outcomeにおいて両者間で有意差が認められなかった。下がった脳梗塞のリスクが主要出血リスクの上昇で相殺される形となった(53)。新規経口抗凝固薬は安全性において優位であり有効性も期待されるが、臨床試験で利益が証明されていないため現在のガイドラインでは推奨されていない

 

 

Exercise program

運動と生活習慣改善が指導下に行われるcardiac rehabilitation programは身体機能およびQOLを向上させるが、死亡率は下げない(54)

 

 

Intracardiac device

implantable cardioverter-defibrillator(ICD)は生命予後が1年以上期待でき、少なくとも心筋梗塞から40日以降で、標準的な心不全の薬物治療を受けている患者が適応となる。現在のガイドラインでは突然死のprimary preventionでICD植え込みが適応となるのはEF 35%以下、軽度から中等度の症状(NYHA class II-III)を認めるischemicあるいはnonischemic cardiomyopathyの患者である。さらに無症状(NYHA class I)でEF 30%以下のischemic cardiomyopathyの患者にも適応となる(55, 56)

 

心不全の進行とともに心室同期不全が起こり、心電図のQRS延長、心室収縮不全、僧帽弁機能不全、心室リモデリングなどが認められる。cardiac resynchronization therapy(CRTまたはbiventricular pacing)はこれらの変化を改善させることができる。この治療は無症状の患者(NYHA class I)、左脚ブロックがないQRS 150msc以下の患者、生命予後が1年未満の患者では適応とならない。適応となるのはEF 35%以下、洞調律で左脚ブロックがあり、QRS 150msc以上で、軽度から重度の症状(NYHA class II-IV)を認める標準的薬物治療を受けている患者である

 

 

生活習慣

脂質異常症、肥満、糖尿病などの心血管リスクを有する患者では推奨される食事摂取を行う必要がある。禁煙、アルコール摂取の節制も重要である。体重モニター、ナトリウム・水分制限も、特に症状があり進行した心不全患者における長期的な管理においては大切であるかもしれない。日々の体重測定によって利尿薬の調整を行うことで心不全悪化の予防に役立つかもしれない。患者が毎日体重測定を行い事前に決めていた値を超えた場合に医師に連絡して指導を受ける(通常1日で2-Ib(0.9kg)あるいは3日で5-Ib(2.2kg)以上の増加)。看護師、栄養士、home health staff、理学療法士などのサポートを受けることによって心不全悪化を防ぐ助けとなる。進行した心不全、特に低ナトリウム血症の患者では水分摂取制限(1.5ー2L/日)とナトリウム制限が利尿薬の効果を高め、うっ血を減らすために理にかなっている。しかし、これらの推奨はexpert opinionであり、small, uncontrolled and observational studiesから得られたdataに基づくものである。このエビデンスは混在しており、ナトリウム制限は有害ですらあると示唆するstudiesもある(57)。現在のAHAのガイドラインでは高血圧または左室肥大の患者にナトリウム摂取を1500mg/日までに制限することを推奨しており、この制限は比較的進行していない心不全患者(AHA stage A or B)に対しては理にかなっているかもしれない。進行した心不全患者(AHA stage C or D)ではナトリウム制限をgeneral population以下(< 2000ー3000mg/日)に推奨を行う十分なエビデンスがない

 

 

緩和ケア

心不全の進行とともに頻繁の増悪や改善後の予期せぬ増悪などが起こる。緩和ケアは心不全のそれぞれのステージでそれぞれ異なるタイプのケアを提供する。基本的な緩和ケアは症状マネージメントであり、advanced palliative careでは難治性の症状、精神社会的問題、終末期マネージメントなどを扱う。また扱われなければならないものには、鬱、社会的サポート、予後あるいは治療効果に対する患者の非現実的な期待、客観的な病態と患者の主観的な経験との相違、治療に対する患者の不安、新たな社会的あるいは職業的役割への適応、などがある。ガイドラインでは緩和ケアを心不全治療のroutine careとして組み込むことを推奨している(58)

 

 

 

 

 

 

 

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IN THE CLINIC

Annals of Internal Medicine

5 June 2018 

大腸憩室炎

 

大腸憩室炎の多くは50歳以上の患者で見られるが、若い人にも増えてきている

 

 

大腸憩室を持つ大部分の人は無症状であり、1〜4%の人で憩室炎を発症する(1)

 

 

