急性膵炎
急性膵炎は膵臓の急性炎症で単発あるいは再発のイベントとしておこる
急性膵炎は軽度の炎症による軽い間質性の膵炎から広範囲の膵壊死によって多臓器不全を起こすものにまでわたる疾患である
診断は3つの特徴のうち少なくとも2つ以上認めることに基づいて行われる:特徴的な腹痛、正常上限3倍以上の膵酵素上昇(アミラーゼと/あるいはリパーゼ)、画像検査による特徴的な所見(1)
アルコール多量摂取と胆石が最も多い原因の2つであるが、他にも頻度が比較的低いが原因となるものが多数ある
急性膵炎による死亡率は5%以下であるが、中等症から重症の場合はより長い入院を必要とし、より高い死亡率へとつながる(2)
予防
急性膵炎の最たる原因は胆石(およそ35〜40%)と過剰アルコール摂取(およそ30%)である(3)
胆石症は米国で最も多い疾患の1つで、膵炎において胆石、胆泥、微小な結晶(microlithiasis)として発症しうる(4)
症候性あるいは無症候性胆石あるいはmicrolithiasisの患者が膵炎を発症するかを予測することは難しい。1つのリスクファクターは総胆管に結石を認める、特に2mm以下の場合(microlithiasis)である。十二指腸膨大部の膵管開口部に嵌頓する可能性があるからである
膵炎のリスクを減らすために、症候性胆石の患者は通常胆嚢摘出術を受ける必要があり、また総胆管結石を認める場合はたとえ無症状であってもERCPにて除去する必要がある。ウルソデオキシコール酸などの薬剤による溶解療法は膵炎予防に対する有効性が認められていない
アルコール関連膵炎は通常長期間(10年以上)の多量アルコール摂取によっておこる。リスクは摂取量によって上昇することより、アルコールの代謝物が膵臓に対し直接毒性作用を持つことが示唆される。アルコール使用障害患者の5%だけが膵炎を発症することより、その感受性を高める知られていない遺伝的素因や他の因子がある可能性が考えられる。例えば喫煙はアルコール性膵炎の進行を促進するという報告がある(5)。膵炎を発症するために必要なアルコール1日摂取量は明らかではない。1つのスタディではビールの多量摂取(週に14 drinks以上)との関連が認められたが、ワインや蒸留酒との関連が認められなかった、と報告している(6)
高トリグリセリド血症も重要なリスクファクターであり、重症へ進行する最も高いリスクとされている(7)。どの高トリグリセリド血症患者が膵炎を発症するかというリスクプロファイルは明らかでないが、高度に上昇していない場合の発症は稀である(通常1000mg/dL以上)(8)
いくつかの薬剤が急性膵炎の発症に関連しているが、そのリスクは低い。薬剤誘発性急性膵炎を発症したように見える患者も、特定の薬剤に起因すると決定する前に他の膵炎の原因の可能性を評価しなければならない。薬剤誘発性膵炎はその薬剤投与の過敏性反応として、あるいは投与開始後間もなく、あるいは長期使用した後の反応として、などといつの経過でも起こりえることを知っておく必要がある。しかし多くの場合は投与開始後間もなくおこることが一般的である。薬剤誘発性膵炎は以前に考えられていた以上に頻度が少なく、薬剤誘発性の明らかなエビデンスがない限り必須の薬剤は継続できることが多い(9)
重要な医原性リスクファクターにはERCPがある。ERCPに関連するリスクは2〜20%で、経験レベルなどの術者関連因子、施術適応(特にオッディ括約筋不全)、女性、ERCP関連膵炎の既往などに影響される(10)。発症は周術期のインドメタシン直腸投与によって減少し(インドメタシン投与群9.2% vs プラセボ群16.9%)(11)、また予防的膵管ステントによっても減る可能性がある
説明のできない急性膵炎の稀な原因には癌、粘液性嚢胞腫などによる閉塞、外傷歴、回虫、トキソプラズマ、クリプトスポリジウムなどの寄生虫やウイルス(サイトメガロ、EB)による感染などがある。血管炎や2型自己免疫膵炎などの自己免疫機序も確認されている
診断
病歴と身体所見
