レジデントノート

米国にて内科修行中。何ができるか模索している過程を記録していく

虚血性心疾患

Stable Ischemic Heart Disease 

 

 

 

Stable ischemic heart disease(虚血性心疾患)は多くの国で死亡原因の第一位であり、多大な医療費を要し、米国では年間およそ数千億ドルにものぼる(1)

 

酸素需要と血液供給の不均衡によって起こる虚血性心疾患は通常medium-sized血管の動脈硬化性閉塞に起因するが、微小血管の機能不全によっても引き起こされる

 

 

 

診断

安定狭心症は典型的には労作や感情の高ぶりによって惹起され、安静やニトログリセリンによって緩和される。それに対し、不安定狭心症は安静時に明らかな要因なく起こり得る。急性冠症候群には不安定狭心症と心筋梗塞が含まれ、冠血流の急な減少あるいは心筋酸素供給と需要のミスマッチによって起こされる(2)。トロポニンの連続的な測定によって心筋梗塞と不安定狭心症の鑑別が行われる(3)

 

 

 

不安定狭心症

安静時狭心症:安静時に起こり、通常20分以上持続

新たに起こる重度の狭心症:2ヶ月以内の重度な発症

増悪する狭心症:以前に診断された狭心症の発症パターンが増悪(強さ、持続時間、頻度)

(2)

 

 

冠動脈疾患の可能性を推定する意義は、狭心症の可能性の低い(通常5%以下)患者を同定することによって、胸痛の原因を冠動脈疾患以外の疾患にフォーカスした評価を行うことで利益が得られることである。まず患者の年齢、性別、狭心症のタイプを評価する事から始めるが、喫煙歴、脂質異常症、高血圧、冠動脈疾患早期発症の家族歴(55歳以下の男性、65歳以下の女性)、これら全ても冠動脈疾患の可能性を高める(4)

American College of Cardiology online calculator(http://tools.acc.org/ASCVD-Risk-Estimator-Plus)(5)

 

 

 

症状を有する患者の冠動脈疾患検査前確率(男/女)

30-39歳 NC:4%/2% AA:34%/12% TA:76%/26%

40-49歳 NC:13%/3% AA:51%/22% TA:87%/55%

50-59歳 NC:20%/7% AA:65%/31% TA:93%/73%

60-69歳 NC:27%/14% AA:72%/51% TA:94%/86%

 

NC: Nonangina Chest pain、AA: Atypical Angina、TA: Typical Angina

(6)

 

 

 

胸痛

典型的狭心症(Typical angina)

・性質および持続時間が典型的な胸骨下の不快感

・労作や感情によって惹起される

・安静あるいはニトログリセリンによって緩和される

 

非典型的狭心症(Atypical angina)

 上記基準の二つを満たす

 

非狭心症性胸痛(Nonangina chest pain) 

 上記の基準を満たすものが一つ以下

(4)

 

 

 

胸痛の原因となる他の疾患

非虚血性心血管疾患

 大動脈解離

 心膜炎

 血栓症

 気胸

 肺炎

 胸膜炎 

消化器

 食道

 ・食道炎

 ・痙攣

 ・胃酸逆流

 胆道

 ・疝痛(colic)

 ・胆嚢炎

 ・胆石

 ・胆管炎

 消化性潰瘍

 膵炎

胸壁

 肋軟骨炎(costochondrosis)

 線維炎(fibrositis)

 肋骨骨折

 胸鎖関節炎(sternoclavicular arthritis)

 帯状疱疹(皮疹発症前) 

精神

 不安障害

  ・過換気

  ・パニック障害

  ・不安

 情動障害 (affective disorder)(うつ病)

 身体表現性障害 (somatoform disorder)

 思考障害 (thought disorder)(固定妄想)

(4) 

 

 

 

 

予備検査

 

心電図

虚血性心疾患を疑う全ての患者に安静時心電図を行う必要がある(4)。多くの患者では正常であるが、病理学的Q波は以前の梗塞を示唆し、また特定の心電図異常はどのストレス試験を行うかの決定の助けとなる 

 