そのうちおよそ20%の患者が10年以内に一回あるいはそれ以上の再発を繰り返す(2)

  

 

大腸憩室炎は合併症の有無によって分類される。合併症を伴わない大腸憩室炎は大腸壁肥厚および大腸周囲の炎症性変化にとどまる。合併症には膿瘍形成、腹膜炎、腸閉塞、瘻孔形成がある。およそ12%の大腸憩室炎に合併症が認められる(2)

 

 

 

Risk Factor 

 

大腸憩室および大腸憩室炎の重要なリスクファクターは加齢である。肥満および喫煙も大腸憩室のリスクになる(3)

 

 

低繊維食や便秘がリスクファクターとされてきたが、近年に二つのcross-sectional studiesでは低繊維食および便秘は他のリスクファクターの影響を調整した場合にはリスクを上昇させない事が示された(3, 4)

 

 

しかし食事および生活習慣は大腸憩室炎に寄与する重要なファクターである。低繊維食、red meat(牛肉、羊肉)、肥満、低身体活動、喫煙はリスクの上昇に関連するとされている(5, 6, 7, 8, 9, 10)。あるstudyでは1日23g以上の繊維摂取、1日51g以下のred meat摂取制限、週2時間以上の強度の身体活動、BMI 25kg/m2以下への減量、および禁煙は大腸憩室炎の発症を50%予防しうると報告している(7)。

 

 

read meat、精製された穀物、高脂肪食などの西洋型の食事は大腸憩室炎のリスクを上げる一方、果物、野菜、全粒穀物はリスクを下げる(8)

 

 

アルコール摂取、特に乱用はリスクを高めるかもしれないが、エビデンスは混在している(11)

 

 

男性で行われたlarge prospective studyに基づき、ナッツ、トウモロコシ、seedsはもはやリスクを上げると考えられていない(12)

 

 

NSAIDsの定期的な服薬(週2回以上)はリスクを70%高める可能性がある。アスピリン以外のNSAIDsはアスピリンに比較し、より大きくリスクを、特に合併症を伴う憩室炎に対して高める(9)

 

 

コルチコステロイドやオピオイドもリスクを上昇させる可能性がある(13)

 

 

ビタミンDの低下も憩室炎を促す可能性がある(14)

 

 

Symptoms

 

大腸憩室炎では急性あるいは亜急性の腹痛、典型的には左下腹部痛を認める。疼痛は持続的で動作によって悪化する傾向がある

 

 

疼痛が左側優位であるのは憩室炎がS状結腸や下行結腸に起こることが多いからである。反対にアジア人では右側優位となる

 

 

他の症状は下痢、便秘、嘔吐を伴わない嘔気、発熱などである(15)

 

 

下血は典型的な症状ではなく、他の腹痛の原因を精査する必要がある

 

 

糞尿、気尿、膿尿を認める場合は結腸膀胱瘻を、膣からガスや便が認められる場合は直腸膣瘻の可能性を示唆する

 

 

腸閉塞は大腸の炎症や膿瘍などによって急性の憩室炎でも認められるが、罹患後あるいは再発後の瘢痕化や狭窄形成によって起こる事がより多く見られる(16)

 

 

Laboratory Test

 

憩室炎では白血球およびCRPの上昇が認められる事が多い。あるstudyではCRP上昇を伴う白血球上昇は、他の腹痛の原因と比較して、大腸憩室炎の可能性を4倍高くすると報告している(17) 。またCRP値の高さは重症度に関連し、膿瘍などの合併症を伴う患者の同定に役立つ可能性がある(18)。しかし白血球およびCRP値が正常であるからといって除外診断することはできない

 

 

multivariable analysisによって大腸憩室炎に関連するファクターは以下のものが示された

年齢50歳以上、左下腹部の疼痛、動作による疼痛の悪化、38.5度以上の発熱、憩室炎の既往、CRP 50mg/L以上(17)

 

 

Imaging Test 

 

大腸憩室炎を臨床症状だけで診断することは難しい。さらに膿瘍などの合併症は画像診断を行わなければ確定できない。合併症の有無を判別することは抗菌薬投与、膿瘍ドレナージ、手術が必要かを判断する際に必須となる。にもかかわらず、画像診断以外の臨床所見だけで診断される場合がしばしばある。特にもともと憩室炎の既往があり、画像検査が利用できない状況などの場合である(19)

 

 