最もよく見られる症状は腹痛で、典型的には心窩部におこり背部へと放散する。疼痛は強く持続性で軽減因子および増悪因子がなく、嘔気嘔吐を伴うことが多い。時に疼痛は臥位で悪化し、座位で軽減する
急性膵炎を疑う場合は詳細な病歴によって原因を評価する必要がある。胆石による胆嚢摘出術の既往があって飲酒歴がない、あるいは少量の場合は残存する総胆管結石あるいはmicrolithiasisに起因する膵炎の可能性が上がる
アルコールおよび喫煙のタイプ、量、頻度の詳細な病歴聴取が大切となる
注意深い病歴聴取によって脂質異常症、腹部外傷、以前の似たようなエピソード、ERCP歴、体重減少や食欲不振などの悪性疾患の兆候、などを評価する必要がある
可能性のある起因薬剤とその使用時期にフォーカスした詳細な薬剤服用リストのレビューを行わなければならない(12)
身体所見
身体所見では体液量および重症度を評価するため脈、血圧、呼吸数を測定しなければならない
頻脈と血圧低下はより重症なケースで血管内容量低下を示唆する
SIRSの発症によって発熱がよく見られる
黄疸は胆管閉塞を示唆する
腹部は蠕動音の聴診、疼痛部位、腹壁防御(通常重症)、反跳痛、腹部膨隆などにフォーカスした詳細な診察が必要になる
膵臓が後腹膜腔に位置するため腹膜刺激兆候は認められないことが多い
蠕動音消失を伴う膨隆は多くの場合イレウスを示唆する
側腹部の斑状出血(Grey Turner sign)や臍部周囲の斑状出血(Cullen sign)は膵壊死による腹腔内出血を示唆する。両者とも稀である
意識障害もより重症膵炎を示唆し、敗血症、低酸素血症、電解質異常、アルコール使用などによっておこるかもしれない
多臓器不全は膵壊死など差し迫る合併症を伴う重症膵炎を示唆する
胆石の存在、発熱、右上腹部の疼痛、黄疸(Charcot biliary triad)は胆管炎を示唆するが、急性膵炎の炎症によるものだけであるかもしれない
血液検査
血清アミラーゼと、あるいはリパーゼが正常上限の3倍以上に上昇することが急性膵炎診断の鍵となる
アミラーゼは感度が高いが特異度が低く、偽陽性率が高くなる(13)。血清アミラーゼ上昇の他の原因には唾液腺および卵管の疾患、腸虚血、穿孔性消化性潰瘍、慢性腎臓病などがある
リパーゼはアミラーゼに比べて、アルコール性膵炎の場合や、上昇が持続することより患者が救急外来を発症から数日遅れて受診した場合などは、より感度と特異度が高い
しかしリパーゼも腎不全、頭部外傷、頭蓋内腫瘍、ヘパリン投与中(リポプロテインリパーゼの活性によって)などの場合には偽性に上昇する可能性がある(14, 15)
血清リパーゼの上昇はICUの重篤な患者においてもよく見られる(16)
アミラーゼとリパーゼを同時に評価しても診断の正確性が上がらないようである(13)
上昇レベルが重症度を反映せず、間違った治療の意思決定につながりうるため連続して測定する必要はない
48時間後の血清CRPは重症度を最も反映する
肝酵素は胆石膵炎の評価のためルーチンで評価される必要がある。ALT(150IU/L以上)の上昇は胆石が急性膵炎の原因であることの陽性的中率95%および特異度96%であるが、感度が50%以下である。ASTの正確性も同等である(17)。胆管炎に関連する直接ビリルビンの測定も重要である
トリグリセリドも測定しなければならない。1000mg/dL以上の場合は膵炎の原因となり、重症である場合が多い。急性膵炎においては膵の炎症による二次性脂肪血症のためにトリグリセリドが1000mg/dL以下に上昇している場合もよく見られるが、その場合は高トリグリセリド血症を膵炎の第一原因として混同してはならない
白血球上昇は通常急性の膵炎症のみによっておこり、それのみで感染の兆候とはならない
ヘマトクリットとBUNの上昇は血液濃縮を表す可能性があり、体液喪失を示唆し、重症度の指標となる(18, 19)
BUNの早期の変化が初期輸液治療に対する反応評価で最も役立つ指標となる(20)
不安定な患者におけるヘモグロビンの急な低下は出血性膵炎を示唆する可能性がある。循環している膵酵素あるいは血管障害による凝固因子の消費によってDICを発症する場合もある