胸部レントゲン写真

心臓以外に起因する胸痛かが明らかでない場合は胸部レントゲン写真を撮る必要がある。狭心症患者では多くの場合正常であるが、予後を悪くする鬱血性心不全を示唆する所見や、狭心症以外による胸痛の原因を示唆する所見が確認できる場合がある

 

心臓超音波検査

心臓超音波検査は虚血性心疾患を疑う全ての患者には適応とならない。 しかし、心不全や弁膜疾患を示唆する症状や所見、心筋梗塞の既往、心電図上、心筋梗塞の既往を示唆する病理学的Q波や心筋症の可能性を示唆する心室性不整脈(complex ventricular arrhythmia)などを有する場合は考慮しなければならない(4, 7)

 

 

 

 

診断的検査

虚血性心疾患を疑う患者のさらなる診断的検査の選択はいくつかの因子によって影響される。患者の運動耐容性、検査結果の評価に影響しうる安静時心電図異常の有無、患者の虚血性心疾患の可能性(検査前確率)が考慮されなければならない(6)。非侵襲性検査の目的は虚血性心疾患の患者を同定し、予後を評価することである。検査の価値は診断がより不確かな場合に高くなる(例えば検査前確率が20〜80%の時)。検査前確率が非常に低い場合はさらなる診断的検査は一般的に適応とならず、偽陽性の可能性を生み出す

  

 

 

ストレステストは非侵襲的検査で最もよく行われる検査である。ストレスの種類(運動か薬物)および虚血を評価する方法(心電図、超音波、SPECT、PET、MRI)を選択しなければならない

 

運動可能で心電図が評価可能である中等度リスクの患者では画像検査を伴わない運動負荷心電図から開始することを現在のガイドラインは推奨している(Class I, level of evidence: A)(4)

 

評価可能な心電図とは、左室肥大とそれに伴う再分極異常、左脚ブロック、心室ペーシング、ジギタリス効果、Wolff-Parkinson-White syndrome、安静時の1mm以上のST低下、これらを認めないものとされる

 

 

運動負荷心電図は最大運動量の間にJ pointから80ms後のST部分が水平型あるいはダウンスロープ型に1mm以上低下すれば虚血陽性と評価される

 

運動負荷心電図の閉塞性冠動脈疾患に対する感度は61%であり、逆に言えば39%の冠動脈疾患患者が陰性となる

 

感度は疾患が重度なほど高くなり、軽度なほど偽陰性となりやすい

 

男性に比べ女性の方が感度が低くなる

 

上記などの理由によって、運動負荷心電図のみでなく画像検査を追加することを好む循環器科医師もいるが、ガイドラインでは強くは推奨されていない(class IIa)(4)

 

運動負荷心電図は冠動脈疾患の可能性を示唆するのみでなく、冠動脈疾患がある場合の予後に関する情報も提供する。症状を認めない運動時間が長いほど心血管死亡率が低くなり、またST部分の低下の程度に比例して、あるいはST部分の上昇を認める場合は予後が悪くなる(8)

 

 

Duke Treadmill Score

(運動時間 (分)) ー(ST部分の最大偏位 (mm) X 5 )ー (0 (胸痛なし) あるいは 4 (運動時に胸痛) あるいは 8 (胸痛によって運動を停止) )

 

点数が5点以上の場合は低リスク(1年死亡率 0.25%)、4 〜 −10点は中等度リスク(1年死亡率1.25%)、− 11点以下は高リスク(1年死亡率5.25%)

(8)

 

 

運動不能な、あるいは適切な検査結果を得られる程十分な運動ができない患者ではストレステストとして画像検査を伴う薬物学的負荷が行われる

 

心臓超音波が画像検査として使われる場合は負荷としてdobutamineがよく使用され、SPECTが使われる場合は血管拡張薬としてregadenoson (Lexiscan)やdipyridamoleが使用される

 

画像検査の選択は多くの因子に影響される。超音波は被曝が避けられ、弁膜機能やfilling pressureに関する情報が得られる。一方SPECTの方が肥満患者ではより質の高い画像情報が得られる

 

検査の感度は超音波とSPECTでそれほど大きな差はなく、公開されている感度(published values of test sensitivity) よりも、各施設での技術や経験の利用可能度に基づいて検査を選択することが妥当である(4)