重度の腹痛、血行動態あるいは呼吸状態の悪化、腹部所見でびまん性の圧痛およびguarding、あるいはrigidityを認める、白血球やCRPの高度上昇、などの重症所見を認める場合は画像検査を行わなければならない。また薬物治療に反応しない憩室炎は合併症の可能性を評価するためにも画像検査が必要となる

 

 

 

造影剤の静注および管腔内投与によるCT撮影が画像診断として選択される。systematic review and meta-analysisでは腹部CTはsensitivity 95%およびspecificity 96%と報告されている(20)

 

 

腹部超音波検査も使用される。そのsensitivityおよびspecificityはおよそ90%とされている(20)。しかし、その精度はCTに比べより術者に依存し、また肥満患者ではより制限される(19)

 

 

 

 

大腸憩室炎が初回のエピソードの場合は全ての患者で回復後に大腸癌の鑑別を行うために大腸内視鏡を行う必要がある(21)

 

 

 

Treatment

 

大腸憩室炎の治療は重症度および合併症の有無によって決まる

 

大腸憩室炎の重症度およびマネージメントを分類するいくつかのclassification systemがつくられている

 

 

Hinchey classificationはCT所見に基づく重症度およびマネージメントを決定するシステムである(22)

 

 

 

Stage of Modified Hinchey Classification

 

Stage 0(合併症なし)

臨床的に軽度の大腸憩室炎、またはCT上大腸壁肥厚を伴う憩室

 

・Clear liquid diet(2−3日)、low-fiber dietにadvance(疼痛が改善するまで)

・抗菌薬(case-by-cace)

・アセトアミノフェンと鎮痙剤による疼痛管理

 

 

Stage Ia(合併症なし)

大腸周囲脂肪織の炎症性変化(phlegmon)を伴う大腸壁肥厚

 

・Clear liquid diet(2−3日)、low-fiber dietにadvance(疼痛が改善するまで)

・抗菌薬(case-by-cace)

・アセトアミノフェンと鎮痙剤による疼痛管理

 

 

Stage Ib(合併症あり)

炎症部位近位の大腸周囲あるいは腸間膜膿瘍

 

・ドレナージを必要とする膿瘍の場合は入院治療

・経口摂取可能な場合はliquid diet摂取にて外来治療、症状の改善を認めればlow-fiber dietへadvance

・重症度により経口あるいは静注抗菌薬投与

・膿瘍が3cm以下の場合は抗菌薬のみにて改善しうる、また場合によって抗菌薬投与なしにて改善しうる

・3cm以上の膿瘍あるいは治療抵抗性の症状・膿瘍の場合は経皮的ドレナージによる治療

・大きな膿瘍では待機的手術による切除

・アセトアミノフェンと鎮痙剤による疼痛管理

  

 

Stage II(合併症あり)

炎症部位より遠位の腹腔内膿瘍、骨盤内あるいは後腹膜膿瘍

 

・入院治療

・安定、改善するまで絶食

・感染部位がコントロールできるまで静注抗菌薬投与

・経皮的ドレナージによる治療

・外科コンサルト

・待機的手術による切除

・アセトアミノフェンと鎮痙剤による疼痛管理

 

 

Stage III(合併症あり)

汎発性化膿性腹膜炎

 

・入院治療

・絶食

・静注抗菌薬投与

・緊急外科コンサルトおよび手術による切除(限られた患者では腹腔鏡洗浄による治療)

・アセトアミノフェンと鎮痙剤による疼痛管理

 

 

Stage IV(合併症あり)

糞便性腹膜炎

 

・入院治療

・絶食

・静注抗菌薬投与

・緊急外科コンサルトおよび手術による切除(腹腔鏡洗浄による治療は不適切)

・アセトアミノフェンと鎮痙剤による疼痛管理

 

 

 

 

 

Antibiotics

 

過去には全ての患者に抗菌薬治療が行われてきた

 

二つのrandomized trialsといくつかのobservational studiesでは合併症を伴わない大腸憩室炎(Hinchey stage 0, Ia, and Ib with abscess < 5cm)を抗菌薬投与なしに安全に治療できることが示された(23, 24)。これらのstudiesでは回復までの期間、合併症および再発に関して抗菌薬を投与されたグループとされなかったグループにおいて有意差が認められなかった

 

 

現在いくつかのガイドラインでは抗菌薬は合併症を伴わない大腸憩室炎患者に対しルーチンでなく選択的に投与することが推奨されている(21)