画像検査
最初の画像検査として選ばれるのは超音波検査である。すぐに利用可能、非侵襲的、低費用、胆石の診断に比較的感度が高い(90%以上)からである。胆石の存在、総胆管拡張があれば膵炎の原因として胆石の可能性が示唆されるが、遠位総胆管と膵臓体部および尾部は腸管ガスのためにはっきりしないことが多く、超音波による胆石膵炎の診断は感度が限られる
詳細な病歴、身体診察、血液検査にて急性膵炎の診断がはっきりしない場合はcontrast-enhanced, thin-sliced, triple-phase CTによって膵臓の優れた画像が得られ、他の腹痛の原因も同定できる
CTはまた膵炎の重症度の評価にも有効で、壊死(感染を伴うあるいは伴わない)、偽嚢胞形成、血管性および膵外合併症などの評価を行うことができる(21)
CTは初期の段階では膵炎の兆候および合併症を確認できない可能性があるので、入院時に診断が疑わしい場合を除いては推奨されない。さらには造影剤が腎不全を悪化させる可能性もある
造影剤アレルギーの場合はMRIが膵炎の診断および合併症評価のためのより費用がかかる代替の画像検査となる。胆嚢および総胆管のmicrolithiasisまた膵管の途絶の検知により感度が高い(22)
腎機能障害の場合は造影なしのMRIが壊死を検知し、T2-weighted imageに基づいて胆管と膵管の明瞭な画像が得られる
他の画像検査の中でMRCPは非侵襲的で、胆管結石への感度が高く(90%以上)、膵管癒合不全、膵管異常、輪状膵、粘液嚢胞腫などの他の解剖学的異常を同定することができる(23)。また残存する結石やデブリを除外することができる
内視鏡的超音波検査は胆管内の小さな結石(5mm以下)、もとから存在する慢性膵炎、膵管を閉塞する小さな腫瘍、膵炎の原因となる他の解剖学的異常への感度・特異度が高い(24)。MRIより侵襲的であるが、より小さな結石を検知し、MRIが施行できない場合(重篤な患者あるいはペースメーカーがある場合など)に施行される(25, 26)
重症度
急性膵炎は様々な発症様式、予想がつかない経過、集中治療必要性の有無の評価などから重症化および死亡リスクが評価されなければならない
Atlanta Classification of Acute Pancreatitisが1992年に作成され、不均一な診断基準および重症度評価を標準化するために2012年に改訂された(1)
この基準は膵周囲液体貯留などの局所的合併症の存在、臓器不全の有無に大きく依存しており、急性膵炎重症度評価のgold standardとみなされている
Atlanta Classification for Severity of Acute Pancreatitis(改訂)
軽症急性膵炎
呼吸器、循環器、腎臓を含む膵外臓器不全の欠如
局所的合併症(★)あるいは全身性合併症の欠如
中等症急性膵炎
以下を含む合併症が存在
膵周囲液体貯留あるいは膵周囲壊死
持続しない全身性合併症
重症急性膵炎
臓器不全が48時間以上持続(☆)
★偽嚢胞あるいは膵壊死
☆急性呼吸不全(PaO2-FIO2 ratio < 400)、ショック(収縮期血圧90mmHg以下)、腎不全(クレアチニン 1.4mg/dL以上)
死亡のピークは通常発症1週間以内と発症2〜6週以降にある。最初の週において疾患重症度は通常臓器不全の程度に反映される。その後は感染、血栓症、液体貯留などの局所的合併症の存在によって死亡率が予測される
初期診療では臓器不全の可能性を評価しなければならない(27, 28)
単一臓器不全から多臓器不全への進行は死亡率上昇の指標となる(29, 30)
凝固障害は予後不良を示唆する。血小板が100 x 10⁹ cells/L以下、フィブリノーゲン100mg/dL以下、fibrin split productsが80μg/mL以上の場合などである
同様に低血清カルシウム値(7.5mg/dL以下)も予後不良を示唆する