 

Nuclear PET perfusionは従来のSPECTよりも感度が高く、coronary flow reserveを推定することで予後に関する情報をもたらす(9, 10)

 

左脚ブロックを認める、あるいは心室ペーシングを行なっている患者では超音波検査は推奨されない。なぜなら心臓の電気活動の異常が心室中隔(左前下行枝領域)における虚血の評価を妨げるためである

 

 

冠動脈CT血管造影(coronary computed tomography angiography (CCTA))はストレステストの代替となる非侵襲的検査で心機能でなく解剖学的情報が得られる。この検査は運動不能な患者に使用でき、先天的な冠動脈奇形などの非閉塞性冠動脈疾患の評価も行える利点がある

 

二つの大きなrandomized controlled trialsで症状を有する虚血性心疾患のマネージメントとしてCCTAを使うことが評価された。PROMISE (Prospective Multicenter Imaging Study for Evaluation of Chest Pain) trialでは平均年齢60.8歳、閉塞性冠動脈疾患の検査前確率53% ± 21%の症状を有する10003人(53%が女性)の患者を無作為にCCTAとストレステストに割り当てて行われた。両群において死亡、心筋梗塞、不安定狭心症による入院、検査の主要な合併症に有意差が認められなかった(11)

 

SCOT-HEART (Scottish Computed Tomography of the Heart) trialでは平均年齢57.1歳で安定した症状を有する4136人(44%が女性)が標準的治療にCCTAを追加するグループと追加しないグループに無作為に割り当てられて行われた。5年間において、CCTAが追加されたグループではcombined primary end point(冠動脈疾患による死亡あるいは非致死的心筋梗塞)が低いことが確認された(12)

 

 

 

虚血性心疾患を疑う患者における非侵襲的検査の選択

虚血性心疾患の疑い

ー>急性冠症候群の疑い①

① Yes ー> ACC/AHA NSTE-ACS guideline

① No ー> 胸痛の性状や併存する心疾患や他の疾患を含むリスクアセスメント

ー> 患者は運動できる②

② No ー>虚血性心疾患が既に診断されている③

③ No ー> CCTA

③ Yes or No ー> pharmacologic echo

③ Yes or No ー> pharmacologic MPI

② Yes ー> 虚血性心疾患が既に診断されている④

④ Yes ー> exercise with MPI or echo

④ No ー> 安静時心電図は評価可能⑤

⑤ No ー> exercise with MPI or echoあるいはCCTA

⑤ Yes ー> 虚血性心疾患の検査前確率⑥

⑥ 低〜中 ー> standard exercise ECG

⑥ 中〜高 ー> exercise with MPI or echoあるいはCCTA

 

ACC: American College of Cardiology, AHA: American Heart Association, CCTA: coronary computed tomography angiography, MPI: myocardial perfusion imaging

 

 

 

 

 

侵襲的冠動脈造影

狭心症症状を有し、症状およびリスクファクターに基づいて評価された虚血性心疾患の可能性が高い(90%以上)患者においては非侵襲的検査の意義は低くなる。その場合においては、非侵襲的検査の感度および特異度は検査結果が陰性であっても虚血性心疾患を除外できる程十分ではない。そのような患者においては、特に狭心症治療がすでに行なわれている場合は、侵襲的冠動脈造影検査を直接行うことが適切となる(13)。また致死的不整脈や理由が明らかでない左室駆出率低下を認める場合も虚血性心疾患診断の最初の検査として侵襲的冠動脈造影を行うことが適応となる

 

 

既に冠動脈疾患の診断がついている患者においては、特に最大限の抗狭心症治療を受けている場合は、画像を伴うストレス検査を行うことで、血管再建のターゲットとなる可逆的な虚血を認める心筋部位を同定することが可能となる(13)。この場合は心臓MRIやPETがCCTAよりも有効である

 

 

 

 

冠動脈閉塞を認めない虚血性心疾患

狭心症を有する患者の30%までが冠動脈閉塞を認めない。これは特に女性に多く認められる(14)。これらの患者のうち50〜65%が微小血管機能障害(microvascular dysfunction)と考えられている。心臓MRIやPETによってその診断能力が向上した(15)。狭心症を有するがストレステスト陰性の患者、およびストレステスト陽性であるが侵襲的冠動脈造影やCCTAにて冠動脈閉塞を認めない患者においては、虚血イベントのリスクが高くなる可能性があり、薬物的治療が考慮されるべきである(15, 16, 17)