 

 

免疫不全がなく、状態が安定していてCTにて合併症が認められない事が確認され、フォローアップが期待できる患者においては抗菌薬投与なしに治療を行う事が可能とされている。その際clear liquid dietを摂取し、アセトアミノフェンによる疼痛治療を行う。2〜3日しても改善を認めない場合は抗菌薬投与を開始する

 

 

安定していて免疫不全のない合併症を伴わない憩室炎患者では経口抗菌薬が考慮される

いくつかのprospective randomized and open-label trialsでは、これらの患者に対する静注抗菌薬投与は経口抗菌薬に比べ利益が認められなかった(25)。また4日間投与は7日間投与と同等の効果であった(26)

 

 

 

状態が安定している小さな膿瘍を伴う憩室炎患者も外来にて治療を行うことが可能である。その際、経口抗菌薬はより長い投与期間が必要となる

 

 

腸管穿孔、大きな膿瘍、sepsis、腸閉塞、経口摂取不能、あるいは他の重篤な疾患を合併する憩室炎患者では入院における静注抗菌薬投与が必要となる

 

 

 

憩室炎治療に関する特定の抗菌薬を比較したtrialsは限られている。一般的にはグラム陰性菌と嫌気性菌をカバーするbroad-spectrumの抗菌薬が使用される

 

 

外来でよく投与されるのはfluoroquinoloneあるいはtrimethoprim-sulfamethoxazoleとmetronidazoleの併用である。単剤ではmoxifloxacinあるいはamoxicillin-clavulanateが使用される。入院患者で静注によるfluoroquinoloneとmetronidazoleの併用、単剤ではticarcillin-clavulanic acid、ertapenem、moxifloxacinが推奨される

 

 

 

重篤な患者、特に免疫不全患者ではmeropenem、imipenem-cilastatin、piperacillin-tazobactam、doripenemなどが必要になる場合がある(27, 28)

 

 

 

 

抗菌薬治療

 

合併症を伴わない軽度の憩室炎外来治療(27, 28, 29)

 

単剤治療

Amoxicillin-clavulanic acid 875mg/125mg  1錠12時間毎 あるいは 1000mg/62.5mg  2錠12時間毎

Moxifloxacin 400mg 1錠24時間毎

 

併用治療

Trimethoprim-sulfamethoxazole DS 160mg/800mg 1錠12時間毎 あるいは

Ciprofloxacin 750mg (or 500mg) 1錠12時間毎 あるいは

Levofloxacin 750mg 1錠24時間毎

Metronidazole 500mg 1錠6時間毎 併用

 

投与期間

4〜7日間(if source controlled / abscess drained)

 

 

合併症を伴う軽度〜中等度の憩室炎入院治療(28, 30)

 

単剤治療

Ertapenem 1g 静注 24時間毎

Moxifloxacin 400mg 静注 24時間毎

Ticarcillin-clavulanic acid 200-300mg/kg/日 分割した量を4-6時間毎静注

 

併用治療

Cefazolin 1-2g 静注 8時間毎 あるいは

Cefuroxime 1.5g 静注 8時間毎 あるいは

Ceftriaxone 1-2g 静注 12-24時間毎 あるいは

Cefotaxime 1-2g 静注 6-8時間毎 あるいは

Ciprofloxacin 400mg 静注 12時間毎 あるいは

Levofloxacin 750mg 静注 24時間毎

Metronidazole 500mg 静注 8-12時間毎 あるいは 1500mg  静注 24時間毎 併用

 

投与期間

4〜7日間(if source controlled / abscess drained)

 

  

合併症を伴う重度憩室炎・腹膜炎入院治療(28, 30)

 

単剤治療

Imipenem-cilastatin 500mg 静注 6時間毎 あるいは 1g 静注 8時間毎

Meropenem 1g 静注 8時間毎

Doripenem 500mg 静注 8時間毎

Piperacillin-tazobactam 3.375g 静注 6時間毎

 

併用治療

Cefepime 2g 静注 8時間毎 あるいは

Ceftrazidime 2g 静注 8時間毎 あるいは

Ciprofloxacin 400mg 静注 12時間毎 あるいは

Levofloxacin 750mg 静注 24時間毎

Metronidazole 500mg 静注 8-12時間毎 あるいは 1500mg  静注 24時間毎 併用

 