Atlanta criteriaは局所的合併症(急性膵および膵周囲壊死)の発症も重症膵炎を示唆するものと評価している。膵壊死はCTスキャンによって3cm以上あるいは膵臓の30%以上が灌流不良、造影不良として描出される(1)
膵液体貯留は原因とタイミングによって4つのタイプに分類される
急性の膵液体貯留あるいは膵周囲液体貯留と急性壊死性貯留は4週間以内に発症し、被包性の壁を形成しない。急性の液体貯留は間質性膵炎から発症し、急性壊死性貯留は壊死性膵炎から生じる
4週間以後は急性液体貯留は膵偽嚢胞内に発症し、被包性壁を有するが固形のデブリは含まない。急性液体貯留は通常消失するため偽嚢胞は実際稀である。しかし急性壊死性貯留は壁で囲まれた壊死を形成し、固形のデブリを含む
治療法が大きく異なるため膵の液体貯留の適切な分類が重要である
急性膵炎の経過初期における重症度評価の様々な基準が作成されてきた。Ranson基準、APACHE II/IIIスケール、modified Glasgow prognostic基準、Bedside Index for Severity in Acute Pancreatitisスコア、modified CT severity indexなどである(31ー38)。しかし初期に中等症から重症に進行する患者を同定するマーカーや基準で高い陽性的中率を有するものはない
アミラーゼやリパーゼの値は急性膵炎の重症度を反映しないが、重症患者における24時間後および48時間後のCRPが150mg/dL以上の場合は臓器不全および死亡リスク上昇との関連が認められている(39)。入院48時間後にSIRSが持続することも重症度予測の指標となる(40)
治療
急性膵炎の患者は重症度と進行を評価するまで入院にて十分観察しなければならない
必須の治療は積極的な静脈輸液、液体および固形物の経口摂取中止である
多くの場合静脈注射による疼痛管理が必要になる。典型的にはオピエートが使われ、呼吸抑制などの副作用をモニターしなければならない
複数回の既往があり軽症で安定している患者は外来にて管理される場合もある(41)
適応となればERCPのようなテストが通常入院にて施行される
重症膵炎は入院による厳重なモニタリングが必要となり、臓器不全がおこった場合はICUに転送されなければならない(42)
高齢患者で心血管疾患の既往がある場合は、ICUにて積極的な輸液投与が行われなければならず、より正確な体液モニタリングのために中心静脈カテーテルが必要になるかもしれない
BMIが高く(30kg/m²以上)、尿量低下(50mL/h以下)、頻脈(120 beats/min以上)、酸素飽和度90%以下、脳症の兆候、さらなる麻薬治療を要する、などの場合は特別なモニタリングユニット(必ずしもICUではない)への転送を考慮しなければならない
体液管理
炎症メディエーターによる透過性上昇、サードスペースへ失われることによる血管内ボリュームの低下がおこるため急速輸液は急性膵炎管理において極めて重要となる(19)
血管内ボリュームの低下によって膵臓の灌流が低下し膵壊死や腎不全などの合併症がおこる
輸液投与はバイタルサインに基づいてガイドされなければならない。臨床的評価(頸部静脈、肺鬱血)、尿量、12時間、24時間におけるヘマトクリットの変化などである
SIRSを緩和しCRPを下げることをサポートする臨床試験データより、乳酸リンゲル液が生理食塩水よりも有効なようである(43)
診断がつき次第できる限り速やかに急速輸液を開始することが重要である
栄養
軽症膵炎では多くの場合栄養サポートが必要ない。疼痛、嘔気、嘔吐が軽減すれば、経口栄養が開始できる
低脂肪食にて開始し、疼痛の変化および嘔気、嘔吐をモニタリングする
画像所見の改善、アミラーゼおよびリパーゼの正常化は回復の予測に役立たないため、食事は患者の症状に基づいてアドバンスしていくべきである
壊死リスクのある中等症から重症の膵炎患者では、早期経腸栄養にて明らかな死亡率低下が認められているため、できる限り早く経腸栄養を始めるべきである