 

 

 

 

 

治療 

治療ゴールを虚血イベントの予防(心筋梗塞や脳卒中など)と狭心症の緩和の二つに分けることは有用である。なぜなら全ての治療が心筋梗塞や脳卒中を減らすわけではないからだ。たとえば、安定した病変に対する経皮的冠動脈再建術は症状は緩和しても、心筋梗塞を予防しないことがrandomized trialsによって示されている

 

全ての虚血性心疾患患者にとって重要な最初のステップで、かつ継続していくマネージメントの中核をなすものは患者教育と生活習慣の改善である。薬物治療および侵襲的治療は補助的な役割を果たすものである

 

 

 

患者教育

虚血性心疾患を理解することは難しい。患者は病気の経過と治療ゴールおよび治療オプションに関する教育を受ける必要がある。個々人に対する教育が薬物治療へのアドヒーランスや患者満足度を高めるため、その教育は生活習慣の改善、行動の変容、リスクファクターを減らす治療などに強調をおきながら、患者の予後、リスクファクターなどにフォーカスして行われるべきである

 

安定虚血性心疾患においては性行動も含め身体活動の制限は基本的には必要でない

 

患者は安定虚血性心疾患による狭心症症状は速やかな治療を必要とする不安定狭心症ではないことを知っておく必要がある

 

また患者は急性冠症候群の症状を認める際に何をすべきか知っておく必要がある

 

 

患者教育のポイント 

・安定虚血性心疾患と急性冠症候群の違いを理解

・注意すべき急性冠症候群の症状は安静時や少しの労作で起こる典型的な胸痛であることを強調

・その状況では下記の行動を取ることを説明

 - aspirin 325mgを噛む(あるいは81mgを4錠)

 - nitroglycerin舌下錠を5分おきに3錠まで服用(phosphodiesterase type 5 inhibitorsを24時間以内に服用している場合を除く)

 - 最も近い緊急心血管治療を24時間提供している病院へ急行

・患者家族への心肺蘇生術のトレーニングを提案

 

 

 

 

 

 

Guideline-Directed Medical Therapy (GDMT)

リスクファクターを修正することは行動変容や生活習慣を改善させること以上に重要となる。それぞれのリスクファクターに特有の治療が存在するが、それらの治療を併用することが適切となり、Guideline-Directed Medical Therapyとして知られている

 

 

虚血性心疾患に対するguideline-directed medical therapy

ー>教育および行動変容

 

・血栓症リスク

ー> aspirin 75-162mg/d (clopidogrel 75mg/d if allergic)

ー>残存リスクおよび出血リスク?、最近の心筋梗塞?①

① Yes ー> P2Y12 inhibitorを考慮

① No ー> rivaroxaban 2.5mg 1日2回を考慮

 

・脂質

ー> high-potency statin (atorvastatin ≧40mg/d, rosuvastatin ≧20mg/d)

  LDL≧70mg/dL ー> high riskの場合はezetimibe or PCSK9 inhibitorを追加

  空腹時TG≧150mg/dL ー> icosapent ethyl追加を考慮

 

・血圧

ー> 130/80mmHg以下にコントロール(BB (not atenolol) or ACEI/ARBが好まれる)

ー> 依然BP 130/80mmHg以上

ー> 薬剤追加(狭心症がある場合はamlodipineが好まれる)

 

・血糖

ー> HbA1c≧5.7%?②

② eGFR ≧ 45mL/min/1.73m2

ー> metformin開始 ー>HbA1c≧7.0%? ー> SGLT2 inhibitor or GLP-1 agonistを考慮

② eGFR<45mL/min/1.73m2 ー> HbA1c≧7.0%? ー> 専門家紹介を検討

 

・肥満

ー> BMI≧35kg/m2? ー> 減量手術を考慮

 

・睡眠時無呼吸

ー> CPAPを考慮

 

 

 

 

 