投与期間

4〜7日間(if source controlled / abscess drained)

 

 

 

 

 

Diet 

 

大腸憩室炎の急性期における食事治療に関するエビデンスは少ない。伝統的にはclear liquid dietから開始し、徐々にlow-fiber dietに変更し、症状が改善するまで継続することが行われている

 

一つのsmall, uncontrolled prospective studyでは合併症を伴わない憩室炎患者に対し制限を行わずに食事を与えた場合、耐用性は良好であった。しかし8%の患者において重篤なイベントが認められた(30)

 

よって軽度の憩室炎患者にはclear liquid dietを開始し、症状が改善し始めたら、徐々にlow-fiber dietに変更し、回復するまで継続することが妥当である。回復した後はred meatの少ないhigh-fiber dietが推奨される。重篤な入院患者の場合は安定するまで絶食することが推奨される

 

 

Pain Management 

 

憩室炎の疼痛管理に関するエビデンスも乏しく、多くのガイドラインでは扱っていない

 

NSAIDsは憩室炎合併症への関連が認められ急性期は避けるべきである(9)。同様にオピオイドも穿孔性憩室炎のリスクが上がる可能性がある(13)。しかし実際には多くの場合これらの鎮痛剤は急性期に投与されている

 

アセトアミノフェンとdicyclomineのような鎮痙剤が軽度から中等度の憩室炎の疼痛およびcrampingコントロールの第一選択である

 

 

Surgical Management 

 

合併症を伴わない患者、および重篤な症状、不安定な他の疾患、免疫不全などを伴わず経口摂取が可能で、社会的サポートが利用できるStage Ib(小さな憩室周囲の膿瘍)の患者では外来治療が考慮される(19)

合併症を伴わないHinchey stage Iaの大腸憩室炎患者132人で行われたrandomized trialでは入院治療と外来治療の比較において、再入院、緊急手術・経皮的ドレナージの数に有意差が認められなかった(29)。その際、抗菌薬と疼痛剤を1回投与しても疼痛あるいは発熱が持続した患者はtrialから除外されている

 

 

 

 

大きな膿瘍、腹膜炎、あるいは保存的治療に反応しない強い症状が認められる場合などは外科コンサルトが必要となる。 また腸閉塞や瘻孔形成の際も外科の介入を要する。重度の憩室炎あるいは再発を繰り返す場合も外科による評価が有益である

 

大きな膿瘍(3-4cm以上)で経皮的ドレナージを考慮する場合はinterventional radiologistにコンサルトすべきである

 

頻回に憩室炎を再発する患者の慢性的な症状が憩室炎の再発であるかが明らかでない場合など消化器内科コンサルトが考慮される。また診断が明らかでなく、炎症性腸疾患や大腸癌などの可能性がある場合も消化器内科による評価が必要となる。そして、最近大腸内視鏡検査を受けていない場合では、全ての患者において罹患4〜8週間後に内視鏡検査を行う事が推奨される

 

 

 

 

外科的治療の適応は合併症を伴う憩室炎である(穿孔、膿瘍、狭窄、瘻孔)。これらの適応に対する外科的治療は発展してきてより非侵襲的になってきている

 

 

小さな膿瘍(3〜4cm以下)、phlegmons、腸管外の少量のfree airは通常抗菌薬のみにて治療可能である(Hinchey stage 0 and I)(31)

 

より大きな膿瘍は経皮的ドレナージによって、特に抗菌薬投与のみでは不十分な場合は、治療が行われる。膿瘍の場所によっては腹腔鏡的ドレナージが必要になる

 

憩室炎が瘻孔や狭窄による慢性閉塞を合併する場合は症状を緩和するために、通常外科的切除が必要となる

 

sepsis、汎発性腹膜炎(Hinchey stage III and IV)、保存的治療でも安定しない場合は緊急外科的治療が必要になる(20)

 

 

外科的治療を必要とする患者に対するアプローチは依然はっきり定まっていない

伝統的にはend colostomyとHartman pouch(肛門直腸断端の閉鎖)によるS錠結腸切除術が行われてきたが、この方法では合併症の発症率およびpermanent stomaになる率が高い。代替治療としてprimary anastomosisとdiverting loop ileostomyによるS状結腸切除術が提案されている。この方法では合併症の率が低く、stomaもreverseできる率が高いとされているが(32, 33)、studiesは規模が小さく、後ろ向き試験である

