レジデントノート

米国にて内科修行中。何ができるか模索している過程を記録していく

腰痛

 

脊椎変性に関連するよくみられる状態

椎間板変性症

ヘルニアを伴う椎間板変性症(L5およびS1レベルが最も好発)

脊椎管狭窄症(50歳以下では稀)

 

腰痛をきたす脊椎疾患

強直性脊椎炎および体軸性脊椎関節炎(朝のこわばり、運動で軽快、通常40歳以下で発症)

骨髄炎、脊髄膿瘍、脊髄硬膜外膿瘍(発熱、局所圧痛)

脊椎あるいは周辺組織の悪性疾患(転移性腫瘍(前立腺、乳腺、肺))

馬尾症候群(膀胱あるいは腸管機能不全(尿閉が最もよく見られる))

圧迫骨折を伴うあるいは伴わない代謝性骨疾患(骨粗鬆症)

 

腰痛として認識されうる非特異的疾患

腹腔内臓器疾患(消化性潰瘍、膵炎、尿路結石、腎盂腎炎、前立腺炎、骨盤内感染症、腫瘍、大動脈解離、他)

帯状疱疹

心理社会的苦悩

 

 

 

 

画像検査

 

即座の画像検査

放射線検査および血沈

・悪性疾患のリスクファクター(悪性疾患既往を伴う新たな腰痛、悪性疾患の複数のリスクファクター、悪性疾患を強く疑う臨床兆候)

MRI

・脊椎感染のリスクファクター(静注薬剤使用あるいは最近の感染歴および発熱を伴う新たな腰痛)

・馬尾症候群のリスクファクター(新たな尿閉、腸管機能不全、肛門周囲の感覚消失)

・重度の神経障害(進行する運動障害あるいは複数の神経レベルでの運動障害)

 

治療トライアル後に画像検査を検討

放射線検査のみ、あるいは血沈検査併用

・悪性疾患の弱いリスクファクター(説明のつかない体重減少、50歳以上)

・強直性脊椎炎のリスクファクター(朝のこわばり、運動で改善、早朝に腰痛にて覚醒、20代あるいは30代)

・脊椎圧迫骨折のリスクファクター(骨粗鬆症の既往、コルチコステロイドの使用、外傷、高齢(65歳以上の女性、75歳以上の男性))

MRI

・神経根症の兆候を認め手術あるいは硬膜外ステロイド注射の候補となる患者(L4, L5, S1の神経支配に一致する下肢疼痛を伴う腰痛、straight leg raiseあるいはcrossed straight leg raise試験陽性)

・脊椎管狭窄症のリスクファクター(下肢への放散痛、高齢、偽性跛行)

 

画像検査なし

即座の画像検査を要する基準を満たさず1ヶ月の治療トライアルによって腰痛が軽減あるいは消失

以前に脊椎画像検査を行なってから臨床的変化を認めない

 

 

 

 

治療

急性腰痛はよくある疾患で、50〜75%が4週間以内に、90%以上が6週間以内に自然軽快し、たとえヘルニアを伴っていたとしてもほとんどの人は手術を必要としないことを患者に伝える必要がある

 

慢性腰痛は治療が困難で時間とともに再発が起こりえる。患者は治療ゴールがたとえ完全な消失を達成できないとしても機能を維持することであることを理解する必要がある

 

ある程度の効果があるかもしれない介入にはspinal manipulation、マッサージ、鍼灸などが含まれる

 

グルコサミンおよびコンドロイチンの効果は不明である

 

双極性磁気、フェルデンクライスメソッド、リフレクソロジーはおそらく効果がないと考えられる

 

温熱、牽引、経皮的神経電気刺激、電気的筋肉刺激、超音波、低レベルレーザー治療、干渉波治療、短波ジアテルミー、腰椎サポートなどが腰痛治療に使われてきた。RCTでは効果がほとんど確認されていないが、一般的に安全であると考えられている。患者の期待とプラセボ効果が治療的価値に一定の役割を果たしているかもしれないが、証明されていない治療の考えられる効果はそのコストと照らし合わせて考える必要がある

 

 

 

治療薬

薬剤の効果は一般的に強くない。薬剤治療を開始する場合は考えられる副作用、コスト、他の治療に比較した負担を考慮して決定する必要がある

 

First-line Treatment

NSAIDs(イブプロフェン、ナプロキセン)

 

Second-line Treatment

筋弛緩(シクロベンザプリン、チザニジン)

抗うつ剤(デュロキセチン)

 

限られた患者への補助的治療

オピオイド

トラマドル

 

効果が認められないため推奨されない

アセトアミノフェン

抗てんかん薬(ガバペンチン、プレガバリン)

 

 

 

 

 

インザクリニック

アナルズオブインターナルメディシン

2021年8月10日