脂質

虚血性心疾患と診断された場合、ガイドラインでは75歳以下の全ての患者に対しhigh-potencyスタチン(atorvastain 80mg/d or rosuvastatin 20-40mg/d)を投与することが推奨されている。75歳以上の患者はmoderate-potencyスタチンを考慮すべきである

 

2018年のガイドラインでは、特によりリスクの高い患者に対し、LDLゴール70mg/dL以下を達成するためにezetimibeを追加投与することが推奨されている

 

複数回の心血管イベントがある、あるいは1回の心血管イベントと複数のリスクファクター(高血圧、糖尿病、喫煙、65歳以上、腎疾患)がある患者においてhigh-potency statinとezetimibeでLDL 70mg/dL以下を達成できない場合は、proprotein convertase subtilisin/kexin type 9 inhibitorsを追加することを考慮する必要がある

 

niacinはもはやLDL低下のために投与することが推奨されていない(5)

 

 

fish oilが心血管疾患に対し利益があるか長い間議論が行われてきた

 

市販のfish oilは比較的用量が低く、スタディにおいて一定して利益を示す結果が得られていないため、心血管疾患の治療として推奨されていない(18)

 

しかし、最近発表されたREDUCE-IT (Reduction of Cardiovascular Events With EPA-Intervention Trial)では高用量の純粋で安定したfish oil(icosapent ethyl)は既にaspirinとスタチンを服用していてLDLが41〜100mg/dL、空腹時triglycerideが135〜499mg/dLの範囲にある虚血性心疾患患者において心血管イベントの相対的リスクを25%減らすことが示された(19)

 

icosapent ethylはU.S Food and Drug Administrationに承認されており、高用量での多くの試験が行われることが期待されている

 

 

 

高血圧

高血圧は冠動脈疾患イベントの重要で独立したリスクファクターである。スタディでは血圧と心血管リスクの連続的な相関関係が示され、収縮期血圧が20mmHgあるいは拡張期血圧が10mmHg上がるごとにリスクが2倍に増えていく(20)

 

17のplacebo-controlled trialsでは拡張期血圧が5-6mmHg、あるいは収縮期血圧が10-20mmHg下がると、心血管死亡率の低下を認め、脳卒中は40%、冠動脈イベントは20%、それぞれ減少することが示されている(21)

 

SPRINT (Systolic Blood Pressure Intervention Trial)では50歳以上の虚血性心疾患患者において降圧剤で収縮期血圧を135mmHgから121mmHgに低下させることによって、主要な心血管イベントを31%減少させることが認められた(22)

 

現在のガイドラインでは安定虚血性心疾患患者に推奨されている血圧のゴールは130/80mmHg以下である(23)

 

狭心症を有する患者では、過度な拡張期血圧の低下は避けるべきである。なぜなら狭心症頻度の増悪との関連が認められているからである(24)

 

 

降圧剤の選択は他の疾患の適応に依存する

 

虚血性心疾患の患者では、狭心症治療としてのcalcium-channel blockers や β blocker(atenololを除く)は血圧コントロールの助けともなる

 

β blockersによる利益は駆出率の低下した患者や心筋梗塞後の患者に限られる。現在のガイドラインにおいては心筋梗塞後3年を超えてβ blockersを継続することは必須とされていないが、考慮されてもよい(23)

 

 

SOLVD (Studies of Left Ventricular Dysfunction) prevention trialでは左室機能の低下した無症状の患者においてenalapril(titrated to 20mg/d)投与によって鬱血性心不全による死亡、鬱血性心不全による入院、死亡と鬱血性心不全のcomposite outcomeを減少させることが示された(25)

 

HOPE (Heart Outcomes Prevention Evaluation) trialでは心血管疾患あるいは、糖尿病と他の一つ以上の心血管リスクファクターを有する患者に対し、ramipril 10mg/d(平均投与期間4.5年)を投与した結果、心血管イベントのリスクを減少させることが認められた(26)

 

上記のtrialsに基づき、ACEIは虚血性心疾患患者の、特に糖尿病、左室機能が低下(EF 40%以下)、慢性腎臓病などの場合は、高血圧治療の第一選択薬となる。ACEIが使用できない場合はARBが投与されるべきである(27)