 

重篤な状態の、あるいは他の重症疾患を複数持つ、汎発性腹膜炎を合併した患者ではHartoman pouchによる結腸切除術が選択される(20)

 

化膿性腹膜炎(Hinchey stage III(非糞便性腹膜炎))をコントロールしprimary anastomosisによる待機的手術を行う手段として腹腔鏡洗浄が提案されている。この手技は膿瘍の吸引、腹腔洗浄、およびドレーン留置からなる

この治療に関するエビデンスは混在している

3つの小さなrandomized studiesを含む7つのstudiesのmeta-analysisでは、結腸切除術を行ったグループに対して腹腔鏡洗浄を行ったグループの方が術後腹腔内膿瘍、腹膜炎、緊急再手術の率が高いことが示された(34)。しかしこれらのstudiesはenrollmentが連続的でないこと、外科的手術が標準的でないことなどの批判を受けている

これらのrandomized trials以前に出されたガイドラインでは結腸切除に対する代替治療として切除を伴わない外科的治療は適切でないとされている

 

 

糞便性腹膜炎(Hinchey stage IV)の場合は一貫して結腸切除が推奨されている(20)

 

 

 

合併症を伴わない再発性の大腸憩室炎に対し待機的外科手術が考慮される。過去においては憩室炎を2回発症した後に推奨されていた。しかし、蓄積されてきたdataでは憩室炎の自然な経過上、悪化進展しないことが示されている。多くの合併症(瘻孔や閉塞以外)は初回あるいは2回目の憩室炎の際に起こり、再発の際に緊急手術が必要になることは稀である(35)。さらには待機的手術後の合併症が多く(10〜15%)、また手術によって再発をなくすことはできない(8年間で5〜8%)(36)。手術後のQOLに関するdataも混在している。したがって合併症を伴わない再発性憩室炎に関する待機的手術の推奨はcase-by-caseで、重症度、再発の回数、QOLへの影響、免疫抑制剤投与の有無、外科手術のリスクおよび患者の好み等を考慮した上で判断される(20)

 

 

American Society of Colon and Rectal Surgeonsのガイドラインでは大腸憩室炎の待機的結腸切除を行う場合、可能なら腹腔鏡的アプローチが推奨されている(20)。手術後の再発リスクを減らすために、全S状結腸切除および憩室炎が起こった全ての区域を切除することがより好ましい(20)

 

 

Prognosis

 

大腸憩室炎初回発症後10年の再発率はおよそ20%、2回目発症後10年の再発率は55%、3回目発症後3年の再発率は40%である

 

 

 

Prevention 

 

外科的治療がより非侵襲的になってきている事、腸管慢性炎症や腸内細菌叢失調などが病態に関わっているとの新たな理論が出てくる中で大腸憩室炎の薬物的再発予防が注目されている

mesalamine(炎症性腸疾患に使用される抗炎症薬)、rifaximin(吸収されにくいbroad-spectrum抗菌薬)、probioticsの三つの薬剤が研究されている

 

その中ではmesalamineが最もよく研究されているが、6つのrandomized trialsとmeta-analysisではプラセボに比べ再発予防に効果が認められない事が明らかになった(36)

 

rifaximinとprobiotecsはそれぞれ一つの小さなtrialで調べられている。したがってこれらの薬剤の再発予防に関する効果は不明である

 

よってAmerican Gastroenterological Associationのガイドラインではこれら三つの薬剤を大腸憩室炎再発予防に投与することを推奨していない(22)

 

 

 

食事および生活習慣が大腸憩室炎の発症に関連する。食事および生活習慣への介入が憩室炎の再発リスクを減らす可能性がある(36)。 憩室炎既往のある患者ではhigh-fiber dietあるいはfiber supplementの摂取、red meat摂取の減量、aspirin以外のNSAIDsを避ける、禁煙、適正体重の維持、定期的な運動、等が推奨される

 

オピオイドやコルチコステロイドも憩室炎の発症に関連するため、既往のある患者では避けるべきである(37)

 

 

いくつかのstudiesではビタミンDの値が低い、あるいは紫外線暴露の低い地域に住んでいる人は大腸憩室炎のリスクが高まることが示されている(16)。よって再発性憩室炎患者においてはビタミンD値のモニターや補足投与が考慮される 

 

 

 

 

 

 

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IN THE CLINIC

1 May 2018 Volume 168 Number 9