経静脈栄養に対する経腸栄養の主な利益は腸から炎症を起こしている膵臓へのbacterial translocationによる感染性膵壊死などの感染合併症の低下させることである
患者が耐容できれば入院後72時間以内に低脂肪食を開始することができる
重症患者あるいはイレウスなどで経腸あるいは経口栄養に耐容できない患者では経静脈栄養が必要になる場合もある
他の補助治療
酸素投与は急性膵炎の初期におこる急性呼吸促迫症候群を減らすかもしれない
疼痛管理は治療のもう一つの要である。急性膵炎による疼痛の重度および経口摂取不能であることが多いことより、麻薬経静脈投与が必須となる。オピエートが通常2〜4時間毎に投与される。間欠的投与による疼痛管理が不十分な場合はpatient-controlled analgesia pumpが使用される場合もある
モルヒネは理論上オッディ括約筋圧を上昇させ、膵および胆管から腸管への流れを低下させる可能性があるが、それは臨床試験によって確認されていない
急性膵炎の疼痛管理にはフェンタニル、ヒドロモルフォン、モルヒネが最もよく使われる麻薬である
抗菌薬
軽症間質性膵炎、または無菌性壊死を伴う中等症から重症膵炎であっても抗菌薬投与は推奨されない
感染合併症を減らすための予防的抗菌薬投与をサポートするスタディはない。コクランレビューでは抗菌薬投与によって壊死性膵炎の感染を予防する、あるいは死亡率を下げる利益は認められない、としているが、βラクタムイミぺネムのみは膵の感染を有意に下げる可能性があるとされている(44)。レビュアーは予防的抗菌薬を推奨するにはより良くデザインされたスタディが必要であると結論している
胆管炎、感染性膵壊死、感染性膵液体貯留には抗菌薬投与が必要になる。セプシスあるいは感染が疑われる場合は、培養、胸部画像検査を含む発熱評価をしなければならない。必要あれば膵壊死部位のCTガイド下による穿刺吸引にて細菌および真菌培養を行わなければならない
もし検査結果が陰性でも敗血症、臓器不全、膵の30%以上が壊死している場合には抗菌薬投与を継続する必要がある
感染性膵壊死は培養に基づいて抗菌薬を選択しなければならない。グラム陰性菌の選択薬としてはイミぺネム、メロぺネム、メトロニダゾールを伴うオフロキサシン、シプロキサシン、第三世代セファロスポリンなどがある
感染性膵壊死を認める患者では治療反応の評価に対する注意深いモニタリングが必要である。多くは侵襲的治療を必要とせず薬剤治療にて改善する
膵液体貯留に対するマネージメントは最小の侵襲的ドレナージとデブリードマンの施行によって過去10年の間に大きく変わっている。膵液体貯留は多くの場合自然軽快するため、症状(疼痛、内腔閉塞、感染)がある場合のみ治療介入が必要となる
急性液体貯留および壊死性液体貯留においては介入を遅らせることが基本的な考え方となっている。それによって被包性壁が成熟するためである。これは通常膵炎発症後3〜4週間まではおこらない。一旦被包性壁が形成されたら、偽嚢胞に対するドレナージ術および壊死性貯留に対するデブリードマンが施行される
向上した有効性、低い合併症率、低コストによって外科的手技よりも最小の侵襲性内視鏡的ドレナージおよびデブリードマンが好まれる(45, 46)
胆管結石による胆石膵炎が疑われる場合はERCPが必要になるかもしれない
胆石による軽症間質性膵炎の患者は退院前に胆嚢摘出術を行う必要がある。手術を行わなかった場合、退院後に再発する可能性が50%もあるからである(47)
ERCP
残存する胆石による胆道閉塞が画像にて認められる場合はERCPによる胆道括約筋切開術と胆石除去の適応となる
胆管炎が疑われる場合は緊急ERCPが適応となる
胆管炎の基準が満たされない場合、早期のERCPによる合併症のリスクが高まることが示されている(48)
膵管途絶による複雑性急性膵炎患者ではERCPによる膵管ステント留置術が有効であるかもしれない
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2021年2月9日