 

 

 

糖尿病

1型および2型糖尿病は虚血性心疾患のリスクを高め、また他のリスクファクターを増強させる。たとえば、糖尿病患者での冠動脈イベントによる死亡のリスクは以前に心筋梗塞を起こした患者と同等とされている。糖尿病の早期診断、最適血糖値を目指す積極的なコントロール、脂質および他のリスクファクターのマーネージメントが重要となる

 

従来、ヘモグロビンA1c降下治療は小血管合併症(網膜症、神経障害、腎障害)を減少させることには成功してきたが、大血管合併症(脳卒中と心筋梗塞)を減少させることが示されてこなかった。しかし、最近二つのクラスの血糖治療薬が虚血性心疾患および糖尿病を有する患者での心血管利益が認められた

 

sodium-glucose cotransporter-2 inhibitorsで尿路からのグルコース排出を促すempagliflozinとcanagliflozinは心血管イベントを減らすことが示された

 

インスリン分泌を促すglucagon-like peptide-1 receptor agonistsであるliraglutideとsemaglutideは虚血性心疾患患者における虚血イベントを減らすことが認められた(28)

 

2019年のStandards of Medical Care in Diabetesは虚血性心疾患と2型糖尿病を有する患者でmetformin投与にも関わらず血糖ターゲットが達成されない場合はこれらの治療薬を第一選択薬とすることを推奨している(29)

 

American Medical Associationはempagliflozinとliraglutideをこの適応として投与することを推奨している(28)

 

 

 

肥満

食事の改善と運動が行動変容の要であるが、これらが必ずしも体重減少へとつながらない。さらには積極的な生活習慣への介入が肥満患者の、特に2型糖尿病がある場合でさえも、心血管イベントアウトカムを向上させるかは明らかでない(30)

 

肥満を心血管疾患の従来のリスクファクターとして治療できるかの議論が行われている。あるスタディでは中心性肥満が冠動脈疾患のアウトカムを悪くすることが示されている(31)。他のスタディではoverweight (BMI 25-30kg/m2)と一定のobesityの方がアウトカムが良いという”obesity paradox”も示されている。ただそのデータではBMIが35kg/m2以上の場合は最もアウトカムが悪いことも示唆されている(32)。従ってこのグループの患者では、特に2型糖尿病を合併している場合は減量手術に関する話し合いをする必要がある。Roux-en-Y gastric bypassがそのグループにおいて心血管イベントの頻度を減らすことが確認されている(33)

 

 

 

閉塞性無呼吸

continuous positive airway pressureは心血管アウトカムに対し生物学的には利益がありそうだと考えられるが、まだ証明されていない。最近のスタディでも利益が認められなかったが、アドヒーランスのために制限されている可能性も考えられる(34)

 

 

 

 

心筋梗塞および死亡を予防する治療

 

抗血小板薬

血小板凝集がプラーク崩壊に対する血栓反応の中心を担うため、血小板阻害治療は虚血性心疾患患者に推奨される(4)

 

2920人の虚血性心疾患患者でのmeta-analysisではaspirin投与によって重要な血管イベントのリスクが33%低下することが認められた。そのリスク低下には不安定狭心症のリスクが46%下がること、冠動脈再建が必要となるリスクが53%下がることが含まれている(35)

 

従って禁忌がない限り、虚血性心疾患の全ての患者がaspirin投与を受けるべきであり、その投与は無期限に継続される必要がある。投与量は75〜162mg/dが高用量と同等の効果を認め、かつ出血のリスクが比較的低いとされている。aspirinが禁忌の場合はclopidogrel 75mg/dにて治療される

 

 

抗凝固薬

aspirinとwarfarinの併用にて心血管疾患患者の心血管イベントを減らすことが知られているが、出血のリスクがその利益を上回る(36)

 

同様にfactor Xa inhibitorであるrivaroxabanが虚血性心疾患患者での心血管死亡率を下げることが認められたが、出血のリスクも上昇させる(37)。末梢動脈疾患に対するrivaroxabanの他のスタディにおいて、イベントは減らすが出血リスクを上昇させることが認められた(38)

 

