医師として成長し続ける方法
研修医などの若手が己の研鑽に熱心なのはそれほど珍しいことではないが、それをその後も長く維持し続けることはなかなか大変だと思う
大きな声では言えないが、一度免許を取って研修さえ終了してしまえば、究極それ以上自分をアップデートしなくても働き方さえ問わなければ、どこかで何とかなってしまう仕事である事にも関係していると感じる
家族ができ時間の使い方を見直す場面に直面することも影響する場合があるかもしれない
成長の継続で良い方法の一つは後進の指導に携わり続けることだろう
研修指定病院で指導医として働き、研修医達からの評価が悪いと首にされるシステムに置かれれば当然己の知識・技術の向上に努めざるを得ないだろう。あるいは希望と不安に満ちた若い人々から日々受ける刺激の影響も大きいかもしれないが
ではそのような環境でない場所、つまり言い方は悪いが、いくらサボっていても周りからあまりお叱りを受けないようなポジションで働いている医師はどうすればよいのだろうか
どうやってモチベーションを維持していくのか
イチロー選手がシーズン安打数世界記録を更新した後のインタビューで
”野球がまだ上手くなりたい、これは数字には表れづらい自分だけの楽しみ
そうやって前に進む気持ちがあれば楽しみはいくらでもある”
と語っていた
おそらくこれが”答え”なのだろう
つまり
純粋に医師としての仕事が好きであること、そしてささやかな自分の成長を喜べること
そうなればいいのである
と言ってしまえば簡単である
実際そういう立派な人も多いだろうが、自分なんかは仕事が好きかと問われれば、一応「はい」とは答えるかもしれないが、正直多少の建前や自己暗示などの含みが入ってしまう事を否定できない
ならやめてしまえ、とお叱りを受けそうだが、実際楽しいことばかりではないし、寝ても覚めても医療の事を考えてもいなければ、病院に行きたくて行きたくてうずうずする、なんて事もそうないのである
プロフェッショナルとして一定の基準を満たしていれば、それでも良いと自分に言い聞かせている
そんな純粋でない自分のような医師が成長し続ける、あるいはそのための努力を継続していくにはどうすればよいか
残念ながら自分にはまだその答えがない
おそらくこれは一生の課題なのだろう
出来る事ならそれを達成している方々に尋ねて回りたいくらいである
ただ現在多少考えているのは
人間の気分なんて変わりやすいものだからモチベーションによらず成長し続けるシステムを構築すること
そのシステムは患者のみならず、他の人からの刺激やフィードバックを得られるものにすること
のようなことが大切だろう、と感じている
例えばこのブログなんかもそれに当たるかもしれない
「月に一回米国雑誌のレビューを和訳して載せることを決める」
別に大した事ではないけれど、それを継続することで自分の知識をアップデートしていく事ができる。そして閲覧する人の数が多少増えていくのを見ると、やはり続けていく動機に繋がっていく
みたいな感じに
おそらく他にもいくらでもあるだろう
勉強会を定期主催する、学会発表のノルマを課す、本を出版する、一般の人への教育講演を定期開催する
などなど
成長し続けている人々を観察しヒントを得ていきたい
とにかくそのような方法を模索しながらも、少しずつでも前に進み続け、ささやかでも自分の成長を喜べる医師、そんな風になれればいいなぁと思っている