これらおよび他のスタディの結果に基づき、虚血性心疾患患者に対し抗凝固薬を使用する場合は注意が必要であり、その期待される利益と出血リスクを注意深く比較する必要がある

 

 

インフルエンザワクチン

虚血性心疾患患者は毎年インフルエンザワクチン接種を受けなければならない(4, 39)

 

 

抗炎症薬

炎症、特にinterleukin-1β / interleukin-6 pathwayが虚血に関与することが知られている。canakinumabはこの経路をターゲットとし、心血管イベントアウトカムを改善することが確認されている。しかし致死的感染およびsepsisのリスクを高める。他のスタディではmethotrexateの心血管疾患に対する利益が認められなかった。FDAはどちらの薬剤も虚血性心疾患治療薬としては承認していない(40, 41, 42)

 

 

代替治療

ビタミンとミネラル投与は冠動脈イベントの予防に推奨されていない(43, 44)。2012年の虚血性心疾患のガイドラインではEDTAキレーション治療(Chelation therapy with EDTA)はclass III(利益なし)とされたが(4)、TACT (Trial to Assess Chelation Therapy) では利益が確認され、2014年にはclass IIaにアップグレードされた(13, 45)

 

 

 

症状緩和治療

β blockers、calcium-channel blockers、nitratesを含むいくつかの薬剤が症状緩和のために利用できる。これらの薬剤は抗狭心症効果としては大きな違いがなく、安全性と耐容性で受け入れられている(46)

 

β blockerが心筋梗塞後の予後を改善し、臨床で使われてきた歴史が長いことより、狭心症症状治療の第一選択薬と考えられている。β blockerに耐容できない、あるいは効果が適切でない場合はcalcium-channel blockerやlong-acting nitrateが代替として使われる、あるいは追加される(47)

 

 

short-acting nitrate

nitroglycerin舌下錠あるいはnigroglycerin sprayが狭心症症状を速やかに改善させるために使用される。舌下のしびれや頭痛などがよく起こるが、それは薬が作用している事の現れであることを患者に伝えておく必要がある

 

 

β blocker 

β blockerが症状緩和の最初の治療薬として投与される。安静時心拍数が55-60beats/minになるようにβ blockerの投与量を調整することを提唱する専門家もいる。全てのβ blockerが症状を緩和すると考えられているが、末梢動脈疾患患者などでは、carvedilolやlabetalolなどのα阻害作用も有する薬剤が、α刺激による血管収縮を防ぐために選ばれるかもしれない(4)。左室駆出率の低下した患者ではcarvedilol、metoprolol succinate、bisoprololが好まれる(48)

 

 

calcium-channel blocker / long-acting nitrate

calcium-channel blockerやlong-acting nitrateはβ blockerが使用できない場合(重度の気管支攣縮)に処方される。nondihydropyridine calcium-channel blocker (diltiazemやverapamil)はその陰性変力作用より左室駆出率の低下した患者では避けるべきである。amlodipineなどのdihydropyridine calcium-channel blockerが好まれる

 

 

ranolazine

ranolazineはlate sodium currentに対する作用を通じて狭心症症状を緩和する。QTc intervalを延長させるため、他のQTを延長させる薬剤を使用している患者では注意を要する。ranolazineは血圧や心拍数に対する作用が少ない。消化器症状が主な副作用である

 

ranolazineはamlodipineに追加した場合に狭心症症状の頻度をおよそ週に1イベント減らすことがERICA (Efficacy of Ranolazine in Chronic Angina) trialで確認されている(49)

 

ranolazineは狭心症症状がコントロールされない場合の追加薬として、あるいは副作用でβ blocker、calcium-channel blocker、nitrateなどが使えない場合などに投与される

 

 

 

冠動脈再建術(revascularization)

冠動脈再建術は虚血症状が悪化する、あるいは薬物治療に抵抗性を示す時に適応となる

 

guideline-directed medical therapy (GDMT)と冠動脈再建術を併用して治療を開始することの方が、まずGDMTから開始し冠動脈再建術をそれに反応しない場合のために温存して治療を行う事に比べ、死亡率あるいは虚血イベントを減らすかどうかははっきりしていない(50)

 

心死亡率と虚血症状のレベルに相関関係を認めたスタディがあり、GDMTと冠動脈再建術を併用した治療の方がGDMTのみの治療よりも虚血症状を改善することを示したスタディもある(51, 52)

 

これらの結果に基づいて、虚血症状を有し左前下降枝近位病変あるいは虚血負荷の大きいmultivessel diseaseを持つ患者に対し、冠動脈再建術とGDMTの併用して治療を開始する専門家もいる。この場合は多くの専門家がpercutaneous coronary intervention (PCI)よりも、より生存率を改善するcoronary artery bypass grafting (CABG)を選択する(4)

 

この論争に決着をつけるのに十分なデータはまだ存在しない。より積極的な薬物治療が行われる昨今において、GDMTのみの治療に比べPCI plus GDMTで治療を開始した方が利益が大きいことを示すrandomized trialはない(53)

 

現在行われているISCHEMIA (International Study of Comparative Health Effectiveness With Medical and Invasive Approaches) trialがその答えを示すかもしれない。このスタディは中等度から重度の症状を有する患者に対し、GDMTと冠動脈再建術の併用、あるいはGDMTのみで治療を開始した場合の比較を調べている。結果は2019年あるいは2020年に出ることが予想されている(54)

 

 

GDMTと冠動脈再建術を併用した方がGDMTのみで治療した場合に比べ、最初は狭心症症状およびQOLをより改善する(50) 。GDMTのみで治療を開始した患者が抵抗性の症状に対して冠動脈再建術を行っていく事で、その当初の違いは時間とともに狭まっていく

 

 

ORBITA (Objective Randomised Blinded Investigation with optimal medical Therapy of Angioplasty in stable angina) trialでは、modest frequencyの頻度の症状を持つ患者をPCIと偽の処置、それぞれを受けるグループに無作為に割り当てて行われた。結果、両者で狭心症の頻度および運動時間に有意差が認められなかった(55)

 

 

これらの結果よりどのように治療を開始するかの問題は解決していないが、適切なGDMTにも関わらず耐容できない症状がある場合には冠動脈再建術を行うことが広く受け入れられており、ガイドラインでも推奨(class IA)されている(4)

 

 

 

 

 

女性

女性は一般的に高齢になるまでは虚血性心疾患の頻度が男性に比べ低いが、心筋梗塞後のアウトカムは男性より悪い。microvascular diseaseや冠動脈攣縮がより多い。安定狭心症症状が最初の症状としてより多く見られ、逆に男性では心筋梗塞や突然死が多い。非典型的狭心症や、呼吸困難などの狭心症を示唆する症状が女性でより多い。女性はaspirinや他の抗血栓治療薬を受ける頻度が男性に比較して低く、冠動脈再建術の頻度も比較的低い

 

 

 

 

高齢者

75歳以上の成人では冠動脈狭窄がより広範囲で重度になる傾向で、3枝病変と左主幹病変が多い。呼吸器、消化器、筋骨格器などの他の疾患の併発が多いため、胸痛の評価が、虚血性心疾患の診断がついている場合でさえ、困難になる。心拍出量の低下、筋力低下、神経障害、呼吸器疾患、関節疾患などの老化に伴う生理学的変化のためにストレステストを行うことがより困難になる。心電図変化、不整脈、左室肥大がより多く見られ、画像を伴わない負荷心電図による評価は難しくなる。これらの理由よりストレステストは画像を使って行うことが一般的に多い。スタディでは高齢者に対しエビデンスに基づく治療が行われる頻度が比較的少ないことが示されており、これはおそらくこの患者群では薬物治療がより複雑になるためであると考えられている。冠動脈再建に関しては合併症のリスクから、より非侵襲的な治療が選ばれる。CABGによる合併症や死亡は高齢者で高くなる

 

 

 

慢性腎臓病 

慢性腎臓病は虚血性心疾患それ自体、虚血性心疾患の増悪、心筋梗塞に対する治療後の悪いアウトカム、などのリスクを高める。このため、薬物の選択および投与量を決める時のクレアチニンクレアランス、contrast-induced nephropathyのリスクスコア、血管造影中の腎保護治療などを考慮する必要がある

 

 

 

 

 

 

 

 

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2019年8月6日